鹿児島県では、「川内原発20年延長を問う県民投票の会」が、必要数の約1・74倍(有効分で)の署名を獲得し県民投票条例を県に請求した件で、11月23日に臨時県議会が開かれました。
条例を提案するに当たり塩田康一県知事は、「福島原発事故以降の5都県での原発運転に関する住民投票条例案では『多様な意見が二者択一では反映できない』という理由で『慎重に判断すべき』とされてきた」として否定的意見をつけました。そして26日の本会議で反対多数で否決されました。
これについて「県民投票の会」の向原祥隆事務局長は、「県民投票は知事が言い出したこと。二者択一だからダメというのは理由にならない。公約違反だ!」と指摘し、「危険な原発が寿命を超えて長期間運転する重大問題を一回立ち止まって判断する機会であったのに」と批判しました。
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川内原発めぐる県民投票請求は否決 鹿児島県知事には公約違反の声も
週刊金曜日 2023/12/7
原子力規制委員会は11月1日、九州電力が申請した川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の20年運転延長を認可した。「異例中の異例」だったはずの20年延長は国内で5、6基目。失格は過去に1基もない。岸田文雄政権には老朽原発の20年延長は当たり前、国と電力会社が勝手に決めた内容に地方は従うほかないのか――。
だがそうした中、鹿児島県では筆者が本誌6月9日号と9月1日号で報じたように「川内原発20年延長を問う県民投票の会」が、必要数の約1・74倍(確定有効署名4万6112筆)の署名を獲得。これを受けて10月4日には同原発の運転延長を問う県民投票条例を県に本請求した。
塩田康一県知事は23日に県議会臨時会を招集。本案の付議には県民投票への賛否を明言せず、福島原発事故以降の5都県での原発運転に関する住民投票条例案では「多様な意見が二者択一では反映できない」などの理由ですべて否決されたとし、本案も「慎重に判断すべき」と否定的意見をつけた。同日の意見陳述で「県民投票の会」の向原祥隆事務局長(出版社「南方新社」代表)は「危険な原発が寿命を超えて長期間運転する重大問題を一回立ち止まって判断したい。(署名数は)その意思表示。鹿児島の未来を若い県民と一緒に作っていくためにも歴史に残る誇り高い選択を」と賛成を呼びかけた。しかし26日の本会議では与党が知事に同調。51議席中、賛成11、反対39(自民34、公明4、無所属1)の反対多数で否決された。
当然これには「もったいない!」と声が上がった。そうした声の背景を、筆者は現地で取材した。
まず向原さんは「県民投票は知事が言い出したこと。二者択一だからダメというのは理由にならない。公約違反だ!」と指摘した。同県の知事選挙では2016年、テレビ朝日のニュースキャスターだった三反園訓氏(現在は衆議院議員)が脱原発を掲げ当選したものの後に原発容認へ変節。これに公約違反との声が上がり、20年の知事選では経済産業省の官僚だった塩田氏がそうした声を受け、同原発の20年運転延長は「必要に応じて県民投票を行なう」との公約で当選した経緯がある。
「県民投票の会」幹事の杣谷健太さんも「県民の議論は劣り、議員なら多様な意見をくみ取れるというなら県民を下に見た話だ」と一喝。「若い人たちが耳を傾け、県民投票の意義を伝えようという署名集めの場が未来を話し合う場になっていった」舞台裏の様子を話し、議論に優劣はないと訴えた。
来年7月には県知事選が
署名運動ではイラストレーターの黒田征太郎さんから応援の絵が送られ、それも盛り込みつつ知事に署名への賛成を求めるチラシを作るなどの活動を、地方紙が連日1面トップで報道。県民にはその存在が広く浸透した。
他方で県議会与党への働きかけは難航。事務局の常駐スタッフを務めた西村亜希子さんは「知事には会ってもらえなかった。与党の議員は知事の意見書次第だという声が多かった」と話した。向原さんも「自民党の縛りは固かった」と議会交渉を総括。「今後、川内原発をどうするか? 県民投票を通して論じあう絶好のチャンスだったのに」と否決を惜しんだ。川内原発には20年延長問題の他に3号機新増設や使用済み核燃料保管場所が満杯などの大問題があり、否決はこれに向き合う好機を奪った。だから「もったいない」のだ。
24日の委員会で参考人を務めた鹿児島大学の宇那木正寛教授(行政法)は「県民が賛否を含めた必要な情報を基に熟議し、結論を出すことが県民投票の意義」と語る(『南日本新聞』11月5日)。
直接請求運動の果実は住民投票の実現だけではない。向原さんは「知事の公約違反や、与党県議が政府・九電ばかりを見て、県民や鹿児島の未来を見ていないことが明白になった。幸いリコール運動をしなくても来年7月に県知事選がある。野党を一つにまとめて公約違反の知事を代え、県民に向き合う議員を増やしていく運動を続けます」と前向きに話した。
