東電は31日、福島原発事故の追加賠償の内容を発表しました。昨年12月に原子力賠償紛争審査会が国の賠償基準である「中間指針」を見直したことを反映したものです。
「生活基盤の変容による精神的損害」に対し1人250万円の慰謝料を支払うなど、賠償範囲を拡大し、被災者約148万人に対し、少なくとも総額3900億円の追加支払いを見込んでいます。
それなりの前進ですが、賠償額は従来の低レベルに見合ったものでしかありません。
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原発事故追加賠償3900償円 東電「中間指針」見直し受け
しんぶん赤旗 2023年2月2日
東京電力福島第1原発事故を巡り、東電は1月31日、追加賠償の内容を発表しました。昨年12月に文部科学省の原子力賠償紛争審査会が国の賠償基準である「中間指針」を見直したことを反映し、「生活基盤の変容による精神的損害」に対し1人250万円の慰謝料を支払うなど、賠償範囲を拡大。東電は被災者約148万人に対し、少なくとも総額3900億円の追加支払いを見込んでいます。
東篭は、中間指針の新基準を踏襲し、長年住み慣れた故郷が事故で「変容」してしまったことによる精神的損害や、着の身着のままで避難を強いられた「過酷避難状況による精神的損害」、「相当量の放射線量地域に一定期間滞在したことによる健康不安」などに対し、追加賠償を行います。
亡くなった被災者への対応や僣別事情の判断方法、受付開始日といった詳細は、3月中に示す方針。
福島県庁で会見した東電福島復興本社の内田正明副代表は「なるべく早期に支払いを進めるべく取り組んでいきたい」と強調。また、指針を上回る賠償を東電に命じる判決が確定し中間指針が見直された経緯から、今後の訴訟対応について「個別の事情を踏まえた判断が裁判所から示された場合、これを尊重し、和解による解決を含めて対応していく」と述べました。
原発事故の賠償対象拡大 東電 追加で支払う金額の目安を公表
NHK NEWS WEB 2023年01月31日
福島第一原子力発電所の事故に伴う賠償基準の見直しで、対象が大幅に拡大したことを受けて、東京電力は31日、具体的な金額の目安を公表しました。
文部科学省の審査会は先月、事故当時の避難の実態に合っていないなどとして、原発事故に伴う賠償の対象を大幅に拡大した新たな指針をとりまとめました。
東京電力は31日、追加で支払う具体的な金額の目安を公表し、▽このうち事故のあと、立ち入りが厳しく制限された「帰還困難区域」や大熊町・双葉町に住んでいた人には130万円、▽これまで「帰還困難区域」などと比べ、賠償額が少なかった「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」に住んでいた人に280万円、▽「緊急時避難準備区域」に住んでいた人に50万円などとなっています。
また、▽審査会が「自主的避難等対象区域」に指定した23市町村に住んでいた子どもと妊婦以外の人には、1人あたり総額20万円を支払います。
さらに、新たな指針では賠償の対象にならなかった▽福島県の県南地域と宮城県丸森町に住んでいた子どもと妊婦以外の人にも、1人あたり総額10万円を賠償するとしています。
追加の賠償の対象となるのは、福島県内42の市町村と宮城県丸森町の合わせておよそ148万人で、賠償額は総額およそ3900億円に上る見通しです。