2014年1月10日金曜日

東電発注の工事は超高値 実際の2~5倍

 9日付の朝日新聞の一面トップに「東電工事 なお高値発注」と題する記事が載りました。
 それも相場より1~2割高いなどという生易しいものではなくて、外部の調達委員会の調べによれば、東電の工事の発注額は実際に掛かる費用の2~5倍にも上るということです。
 実際の人件費が1万5千円/人のところを3万1千円/人で発注し、差額1万6千円が中間のトンネル会社のフトコロに収まっているケース、実際には1万2千円/人でできる工事を4万9千円/人で契約するケース、東電が2100万円と査定した工事が実際には半額の1100万円でできることを調達委員会が確認し、受注した大手メーカーと契約価格の再交渉をさせているケースなどが多数あるということです。むしろそれが常態となっているということでしょう。
 
 国から既に莫大な援助を受け、これからも天井知らずの補助を受けるであろう東電が、なぜこんなデタラメを続けているのでしょうか。「国費」を出入り業者も含めた仲間内で分け合うというのは「犯罪」そのものです。
 電力会社が海外から買う重油やLNG(液化天然ガス)の価格もまた、世界の相場を著しく上回っていますが、その輸入の元締め企業が東電の子会社で、(年に)兆円オーダーの荒稼ぎをしているというのも殆ど「詐欺」です。
 
◇総括原価方式
 諸悪の根源は「総括原価方式」という電気料金の決め方にあります。
 その方式では、燃料代や各種の工事代などの費用は一切合財無条件に電気料金に転嫁できます。そうすると、出来るだけ安い価格で燃料を買おうとか、工事代金を安くしようという動機付け(インセンティブ)がまずなくなります。
 それだけでなく、備蓄された燃料や発注工事で作られた設備類の3%分が、自動的に電力会社の儲け(純益)になる(ように電気料金を決めてよい)ので、むしろ逆に、燃料や設備は高額な方が電力会社の純益が上がるという構造になっています。
 具体的には特定固定資産、建設中の資産、核燃料資産、特定投資(研究開発費など)、運転資本(営業費など)のレートベース合計の3%の純益が保障されます。
 名城大 谷江武士氏の「電力会社における総括原価方式について」(2013.3)によれば、2012年度(年度は不詳のため推定)の東電のレートベース合計は9兆3826億円で、2,814億円が純益でした。
 通常の企業はこの純益を「プラス側」にするために身を削る苦心をするわけですが、座したままでこの巨額な純益が保障されているというところに、電力会社の不道徳性(モラルハザード)の根源があります。
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東電工事、なお高値発注 実際の2~5倍も 料金上乗せ
朝日新聞 2014年1月9日
 東京電力が発注する工事の価格が、福島第一原発事故の後も高止まりしていることが、東電が専門家に委託した調達委員会の調べでわかった。今年度の原発工事などで、実際にかかる費用の2~5倍の価格で発注しようとするなどの事例が多数見つかった。東電は新再建計画でコスト削減の徹底を進める方針だが、体質は依然として改まっていない。
 
 電力全社の設備投資は年間2兆円規模あり、産業界や政官界に大きな影響力を持つ源泉とされる。東電などが市場価格よりも高値で発注することで、受注するメーカーや設備・建設事業者は多額の利益を確保できる。調達費用の高止まり分は電気料金に上乗せされ、利用者が負担している。
 
 調達委員会は年間1兆円規模の資材購入や工事発注を調べている。ある発電所の工事では、実際の人件費が1日1人あたり1・5万円だったにもかかわらず、受注側の見積もりが3・1万円の例があった。東電から大手メーカー、子会社、下請け企業へと工事発注を繰り返し、各社が合計1・6万円を利益や手数料として確保した結果だ。
 実際には1日に1・2万円でできる工事なのに、受注者の見積もりの4・9万円で契約しようとしていた事例もあった。関係者は朝日新聞の取材に、「実際の費用の2~5倍で言い値通りに契約する事例が多数あると明らかにした。
 ある原発関連工事で、東電は2100万円と見積もったが、調達委が人件費や材料費を調べた結果1100万円に減らせることがわかり、受注した大手メーカーと再交渉している。