2019年9月28日土曜日

助役からの「原発マネー」3億2000万円に 関西電力会長以下20人へ 

 27日午前の段階で、NHKは関西電力の経営幹部6人、福井県高浜町の元助役から、合わせておよそ1億8000万円の資金が流れたと報じましたが、その後関西電力会長以下計20人に、合計およそ3億2000万円が渡されたことが分かりました。
 それらは去年、金沢国税局の税務調査で指摘され後、一部もしくは全部を返還し、所得税の修正申告をしたということです。
 いずれにしても常識では理解できない金の流れがあったのは事実で、不透明な「原子力マネー」の巨額さが改めて浮き彫りになりました。
 NHKの続報と東京新聞の記事を紹介します。
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関電会長ら20人に総額3億円余 原発地元 “有力者” から
NHK NEWS WEB 2019年9月27日
関西電力の岩根茂樹社長は27日、記者会見を開き、関西電力の原子力発電所がある福井県高浜町の元助役から、会長や社長など経営幹部や社員合わせて20人が多額の金品を受け取り、その総額は3億2000万円相当に上ることを明らかにしました。
 
関西電力の岩根社長は27日、大阪 北区の本社で記者会見を開き、冒頭「関係者や社会の皆様に多大な心配をおかけし、深くおわび申し上げます」と陳謝しました。
そのうえで、自身や八木誠会長などの経営幹部や社員合わせて20人が関西電力の原発がある高浜町の森山栄治元助役から、物品や金銭合わせて3億2000万円相当を受け取っていたことを明らかにしました。
 
多額の金品の受領は去年、金沢国税局の税務調査で指摘され、その後、一部もしくは全部を返還し、所得税の修正申告をしたということです。
岩根社長は森山元助役について「地元の有力者で、地域行政の観点から世話になっている。関係悪化をおそれ、金品を返せなかった」と述べました。
森山元助役はことし3月、90歳で亡くなっていますが、関係者によりますと、国税局の税務調査では、元助役が原発関連の工事を請け負う地元の建設会社から受注に絡む手数料を受け取り、この一部を関西電力の経営幹部に渡していたことが判明したということです。
 
これについて岩根社長は、関西電力が工事で支払った金が還流したという認識はないとし、社内調査で、建設会社への工事の発注プロセスに問題はなかったと強調しました。
そのうえで「不適切だったが違法ではないため、社内で公表しないことを決めた」と述べました。
 
 
関電20人、3.2億円受領 原発マネー「還流認識ない」
東京新聞 2019年9月27日
 関西電力の八木誠会長(69)を含む役員ら六人が関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役の故森山栄治氏(今年三月に九十歳で死亡)から多額の金品を受領していた問題を受け、関電の岩根茂樹社長(66)が二十七日、大阪市の本店で臨時の記者会見を開き「二〇一一年からの七年間で二十人が計三億二千万円を受け取っていた」と明らかにした。辞任は否定した。
 「常識の範囲を超える金品は受け取りを拒んだり、返却を試みたりしたが、強く拒絶されたため一時的に個人の管理下で保管していた」と説明。既に自身と八木会長は報酬減の処分を受けたとし「それ以外の処分人数と内容は差し控える」と語った。
 「調査の結果、見返りとなるような行為はなかった。(原発関連工事費が経営陣に)還流したという認識はない」「(工事の)発注プロセスに問題がない」と強調した。
 
 菅原一秀経済産業相は二十七日の閣議後会見で「事実であれば極めて言語道断。ゆゆしき事態だ。事実関係を徹底解明して、厳正に処する」と述べた。同日午前に関電側から事情を聴いていることも明らかにした。
 関係者によると、森山氏への金沢国税局による税務調査の過程で六人は一七年までの七年間に計約一億八千万円を受領していたことが確認された。四人は調査が始まった昨年、すぐに全部や一部の返還を始めた。ただ、受領から既に相当の期間が経過し、自身の所得に当たるとみなされる可能性があったため、自主的に雑所得として税務申告もした。
 
 岩根社長は会見で「原子力事業に影響が出るのではないか」とためらい、返せなかったと話した。
 関係者によると、国税局は税務調査の結果、森山氏が高浜原発などの関連工事を請け負う高浜町の建設会社から、工事受注に絡む手数料名目で約三億円を受領していたことをつかんだ。さらに調査を進め、森山氏から関電役員ら六人への資金の流れを確認したという。
 資金は個人口座に送金したり、現金入りの菓子袋を届けたりして関電側に渡したとされる。森山氏は国税局に「関電にはお世話になっているから」と説明したという。
 工事経歴書によると、高浜町の建設会社は一五~一八年、原発関連工事を少なくとも二十五億円受注。原発関連の工事費として立地地域に流れた「原発マネー」が経営陣個人に還流した可能性がある。
 
◆社長一問一答「関係悪化恐れた」
 岩根茂樹関西電力社長の二十七日午前の記者会見での一問一答は次の通り。
 -金品受領の概要を。
 「二十人が計三億二千万円を受け取っていた。報酬減の処分を受けている」
 -社長の責任は。
 「会社として対処すべきものが個人の管理となっており、トップのリーダーシップの問題を感じている」
 -社長や(岩根氏が務める)電気事業連合会会長職の辞任は。
 「再発防止を行うことで責任を全うする」
 -金品の原資への認識は。発注した原発工事の資金が還流したのか。
 「そのような認識はない」
 -背広券を使ったとの話もある。
 「儀礼的なもので返却できていないものはある」
 -福井県高浜町の元助役の故森山栄治氏から金品を拒めなかった理由は。
 「地元の有力者で、地域調整の観点でお世話になっている。先方も厳しい態度で返却を拒まれたので関係悪化を恐れた
 -岩根社長自身が金品を受け取った状況は。
 「社長就任後に本社にごあいさつに来られた。原子力事業運営と地域に関して話した後、直接受け取った。役員から高額なものかもしれないと言われ別に管理した」
 -税務調査前に返す努力はしたか。
 「私が直接ではないが、社としては試みた」
 -東日本大震災後の節電時期も金品を受け取っていた。
 「原子力の信頼を回復する必要がある時で、心よりおわびする」
 -元助役が、原発関連工事を請け負う建設会社と関連している認識はあったか。
 「認識はあった」