薄井崇友・フォトジャーナリスト
2023年12月9日土曜日
川内原発めぐる県民投票請求は否決 鹿児島県知事には公約違反の声も
柏崎刈羽原発、11日に現地調査 運転禁止解除向け規制委
テロ対策不備で事実上の運転禁止命令を出している柏崎刈羽原発で、規制委事務局は柏崎刈羽原発の課題が全て改善されたとする検査報告をまとめています。
原子力規制は7日、現地調査を11日に実施すると発表しました。規制委はさらに東電の小早川智明社長と面談した上で、命令解除を判断するとしています。
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柏崎刈羽原発、11日に現地調査 運転禁止解除向け規制委
共同通信 2023/12/7
原子力規制委員会は7日、テロ対策不備で事実上の運転禁止命令を出している東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で、現地調査を11日に実施すると発表。山中伸介委員長と伴信彦委員が参加し、命令解除の判断に向け改善状況を確認する。
現地調査では、東電が5月に設置した核物質防護モニタリング室員と意見交換し、問題点を共有する会議を傍聴する。
規制委事務局は柏崎刈羽原発の課題が全て改善されたとする検査報告をまとめている。規制委はさらに東電の小早川智明社長と面談した上で、命令解除を判断する。
柏崎刈羽原発を巡っては、2021年1月以降、社員によるIDカード不正利用や侵入検知設備の故障などが発覚した。
09- 原発の地盤評価、問題点を証言 元京都大助教授、運転差し止め訴訟
滋賀県の住民らが福井県の大飯、高浜、美浜の関西電力3原発7基について運転差し止めを求めた訴訟の第39回口頭弁論が7日、大津地裁であり、元京大防災研究所助教授の赤松純平氏が原告側証人として出廷し、原発の地盤モデルについて、関電が実際の調査結果より均質な構造に設定していることに加え、地域性や不確かさを考慮していないことなどから、基準地震動が過小評価になっていると証言しました。
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原発の地盤評価、問題点を証言 元京都大助教授、運転差し止め訴訟
京都新聞 2023/12/07
滋賀県の住民らが福井県の大飯、高浜、美浜の関西電力3原発7基について運転差し止めを求めた訴訟の第39回口頭弁論が7日、大津地裁(池田聡介裁判長)であった。応用地震学を専門とする元京都大防災研究所助教授の赤松純平氏(80)が原告側証人として出廷し、原発の地盤の評価を巡る問題点を証言した。
赤松氏は、原発の地盤モデルについて、関電が実際の調査結果より均質な構造に設定していることに加え、地域性や不確かさを考慮していないことなどから、設定されている基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)は過小評価になっていると証言した。また関電の調査資料について、「恣意(しい)的な解釈をしており、結果を誘導するために条件設定をしている」と指摘した。
弁論後の記者会見で、井戸謙一弁護団長は「地盤の増幅特性は非常に重要な問題。この認識を全国的に高めていくきっかけになったのではないか」と述べた。
赤松氏は「現場の技術者はデータを一生懸命調べたが、関電はそれを外に出さなかった。ちゃんと解析して見える形で出してほしい」と話した。
2023年12月6日水曜日
柏崎刈羽原発の運転禁止解除 現地調査と東電経営層との面談後に最終判断へ
原子力規制庁は、柏崎刈羽原発のこれまでの安全対策の不備・不祥事に関して、設備面とソフト面の全ての対応が終了したとする検査報告書案と、原発を動かす事業者としての東電の「適格性」について、「基本姿勢に則っている」などとする報告書案を規制委に提出しました。
これを受け規制委は6日この報告書を公表し、山中伸介委員長らが柏崎刈羽原発を改めて現地調査するとともに、東電の経営層を呼び、意見交換することを決めました。そのうえで、運転禁止命令の解除の可否を最終判断する方針です。
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柏崎刈羽原発の運転禁止解除の可否 現地調査と東電経営層との面談後に最終判断へ
テレビ朝日系(ANN)2023/12/6
原子力規制委員会は、テロ対策設備の不備で運転禁止命令を出している新潟県の柏崎刈羽原発を現地調査したうえで、東京電力の経営層と意見交換をして、命令解除の可否を判断する方針を固めました。
