福島原発の汚染水を浄化した「処理水」について、原田環境相は10日の閣議後記者会見で「海へ放出して希釈するしか選択肢はないと思う」と述べました。
政府の本音を述べていますが環境省は処理水の扱いについては所管外で、海外からも注目されている案件なので波紋を呼びそうです。
韓国外務省当局者は10日、「最終処理方針は決まっていないというのが日本政府の公式な立場だ」と指摘した上で、「関連動向を綿密に注視している」と語りました。
菅官房長官は10日午後の記者会見で「現時点で処分方法を決定した事実はない。政府小委員会で議論を尽くし、しっかり検討を進める」と述べるとともに、原田氏の発言を「個人的意見と承知している」とも話しました。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、日本政府が福島原発で発生した放射能汚染水100万トン以上の海への放流を計画しているとするグリーンピース・インターナショナルの主張を受けて、「人類共同の富である青い海を核の廃棄物で汚すことを絶対に許さない」とする論評を配信しています。
ゴマカシのない処分方法を日本が如何に決めるのか、いま世界が注目しています。規制委が繰り返し発言しているような「海洋放流論」が受け入れられないのは言うまでありません。
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原発処理水「放出しかない」 原田環境相が発言
東京新聞 2019年9月10日
東京電力福島第1原発で増え続ける汚染水を浄化した後の処理水に関し、原田義昭環境相は10日の記者会見で「所管外ではあるが、思い切って放出して希釈する他に選択肢はない」と述べた。海洋放出計画の有無に懸念を示す韓国政府に、日本政府は「処分方法は未定」と回答しており、現職閣僚の原田氏の発言は議論を呼ぶ可能性もある。
内閣改造を前に、就任約1年間の仕事を振り返った感想として答えた。第1原発敷地内に立ち並ぶ処理水保管タンクを視察したことや、原子力規制委員会が海洋放出案を支持している点を理由に挙げた。
東電は、2022年夏ごろ保管タンクが満杯になる見通しを示している。(共同)
韓国「関連動向を注視」=原発処理水の海洋放出発言で
時事通信 2019年9月10日
【ソウル時事】東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含んだ処理水をめぐり、原田義昭環境相が「(海に)放出して希釈するしか方法がない」と発言したことを受け、韓国外務省当局者は10日、「最終処理方針は決まっていないというのが日本政府の公式な立場だ」と指摘した上で、「関連動向を綿密に注視している」と語った。
菅氏「処分決定した事実ない」 環境相の処理水発言で
共同通信 2019/9/10
東電福島第1原発の処理水の扱いを原田義昭環境相が「思い切って放出して希釈する他に選択肢はない」などと発言したことに関し、菅義偉官房長官は10日午後の記者会見で「現時点で処分方法を決定した事実はない。政府小委員会で議論を尽くし、しっかり検討を進める」と述べた。「個人的意見と承知している」とも話した。
原田氏は同日午前の記者会見で、所管外だと前置きした上で、海洋放出以外の選択肢はないとの考えを示した。韓国を念頭に「国によっては意見が出ると思うが、誠意を尽くして説明することが何よりも大切だ」としたほか「政府全体でこれから慎重に議論されると思う」とも付け加えた。
「放射能汚染水の放流、許さない」北朝鮮が反発
デイリーNKジャパン 2019年9月5日
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、日本政府が福島第1原発で発生した放射能汚染水100万トン以上の海への放流を計画しているとする国際環境団体のグリーンピース・インターナショナルの主張を受けて、「人類共同の富である青い海を核の廃棄物で汚すことを絶対に許さない」とする論評を配信した。
論評は、「地球上には原発を運営する国が少なくないが、他国と他民族の生存まで脅かして核の廃棄物をやたらに捨てると公然と言いふらす国は唯一、野蛮国である日本しかない」などとしている。
東京電力によれば、福島第1原発の敷地内に設置された処理水保管タンクは2022年夏ごろ限界を迎える。東京電力は、処理水は安全上問題ないとして、海への放出を検討しているが、福島地域の漁業関係者や韓国など周辺国が反発している。