2019年9月3日火曜日

仏高速炉 建設計画中止(詳報)

 フランスがこれまで取り組んできた高速炉「ASTRID(アストリッド)」の計画を中止した理由は、高速炉には多額の投資が必要なのに対し、原発の燃料となるウランの価格は安いため、高速炉によって燃料を再利用することは経済的に見合わない」ためです。
 その意味で21世紀の後半までは高速炉の導入は必要なくASTRID」の建設は短期・中期には予定されていないということです。極めて明解で議論の余地はありません。
 
 高速増殖炉もんじゅの廃炉によって、それを「メシのタネ」にしようとしていた原子力ムラは当てが外れました。それで飛びついたのがフランスのASTRID」計画でしたが、「経済的メリットがない」と明言されてしまってはどうしようもありません。間違っても日本が資金の投入を名分にして計画の継続を主張するようなことがあってはなりません。
 関連する予算はすべてゼロにすべきです。
おしらせ
4日は外出のため記事の更新ができません。ご了承ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「日仏協力の高速炉建設計画を中止」仏有力紙
NHK NEWS WEB 2019年8月31日
フランスの有力紙は、日本が協力してフランスが研究開発を進めている高速炉について、多額の投資が必要になることなどを理由に計画が中止されたと伝えました。フランスの当局も当面、建設の予定はないと認めていて日本の高速炉開発にも影響が予想されます。
 
フランスの有力紙「ルモンド」は31日付けの紙面で、日本が協力しフランスで建設される予定の高速炉「ASTRID(アストリッド)」について、フランスの原子力・代替エネルギー庁が計画を中止したと伝えました。
この中で関係者が「アストリッドは死んだ。これ以上、資源やエネルギーを投入しない」と述べているとしたほか、計画の調整に当たる部署がこの春にすでに閉鎖されたとしています。
その理由として、高速炉には多額の投資が必要なのに対し、原子力発電所の燃料となるウランの価格は安いため、高速炉によって燃料を再利用することは経済的に見合わないことなどを挙げています。
 
報道を受けてフランスの原子力・代替エネルギー庁は声明を発表し、高速炉の研究は今後も続けると強調しながらも、21世紀の後半までは高速炉の導入は必要なく「ASTRID」の建設は短期・中期には予定されていないとしています。
日本政府は3年前に福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を決めたあと、高速炉の開発でASTRIDに期待を寄せていただけに日本にも影響が予想されます。
 
 
高速炉開発 仏が建設見送る見通しで概算要求盛り込まず 経産省
NHK NEWS WEB 2019年8月30日
原子力政策の柱の1つ、高速炉開発について、経済産業省はフランスが計画する高速炉の開発に協力する形で技術などを蓄積するとしていましたが、フランスが建設を見送る見通しとなったことから来年度予算案の概算要求に関連する費用を盛り込みませんでした。
 
経済産業省の来年度予算案の概算要求のうち原子力関係の主なものでは、福島第一原発で溶け落ちた核燃料の取り出しに向けた研究開発など廃炉関係に今年度より4億円多い169億円を計上しました。
また、新たに原子力分野の人材育成などに15億円を計上しています。そして比較的安全性の高いとされる小型の原子炉など、新型の原発の研究開発に、今年度よりも8億円余り多い15億円を盛り込みました。
 
一方、日本が原子力政策の柱の1つとしている高速炉開発については、フランスが進めている「ASTRID」という高速炉の開発計画に協力する形で技術などを蓄積し開発を進めるとしていましたが、フランスが建設を見送る見通しとなったことから、5年前から付けていたASTRIDに関連する費用を今回、概算要求には盛り込みませんでした
経済産業省は今後もフランスやアメリカと協力し技術開発を続けるとしていますが、日本が独自に建設した高速炉「もんじゅ」は3年前に廃炉を決めていて、実用化に向けた実証的な研究ができる高速炉は現在なく、国が掲げる高速炉開発は不透明な状態となっています。