柏崎刈羽原発では侵入者を検知する設備が故障していたにもかかわらず、東電が放置するなどの不祥事が相次ぎました。
このため、規制委はおととし4月に事実上の運転停止命令を出していました。
規制委は設備不良のうち、風や雪で誤った警報が鳴ることなど27項目で改善を促しました。
規制庁はすべての項目で要件を満たしたとの検査報告書案と原発を動かす事業者としての東電の「適格性」について、「基本姿勢に則っている」などとする報告書案を規制委に提出しました。
これを受け規制委は、山中伸介委員長らが柏崎刈羽原発を改めて現地調査するとともに、東電の経営層を呼び、意見交換することを決めました。
そのうえで、運転禁止命令の解除の可否を最終判断する方針です。
柏崎刈羽原発のテロ対策「すべて改善」追加検査終了、命令解除へ前進
産経新聞 2023/12/6
テロ対策の不備で事実上の運転禁止命令が出ている東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について、原子力規制委員会は6日、追加検査の結果をまとめた報告書案を公表した。東電が原発を動かす「適格性」があるか再確認した結果も踏まえ、早ければ年内に命令解除の是非を判断する見通し。解除が決まれば、再稼働へ大きく前進する。
6日の定例会合では、規制委が追加検査で指摘した全27項目の課題は「すべて改善した」とする検査結果の概要が事務局の原子力規制庁から示された。委員から新たな指示はなく、報告書案は事実上了承された。
報告書案によると、強風や大雪などの荒天時に侵入者を検知する監視態勢や、核セキュリティーの向上を図る東電の取り組みなどの改善状況を確認。今後、核物質防護上の問題が起きても「自律的に改善できる仕組みが構築され、定着しつつある」と結論づけた。
また、規制庁は原発事業者としての東電の適格性を再確認した結果も報告。東電が保安規定に盛り込んだ「経済性より安全性を優先する」などの7項目の基本姿勢は、いずれも順守していることを確認したとしている。
運転禁止命令の解除には、追加検査の終了と適格性があるとの判断が必要になる。規制委は近く委員による現地視察と、東電の小早川智明社長と意見を交わし、命令解除できるかどうか公開会合で判断する。
柏崎刈羽原発では東電社員によるIDカードの不正使用や、侵入検知器の故障などテロ対策の不備が相次いで発覚。規制委は令和3年に核燃料の移動を禁止する是正措置命令を出した。
佐渡産ナマコも「中国が禁輸」 東電が補償の方針も募る不安
海洋放出による中国の水産物輸入停止で、佐渡市のナマコ養殖も影響を受けています。5日、ナマコの子ども3万9千匹が湖に放流されました。東電は賠償に応じる構えですが、この事態がずっと続けば加工業者の在庫が貯まり漁業者は休業に追い込まれます。
筋からいえば東電にはずっと保証する義務がありますが、現実はどうなるのか、漁業者の不安は募るばかりです。
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佐渡産ナマコも「中国が禁輸」 原発処理水放出の影響 東電が補償検討も募る不安【新潟】
UX新潟テレビ21 2023/12/5
福島第一原発の処理水放出による中国の水産物輸入停止で、佐渡市のナマコ養殖も影響を受けています。5日、ナマコの子どもの放流が行われましたが関係者は、先行きに不安を抱えています。
5日、「種苗」と呼ばれるナマコの子ども3万9千匹が、佐渡市の2つの漁協に出荷されました。
2万4千匹を仕入れた加茂湖漁協ではさっそく湖の底に種苗を放流しました。
中国への輸出再開は見通せませんが、今シーズン水揚げされたナマコについては市内の業者が買い取りを決めています。
また東京電力も漁業者に対して賠償の方針を示しています。
輸入停止前の平均価格より価格が下がった場合に差額を賠償するとしていて、11月に説明会が開かれたということです。
しかし、漁業者の不安は募るばかりです。
■加茂湖漁協 山本博文組合長
「補償は当然だと思うんですけど、禁輸処置がいつまでも続くと加工業者の在庫がたまって来てどうしても買えなくなってくる。そうなったら私たち休漁しなければならなくなります。」
また種苗の養殖業者にもキャンセルが入っていて、コスト削減のため6千万匹いた種苗を200万匹に減らすなど対応を強いられています。
■養殖業者・浦島三和 須藤由彦社長
「今、この種苗の出荷が終わるまで交渉を待ってもらっている。けっして東電は見放しているわけではないんで、漁師さんも生きなくてはならないし、うちも生かしてもらわなきゃならない」
この業者は乾燥ナマコの輸出も手がけていて、輸入停止の長期化を心配しています。
【霞む最終処分】(4)~(5)(最終回)
シリーズ【霞む最終処分】(4)~(5)を紹介します。本シリーズは(5)で終了です。
