2019年12月24日火曜日

トリチウム汚染水を「海洋放出」「大気放出」「併用」の3案に 政府

 政府は福島原発のトリチウム汚染水の処理について、これまでの6案から ①放射性物質の濃度を基準値以下に薄めて海に流す ②蒸発させ大気に放つ ①と②を併用する の3案に絞ることを有識者小委員会に提案しまし
 最も安易な方法(とその組み合わせ)であり、国民の健康や地球汚染を配慮したとは思われません。
 福島県の漁業者らからは「海洋放出ありきで強引だ」などと反発の声が上がりました
 これは福島県だけの問題ではありません。
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海洋放出、漁業者反発 「結論ありき、再検討を」 福島原発
時事通信 2019年12月23日
 「海洋放出ありきで強引だ」。経済産業省が23日、東京電力福島第1原発で発生する処理水の処分方法を、海洋や大気への放出に絞った報告書案を明らかにしたことに対し、福島県の漁業者らからは反発の声が上がった。
 小名浜魚市場(同県いわき市)の運営に携わる県漁業協同組合連合会の柳内孝之理事は「処理水が一度(海に)放出されれば、科学的に正確な情報を発信しても風評被害は抑えられず、漁業の衰退を招く」と危惧する。
 柳内理事は、処理水を長期間保管すれば放射線量が下がってリスクを減らすことができると指摘し、「小委員会は海洋放出ありきで議論しており、強引だ。再検討してほしい」と訴えた。


福島第1汚染処理水「海洋放出」「大気放出」「海洋・大気の併用」
  政府が3案
毎日新聞 2019年12月23日
 政府は23日、東京電力福島第1原発でタンクにためられている汚染処理水について、これまで示されていた6案から「海洋放出」「蒸発させ大気放出」「海洋、大気放出の併用」の3案に絞ることを有識者小委員会に提案した。3案以外は、法律の規制や技術の面などで課題が多いという。処分の開始時期については踏み込まず「政府が責任をもって決定する」とした。 

 タンクの汚染処理水は11月の時点で約117万キロリットル。技術的に取り除くのが難しい放射性トリチウムなどが含まれ、1日当たり約170キロリットル(昨年度)ずつ増えている。東電は、敷地内の空き地に計137万キロリットル分までならタンクを整備できるとしているが、2022年夏ごろに満水になる。 
 政府の有識者小委では、これまで①放射性物質の濃度を基準値以下に薄めて海に流す ②蒸発させ大気に放つ ③セメントなどで固めて地下に埋める ④パイプラインで地下に注入 ⑤電気分解して処理後に大気に放出 ⑥貯蔵タンクで長期保管――の6案が示されていた。

 政府は23日に開いた有識者小委に、海洋放出などの3案を提案。その理由として、国内外の原発で実績があることや、環境への放射性物質の広がりを確認しやすいことなどを挙げた。長期保管は、11年から30~40年としている廃炉までの期間に汚染処理水を処分できないため、政府の提案から漏れた。

 政府の提案について、ジャーナリストの崎田裕子委員は、前例のある処分方法(海洋または大気放出)が安心感につながるとした。東京大総合防災情報研究センター准教授の関谷直也委員は「海洋放出した場合、社会的な影響が大きいことを提言に盛り込むべきだ」と話し、今後も議論を続けていくことを確認した。

 毎日新聞が委員に実施したアンケートでは、複数の委員が「6案から処分方法を決めて提言はしない」という認識を示していたが、3案に絞られたことに異論は出なかった。政府は、この3案を軸に小委に提言をとりまとめてもらう方針。政府は小委がまとめた提言を踏まえ、自治体など地元の関係者に意見を聞いて、最終的な処分方法を決める。【岩間理紀、斎藤有香】