東北電、女川1号機廃炉作業に着手 完了は2053年度想定
河北新報 2020年07月29日
東北電力は28日、女川原発1号機(宮城県女川町、石巻市)の廃炉作業に着手したと発表した。東北電として初となる廃炉は、4段階の全工程を終えるまで34年を要し、完了は2053年度になる見通し。費用の概算は約419億円。廃炉で発生が見込まれる低レベル放射性廃棄物約6140トンの処分先は決まっていない。
東北電によると、廃炉工程をまとめた「廃止措置計画」に基づき、作業員の被ばく低減のため、原子炉周辺機器や配管に付着した放射性物質を高圧洗浄装置で除去する作業を始めた。
第1段階(8年)ではこのほか、使用済み核燃料821体を女川3号機のプールに搬出する。第2段階(7年)でタービンなどを、第3段階(9年)で原子炉格納容器などを解体、撤去。第4段階(10年)で原子炉建屋などを解体し、廃炉を完了する。
使用済み燃料は廃炉終了までに日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)へ譲渡する。それまでは、金属容器に収めて空冷する「乾式貯蔵」施設を敷地内外に設置することなどを検討する。
女川1号機は1984年に営業運転を開始。東日本大震災では自動停止した。東北電は原則40年の運転期間を延長するためのコストや出力規模などを考慮し、18年12月に廃炉を届け出、今年3月に廃止措置計画が原子力規制委員会の認可を受けた。
東北電は「安全確保を最優先に取り組む」との談話を出した。