政府は漁業者に対しては「関係者の了解なしには処分はしない」と約束した一方で、「仮に了解が得られなくても海洋放出はする」と約束に反する方針を決定していました。
これは全く辻褄が合っていないことなので取り繕う余地などは皆無です。その結果、数十年掛けて関係者に損害賠償するのですが、その莫大な総額は電気料金に上乗せすることになるのでしょう。始めから「水蒸気放出」なりの海洋放出以外の方法を採れば、現行の数百億円には留まらない国民の負担が大幅に軽減された訳で、安易な考えから結論を「海洋放出」に誘導した責任を経産省は大いに自覚し反省すべきです。
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【霞む最終処分】(4)序章 処理水は語る
理解醸成「うわべだけ」 了解への道筋描けず
福島民報 2023/12/05
政府は2021(令和3)年4月、東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出方針を決定したが、実行に向けては2015(平成27)年にサブドレン計画で漁業者と約束した「関係者の理解」が大きな壁となった。「漁業者の理解を得ることなく(約束を)覆した。福島のみならず全国の漁業者の思いを踏みにじる行為」。当時の全国漁業協同組合連合会(全漁連)会長・岸宏は政府方針決定後に放出反対の立場を改めて強調し、政府の対応を厳しく批判した。
漁業者のかたくなな姿勢に、政府内には重い空気が漂っていた。「放出そのものに対する理解、すなわち了解を最終的に得るのは不可能だろう」(政府関係者)。約束を破れば漁業者との間に禍根を残す。政府はあえて賛否に触れず「科学的な安全性への理解」を得る方向にかじを切った。
◇ ◇
政府が福島第1原発の汚染水対策として井戸からくみ上げた地下水を浄化後に海洋放出する「サブドレン計画」を巡り、漁業者と交わした「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分も行わない」との約束で、関係者から取りつけるべき「理解」は「処分への了解」と解釈できるが、政府に了解への道筋は描けなかった。
その理由の一つに、約束後の経緯がある。最終的にサブドレン計画を容認した漁業者に対し、反対派が非難の矛先を向けるようになった。「判断を迫られた漁業者が苦しい立場に追い込まれたことで、政府への不信感を強める結果を招いてしまった」。政府関係者は苦い経験を明かす。
了解は得られなくても、「科学的な安全性の理解」なら処理水を処分する上で欠かせず、説得もしやすい―。経済産業省は約束の「解釈」を変えつつ、動いた。福島県内をはじめ全国に職員を派遣し、国民にトリチウムの性質を一から説明した。漁業者との意見交換を繰り返し、放出設備に海底トンネルを加えることや、サブドレン地下水を放出する際のトリチウム濃度の基準値1リットル当たり1500ベクレルを採用するなど風評抑止につながる提案を取り入れた。
県内外で処理水に関する説明に当たった経産省資源エネルギー庁廃炉・汚染水・処理水対策官の木野正登は「海洋放出計画の科学的な安全性に加え、政府の風評対策を示し、信頼の構築に努めた」と振り返る。政府による説明の回数は1500回を超えた。CMなどの宣伝にも力を入れた。
◇ ◇
政府が科学的な安全性を担保するための砦(とりで)としたのが国際原子力機関(IAEA)だった。7月に公表した包括報告書は、海洋放出計画について「国際的な安全基準に合致する」と政府の説明にお墨付きを与えた。国際的権威のある第三者機関の評価を得て、安全性への「理解」を得る素地はできた。
ただ、結論ありきの動きには、政府内からも「漁業者に寄り添う姿勢を見せても、しょせんはうわべだけを取り繕ったに過ぎない」との冷ややかな声が漏れる。各種世論調査でも「説明不十分」との意見が多数を占め、政府の取り組みが浸透していない現状が浮き彫りになった。政府は本来あるべき「理解」から目をそらしつつ、海洋放出の開始に向けて突き進んだ。(敬称略)
【霞む最終処分】(5)序章 処理水は語る (最終回)
放出決行へ約束上書き 「理解」現在進行形に
福島民報 2023/12/06
「国として海洋放出を行う以上、廃炉と処理水の放出を安全に完遂する。漁業者が安心してなりわいを継続できる必要な対策を、今後数十年の長期にわたろうとも政府が全責任を持って対応すると約束する」。首相の岸田文雄は8月21日、官邸で面会した全国漁業協同組合連合会(全漁連)会長の坂本雅信に、こう強調してみせた。東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含む処理水の放出開始日を決定する関係閣僚会議を翌日に控えていた。
