27日に開かれた国の有識者会議で、福島第一原発のトリチウム含有水の処分法が議論されました。
同汚染水は現在1000基近くのタンクでおよそ116万トンを保管していて、いまも毎日170トン前後増え続けています。
東電は、これから10年ほどの間に、敷地内に廃炉を進めるための10の施設を作る必要があり、タンクを増設し続けることは困難だという見解を再び示しました。何としてもタンク増設の余地がないことを強調したい気持ちがありありで、将来の増設予定地もすべてが廃炉に使われるという内容になっているようですが、常識で考えてそんなことはあり得ません。
現時点で有力な案は、汚染水を123年間保管すればトリチウムは自然崩壊で放射線レベルが1000分の1に減少するので、それまで保管してから放流すべきだというものです。
しかし問題は、その間約120年分をタンクで保管する必要があり、その総量は740万トンほどになることです。
核燃料デブリの冷却は、クローズドシステム(完全循環型・冷却設備付き)なので、地下水の混入がなければ汚染水の定常的な増加はなくなります。やはり基本に返って、遮水壁を完全なものにして地下水が建屋の地下室に流入しないようにすることです。
そのためには先ずは現行の隙間だらけの凍土式遮水壁は止め、コンクリート製(底板は地下30mに存在する不透性岩盤を利用)のものに作り直すことです。
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福島第一原発 トリチウム含む水の処理巡り有識者会議
NHK NEWS WEB 2019年9月27日
福島第一原子力発電所の、トリチウムなどを含む水の扱いを議論する国の有識者会議が開かれ、委員からは、仮に、海などの環境中に放出して処理しようとする場合は、地元の産業の復興状況も考慮する必要があるなどといった意見が出されました。
福島第一原発で出る汚染水を処理したあとの水には、取り除くのが難しいトリチウムなどの放射性物質が含まれ、東京電力は、原発構内の1000基近くのタンクで、およそ116万トンを保管していますが、いまも毎日170トン前後増え続けています。
この水の扱いを議論する国の有識者会議が27日開かれ、東京電力は、これから10年ほどの間に、廃炉を進めるための10の施設を作る必要があり、原発の敷地内にタンクを増設し続けることは困難だという見解を改めて示しました。
また、経済産業省は、仮に、水を基準以下に希釈したうえ、海などの環境中に放出して処理する場合は、風評被害への対策として、消費者や流通関係者に対して、説明や働きかけを行うなどといった案を示しました。
これらについて、風評問題が専門の委員からは「きょう示された対策は、すでに行われているもので、目新しいものはない。水を処分するのであれば、風評の影響を受ける漁業などの産業が、どの程度、復興しているかといった、社会の時間軸を踏まえて、考えることも重要だ」といった意見が出されました。
また、別の委員からは「地域の中には、いろいろな意見があるので、声を丁寧に聞くようにしてほしい」といった意見も出されました。
有識者会議では今後も、原発の敷地の有効な利用方法や、実効性のある風評被害対策などについて継続して議論するということです。