2021年7月11日日曜日

海洋放出方針に懸念の声 東京で第一原発処理水の関係閣僚会議作業部会

 9日、福島原発汚染水の海洋放出を巡る関係閣僚会議作業部会が開かれ、午前中の第5回には商工、小売、観光、消費者関連の全国団体の代表者が出席し特に1次産業、観光業を基幹産業とする地域の経済に甚大な被害が出る可能性を指摘したり、国の方針決定の過程や姿勢について疑問視する声上がりました。
 午後の第6回では行政関係者が意見を述べ岩手県の復興防災部長は「県内のなりわいの再生に多大な影響を及ぼす処理水の処分については不満、懸念の声が上げられている」と述べ、国の責任による対応を求めました
 前回のヒアリング会議のように、単に聞き置くだけで当初の方針通りに進むというようなことは改めるべきです。
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海洋放出方針に懸念の声 東京で第一原発処理水の関係閣僚会議作業部会
                           福島民報 2021/07/10
 福島県にある東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出方針を巡り、政府は9日、東京都で関係閣僚会議ワーキンググループ(作業部会)を開いた。出席した商工、小売、観光などの全国団体からは「風評により幅広い産業が影響を受ける」と政府の方針への懸念の声が上がった。北海道と青森、岩手の両県も国の責任による関係地域への対策の強化などを求めた。
 東京での作業部会は2回に分けて開催した。第5回には商工、小売、観光、消費者関連の全国団体の代表者が出席した。
 日本商工会議所の久貝卓常務理事は「処理水を海に放出すれば風評により漁業含め観光、流通など幅広い業種に大きな影響を及ぼす」と懸念を表明。特に、1次産業、観光業を基幹産業とする地域の経済に甚大な被害が出る可能性を指摘し、政府が前面に立って事業者への支援策や万が一の際の賠償などにするよう求めた。日本旅行業協会の志村格理事長は「風評はインバウンド、輸出にも影響を与える。科学的根拠だけでは納得しない国もある」と国の外交対策強化の必要性を指摘した。
 国の方針決定の過程や姿勢について疑問視する声も上がった。全国消費者団体連絡会の浦郷由季事務局長は「最も懸念される風評被害を回避する対策が検討が十分になされていない」と訴えた。
 第6回では、行政関係者が意見を述べた。このうち、岩手県の戸舘弘幸復興防災部長は東日本大震災からの復興が途上である中、「県内のなりわいの再生に多大な影響を及ぼす処理水の処分については不満、懸念の声が上げられている」と述べ、国の責任による対応を求めた。
 作業部会終了後、記者団の取材に応じた江島潔経済産業副大臣は引き続き団体などからの意見聞き取りの調整を進めるとともに、8月にも必要な施策についての中間とりまとめを行う考えを示した。


福島第一 処理水 風評対策など議論 正確な発信や補償明示の声
                     NHK NEWS WEB 2021年7月9日
東京電力福島第一原子力発電所で出ている処理水の海洋放出に伴う風評対策などを議論する国のワーキンググループが、東京で会合を開き、流通や旅行業などの団体が、地元の理解を得ることや風評を防ぐ正確な情報発信、経済的な補償の明確化などを求めました。
福島第一原発で増え続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、政府は2年後をめどに国の基準を下回る濃度に薄めて海に放出する方針を決め、その後、風評対策などを議論するワーキンググループを設置しています。
9日午前中の会合では流通や旅行業などの団体からのヒアリングが行われ、日本商工会議所は「地元からは新たな風評を懸念する不安の声が寄せられている。地元の理解を得ることが何よりも重要で、経済の補償などを明確に示すことが不安の払拭(ふっしょく)に重要だ」と述べました。
また、スーパーなどが参加する日本チェーンストア協会は「風評を防ぐためには、いかにお客様に安心を提供できるか。正しい情報の浸透が基本で、聞き手に寄り添った情報発信を工夫するとともに、放射性物質の検査も充実させてほしい」と述べました。
午後の会合では、北海道、青森県、岩手県の担当者が出席し、水産業への影響を考慮して、不安や懸念の声をよく聞き、丁寧に説明するなど慎重な対応を求めました。
会合後、座長を務める江島経済産業副大臣は「海洋放出の方針決定後、説明を重ねてきたが、ご懸念、ご不安をたくさんうかがい、これらの払拭が非常に重要だ。現場の声、業界の意見を反映し、今後の風評対策にしっかり生かしていきたい」と述べました。
政府は、これまでの会合を踏まえ、来月末までに今後の風評対策などについて中間的な取りまとめを行いたいとしています。