2023年2月9日木曜日

09- 【詳報】高浜原発4号機「自動停止」は制御棒駆動装置の不具合が原因

 関西電力の高浜原発4号機「自動停止」に関してMBS(毎日放送)が【詳報】を出しました。原子炉運転中は制御棒は適度の挿入深さに設定することで臨界に維持され、その位置に2個のラッチで固定される構造になっています。

 ラッチは電磁力で作動し通常は1個が作動していれば制御棒は所定の高さに固定されるということです。運転員が警報の出た側のラッチの作動確認のためそちらの電源を切ったところ、制御棒が落下し(最大の挿入深さに達し)核分裂を抑制したため、中性子量が急減しそれに伴って全停止に至ったのでした。
 その一方で、中性子の検出器に何らかの異常が起きていた可能性もまだ排除できないということです。
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【詳報】高浜原発4号機「自動停止」は『制御棒』の駆動装置の不具合が原因の可能性も
                          MBSニュース 2023/2/4
 今年1月30日に関西電力の高浜原発4号機(福井・高浜町)の原子炉が自動停止した問題。核分裂を制御する「制御棒」を作動させる装置の不具合が原因だった可能性が浮上しています。
 関電の高浜原発4号機は、1月30日午後3時すぎ、中性子量の急減を示す警報が発信され、原子炉が自動停止しました。原子炉の冷却は問題なく進み、翌31日の夜には冷温停止状態になりました。放射性物質の漏れなどはないということです。一方、自動停止直前の状況が徐々に明らかになり、制御棒を作動させる装置の不具合が自動停止の要因である可能性が浮上しています。
 制御棒とは、中性子を吸収しやすい物質で作られている棒で、原子炉内の中性子の量を調整し、核分裂を「制御」する役割を持っています。制御棒を原子炉内に入れ、多くの中性子が制御棒に吸収される状態にすると、核分裂の回数は減少して原子炉の出力も減ります。逆に、制御棒を原子炉から抜くと、原子炉内の中性子の数が増え、核分裂の回数も増加して原子炉の出力が増します。引き抜かれた制御棒は、2か所の「ラッチ」と呼ばれる部分に引っかけられ、電磁力を用いながら保持されます
 高浜4号機は運転中だったため、制御棒は抜かれていましたが、関係者によりますと、1月30日午前0時すぎに「制御棒駆動装置」の故障を示す警報が発信されていました。2か所のラッチのうち、1か所の電流値が通常よりも低いことが判明したということで、確認作業のため、そのラッチのコイルの電源を切ったということです。通常はラッチが1か所だけでも制御棒は保持できるということですが、コイルの電源を切った後に中性子量の急減を示す警報が発信されたということです。つまり、制御棒が予期せぬ形で原子炉に落下し、中性子量が急減した可能性が出てきています。
 なお、高浜4号機では「制御棒駆動装置」の故障を示す警報が1月25日・29日にも発信されていたということですが、その際はラッチの電流値に異常は認められなかったということです。
 一方で、中性子の検出器に何らかの異常が起きていた可能性もまだ排除できないということで、関電は自動停止に至った原因を引き続き詳しく調べています。現時点で運転再開のめどは立っていません。
 原子力規制庁によりますと、営業運転中の原発で原子炉が自動停止したのは、2011年10月に九州電力の玄海原発4号機(佐賀・玄海町)が自動停止して以来だということです。その際は、タービンを回し終えた蒸気を冷やして水に戻す「復水器」の異常が原因でした。今回の高浜4号機と同じく、中性子量の急減を示す警報が発信され原子炉が自動停止したのは、1988年12月の関電の高浜原発3号機以来だということです


高浜原発4号の自動停止、制御棒駆動装置に異常か…落下の可能性 原子力規制委
                             福井新聞 2023/2/9
 関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)で原子炉が自動停止したトラブルで原子力規制庁は、制御棒を上下に動かし炉心の出力を調整する駆動装置に異常があり、何らかの原因で制御棒が落下した可能性が高いとみていることが2月8日分かった。
 同日開かれた原子力規制委員会の会合で、5日深夜、原子炉容器の頂部に取り付けられている制御棒駆動装置の電気系統の点検を行った後、電源を復旧したところ、制御棒2本が部分挿入される事象が発生したと報告された
 高浜原子力規制事務所は福井新聞の取材に対し、制御棒は全部で48本あり、自動停止により全て落下した後、停止操作や点検に伴い何本か引き抜いた状態だったと説明。トラブル前に行った点検の再現試験や、中性子の量を計測する検出器の点検で異常が確認されなかったことから、制御棒駆動装置の異常が自動停止の原因との見方を強めたもようだ。
 関電は取材に対し「調査の過程で制御棒が部分挿入されたことは事実。自動停止のトラブルとの因果関係も含めて調査中」としている。
 高浜4号機は1月30日、原子炉内で中性子の量が急激に減少したことを知らせる警報が作動し自動停止した。制御棒駆動装置を巡っては、関電がトラブルの約15時間前に異常を知らせる警報が鳴ったことを明らかにしている。
 今回のトラブルは過去の事例と共通性がないことが見込まれるため、規制委は公開会合の場で原因究明や再発防止策を関電から聴取することを決めた。