坂本ら漁業者の海洋放出に反対する姿勢は変わらなかった。政府が2015(平成27)年に漁業者と交わした「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分も行わない」との約束が反故(ほご)にされるのではないかとの疑念があった。政府が処理水処分を決行するには約束の上に約束を積み増すしかなかった。
◇ ◇
「一定の理解を得たと判断する」。経済産業相の西村康稔は首相と坂本の面会に同席した後の記者会見で、処理水処分の前提となる「理解」に言及した。「一定の」を付け加え、約束が破たんしていないと印象付けた。一方、坂本は「科学的な安全性への理解は深まってきた」としたものの放出への反対姿勢は貫いたままで、誰もが認めるような「理解」が得られていないのは明白だった。
政府内では約束を一方的に破棄する強行策は選択肢になかった。当時の経済産業副大臣で原子力災害現地対策本部長を務めた太田房江は「理解の言葉を外せば、政府への不信を招く」と理由を示す。
漁業者との約束を破らずに、処理水の処分に踏み切る―。政府は悩み抜いた末、次のカードを切らざるを得なかった。
「廃炉と処理水放出の安全な完遂」と「漁業者が安心してなりわいを継続できる必要な対策」。政府は数十年にも及ぶ将来に責任を持つと宣言した。太田は「新たな約束は政府の覚悟を示したものだ」と語る。
政府は再び、眼前の障壁を乗り越えるため、将来的な課題への対応を引き合いに出した。漁業者から「サブドレン計画」の容認を得るために用いた手法と全く同じだった。政府関係者は「理解を得るという取り組みは現在進行形とした。そこに廃炉と処理水放出の完了までの全責任を負うことを加え、落としどころとしたのだろう」と推察する。
◇ ◇
政府は8月24日、海洋放出を断行した。原発事故発生から約12年半が経過していた。
処理水放出を巡り、政府は「その場しのぎ」や「結論ありき」の対応を繰り返し、さらには「約束」の解釈をすり替えた。長期にわたる福島第1原発の廃炉の過程では、さらなる難題が待ち受ける。溶融核燃料(デブリ)は取り出しに至らず、処分方法も決まっていない。それでも政府は「廃炉の安全な完遂」まで踏み込んで新たな約束を打ち出した。中間貯蔵施設(大熊町・双葉町)に保管している除染土壌は、2045年までの県外最終処分を法律で定めた。
増え続ける政府の約束に、霞が関からは「約束を一つ一つ果たしていくしかないが、どれも極めて重い」と憂いの声が上がる。
政府は自らの都合を優先するあまり、将来に不安を抱く県民をおろそかにしてはいないか。海へと流れゆく処理水から、問いが浮かぶ。(敬称略)
=序章「処理水は語る」は終わります=
06- 川内原発運転延長 薩摩川内市特別委は「賛成」 田中市長は12日にも判断表明
川内原発の20年運転延長についてこれまで賛成の陳情1と反対の陳情5が出されていましたが、薩摩川内市議会の特別委員会は5日、賛成の陳情を採択すべきとする決定をしました。本会議での採決は来週12日に行われ、その同じ日に田中良二市長も賛否についての自身の判断を示す見込みです。
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川内原発運転延長 薩摩川内市特別委は「賛成」 田中市長は12日にも判断表明へ 鹿児島
MBC南日本放送 2023/12/5
薩摩川内市議会の特別委員会は5日、川内原発の20年運転延長に賛成の陳情を採択すべきとする決定をしました。本会議での採決は来週12日に行われ、その同じ日に田中良二市長も賛否についての自身の判断を示す見込みです。
川内原発1、2号機については、原子力規制委員会が先月、20年の運転延長を認可しましたが、薩摩川内市議会には賛成1と反対5の合わせて6つの陳情が出され、特別委員会で審査してきました。
(委員・井上勝博市議)「本当にそれでいいのかと問わなければいけない。私たちはふるさとを奪われることになるかもしれない」
(委員・川添公貴市議)「(電源交付金は)年間だいたい16億円という原子力に関する予算が計上されている。市民全体の皆さんのために16億円は使っている」
そして、討論後の採決で、賛成陳情を採択すべきで、反対陳情5件は不採択にすべきとする決定をしました。また、安全運転管理のさらなる徹底の指導などを付帯意見として市長に要請することも決めました。
(特別委・成川幸太郎委員長)「(議論は)尽くせたと考えている。ただ、付帯意見書が出されたように、これですべて終わりということではないし、市議会が続く限り、原発がある限り、特別委では常に安全対策は審査を続けていくことになる」
複数の関係者によりますと、議会としての判断が示される本会議での採決は来週12日で、それを受けて田中良二市長も12日にも自身の判断を表明する見込みです。