2019年9月16日月曜日

自主避難者を「担当でない」 田中復興相 資質問われる

 田中和徳・新復興相は13日の会見で、政府による避難指示区域外からの「自主避難者」に関して、「復興庁は担当ではない」と発言しました。復興庁は、「子ども・被災者支援法」を所管しており、復興担当相としての資質が問われる発言です。
 
 同支援法が第2条で「.被災者自らの意思による居住、移動、帰還の選択の支援」を謳い、3条では「(国は)原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任(を負う)」と謳っていることに照らしても、年間被曝量20ミリシーベルト以下は居住可能として、そこから避難した人たちを「自主避難者」として差別し、援助対象から除外するというのは大いなる間違いです。
 
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
 
(追記 少なくともチェルノブイリ事故後にソ連(現ロシア他)が、年間被曝量「1ミリシーベルト以下」は「居住可能」、「1~5ミリシーベルト」は「被災者が居住するか避難するかを決定する」、「5ミリシーベルト以上」は「避難する」と決めた基準に基づくべきで、あまりにも法外な「20ミリシーベルト基準」で差別するなどは許されないことです。)
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自主避難者を「担当でない」 田中復興相、資質問われる
しんぶん赤旗 2019年9月15日
 新入閣した田中和徳復興相は13日の会見で、東京電力福島第1原発事故に伴う政府による避難指示区域外からの「自主避難者」に関して、「(復興庁は)担当ではない役所」と発言しました。復興庁は、避難指示区域内、区域外を問わず、原発事故の被災者が避難や帰還などの自己決定権を持ち、国が支援するとした「子ども・被災者支援法」を所管しています。復興担当相としての資質が問われる発言です。
 
 田中氏は、避難指示区域以外からの避難者が、福島県から国家公務員住宅からの立ち退きを求められ、家賃の2倍相当額を請求されている問題に関する質問に対して発言。担当ではないとして「コメントを差し控える」としました。
 また、自主避難者に対応する省庁についてただされると、「福島県の方で責任をもってやっていただいている」と述べました。
「自主避難者」は、東電の賠償がほとんどないなか、家族が離ればなれで暮らす二重生活で経済的困難も深刻です。数少ない支援策であった住宅の無償提供も2017年3月末で打ち切られました。
 安倍自公政権の下で、17年には今村雅弘復興相が「自主避難は自己責任」という趣旨の発言をしました。「子ども・被災者支援法」を骨抜きにし、「自主避難者」を切り捨てる態度が続いています。