原子力規制委は27日、女川原発2号機の新規制基準適合性審査会合を開き、地震・津波分野と設備分野で計36の審査項目の実質的な審議を終えました。
年内にも新基準への適合を認める審査書案がまとまり、事実上の「合格」となる可能性があります。
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<女川2号機>審査 実質終了 規制委 年内にも「合格」
河北新報 2019年09月28日
原子力規制委員会は27日、東北電力が再稼働を目指す女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の新規制基準適合性審査会合を開き、地震・津波分野と設備分野で計36の審査項目の実質的な審議を終えた。年内にも新基準への適合を認める審査書案がまとまり、事実上の「合格」となる可能性がある。
174回目となった会合で、東北電は地震・津波分野の審査内容をまとめた資料を説明。規制委の石渡明委員は「おおむね妥当な検討がなされた。今後の審査会合で審議すべき論点はないと考える」と総括した。
規制委は今後、一連の審議や東北電が提出した補正書の内容を検討。必要に応じて面談や会合を開き、審査書案の作成を進める。会合後、東北電の担当者は「引き続き気を引き締め、一日も早い再稼働に向けて全力で取り組む」と話した。
東北電は2013年12月に審査を申請。東日本大震災で被災したことで固有の課題が多く、基準地震動(最大想定の揺れ)や基準津波(最大想定の津波)、原子炉建屋で確認されたひび割れと剛性(変形しにくさ)低下などの議論が長期化した。
震災などを踏まえた地震、津波への対策不足も指摘され、東北電は防潮堤の地盤改良など追加工事を実施。安全対策工事費は当初の想定を超え、3400億円程度に膨らんでいる。
東北電は同工事を終える20年度以降の再稼働を目指すが、ハードルは高い。設計方針を定めた設置変更などの許認可に加え、宮城県と女川町、石巻市の地元同意を巡る判断、安全性を検証する県有識者検討会の議論が控え、原子力災害に対応した広域避難計画の実効性などが焦点となる。
東京電力福島第1原発事故を踏まえた新基準に合格し、再稼働したのは加圧水型炉の9基のみ。福島第1原発と同じ女川2号機など沸騰水型炉は、東電柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)と日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)が合格している。
宮城県の村井嘉浩知事は県庁で取材に応じ、地元同意に関して「白紙だ。関係市町や県議会の考えを聞いて判断する」と説明。「最終的にまだ(規制委から)ゴーサインが出ていない。注意深く、関心を持って見守る」と述べた。
◎東北電力女川原発2号機を巡る動き
1995年7月 営業運転開始
2011年3月 東日本大震災
13年12月 東北電が原子力規制委員会に新規制基準適合性審査を申請。再稼働目標を16年4月以降とする
15年6月 再稼働目標を安全対策工事完了後の17年4月以降に延期
17年2月 安全対策工事完了を18年度後半に延期。再稼働時期は明示せず
18年4月 安全対策工事の完了時期を20年度に延期
19年1月 7月中の審査終了を目指すと発表。審査スケジュール延期は5回目
7月 設備分野の審査項目についての説明と規制委の指摘事項への回答を一通り終える。地震・津波分野は一部の説明と回答が残る
9月 東北電が規制委に補正書提出。実質的な審議終了