東電は6日、福島第2原発の廃炉作業に着手し、1号機原子炉建屋内で行われた除染作業の様子を報道陣に公開しました。
分解装置の表面線量は毎時0・3〜4・0ミリシーベルトで、作業室の空間線量は毎時0・1ミリシーベルトでした。
第2原発では現在、1日当たり750人の作業員が働いていて、三嶋所長は「1~4号機は同じ型で、習熟効果が得られやすい。44年にこだわらず短縮すべきところは短縮したい」と述べました。
解体で生じる放射性廃棄物について、免許を持った処理事業者は日本にいないとのことで、県外への搬出先も未定です。
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東電 福島第2原発の除染着手 使用済み核燃料搬出など課題山積
毎日新聞 2021年7月7日
東京電力は6日、廃炉作業が始まった福島第2原発(福島県楢葉町、富岡町)の除染作業を報道関係者に公開した。東電は2064年度までに全4基の廃炉完了を目指すが、使用済み核燃料の搬出や放射性廃棄物の処理方法など課題は山積している。【寺町六花】
報道陣への公開は、2018年6月に東電が第2原発の廃炉方針を正式表明して以降初めて。記者は何重ものセキュリティーチェックを受け、1号機の6階建て原子炉建屋4階にたどり着いた。
4階では防護服を着て防じんマスクをかぶった作業員が2チームに分かれて作業していた。原子炉内で燃料の核分裂反応を抑えていた制御棒を出し入れする駆動機構(CRD)の補修室にある、CRDの分解装置などを高圧洗浄機を使って水を吹き付け放射性物質を除染した。1〜4号機の分解装置の表面線量は毎時0・3〜4・0ミリシーベルトになるという。この作業を補修室の外から見学した記者は防護服を着ることはなかった。
東電によると、第2原発では現在、1日当たり750人の作業員が働いているという。
東電は44年間の廃炉工程のうち最初の10年間を「解体工事準備期間」と位置付けている。取材に応じた福島第2原発の三嶋隆樹所長は「44年間という非常に長い廃止措置がスタートすることを実感した。地域の皆さんの理解と信頼を第一に安全着実に作業を進めたい」と話していた。
ただ、課題は多い。9532本の使用済み核燃料は県が県外搬出を求めている。東電は、金属製容器に入れて空気の循環で冷やす乾式キャスク貯蔵施設を敷地内に設置し一時保管する予定だが、最終的な搬出先は未定だ。三嶋所長は「県外搬出は県との約束だが、行き先を決めるのには時間がかかる」と説明した。また、解体で生じる放射性廃棄物について「免許を持った処理事業者は日本にいない。他電力と連携して解決し、早く道筋をつけたい」と話した。
福島第二原発の廃炉作業 東京電力が1号機原子炉建屋で開始の除染作業公開
福島民報 2021/07/07
東京電力は6日、福島第二原発1~4号機の廃炉作業のうち、1号機原子炉建屋内で始まった除染作業を報道陣に公開した。三嶋隆樹所長は公開後、処分の見通しが立たない使用済み核燃料や放射性廃棄物を課題に挙げつつ、44年の廃炉期間の短縮を目指す考えを示した。
除染は廃炉の第一段階に当たる解体工事準備期間(10年)の主要な取り組みの一つ。東電は6月23日に廃炉作業に着手した。制御棒を操作する設備の保守点検を行う1~4号機の「制御棒駆動機構補修室」の除染準備を進めてきた。
6日は1号機の補修室内で制御棒駆動機構半自動分解装置の除染を実施した。全面マスクをした東電や協力企業の社員12人が、高圧洗浄機を使い装置の排水管などに付いた放射性物質を洗い流した。室内の放射線量はおおむね毎時0・1ミリシーベルトだった。
三嶋所長は作業公開後、福島第一原発の廃炉の状況を踏まえながらの作業になると強調。「1~4号機は同じ型で、習熟効果が得られやすい。44年にこだわらず短縮すべきところは短縮したい」と述べた。
使用済み核燃料の県外搬出と放射性廃棄物の処分については、「福島第二原発だけの問題ではない。他の電力会社と連携し、国と協議し解決しなければならない」と語った。
第2原発の除染開始「44年にこだわらず」
福島民友 2021年7月7日
東京電力は6日、福島第2原発の廃炉作業のうち、第1段階(解体工事準備期間)の除染作業を開始した。三嶋隆樹所長は同日、作業を視察した報道陣の取材に応じ、第2原発の廃炉工程について「(廃止措置計画に示した完了までの期間の)44年にこだわらず、福島第1原発の状況を踏まえながら、短縮すべきところはしっかり短縮していきたい」との考えを示した。
この日は1号機原子炉建屋内の制御棒を出し入れする設備(CRD)をメンテナンス(補修)する部屋で、作業員たちが高圧洗浄機を使って作業。CRDの補修に使用する分解装置の排水ラインを除染した。
1号機の部屋の空間線量は毎時0.1ミリシーベルト程度。CRDは原子炉内の水に触れるため放射性物質が付着しており、補修室内も汚染されている。分解装置は長さ10メートル、幅0.6メートル、高さ1.25メートル程度で、表面線量は毎時4.0~0.3ミリシーベルトとなっている。除染作業は12人による2班体制で進める。
東電によると、第2原発は2~4号機にも同様の部屋があり、順次除染する。
第2原発の廃炉工程は4段階に分かれている。第1段階は10年かかり、第2段階(12年)で発電機タービンなど周辺設備、第3段階(11年)で原子炉本体など、第4段階(11年)では原子炉建屋などを撤去する。三嶋所長は1~4号機が同じ型のプラントを採用しているとし「1号機で培った技術はそのまま作業に展開できる」と述べた。
果てしなさ、改めて実感
福島第2原発で進む廃炉作業のうち、1号機建屋内の除染作業に着手した東京電力は6日、原子炉建屋内部の様子を報道関係者向けに公開。廃止措置計画で44年かかるとされる、廃炉作業の現場を取材した。
ゲートでのチェックを経て1号機原子炉建屋に入ると、空調設備などによるごう音が、むき出しのコンクリート空間に響く。案内役の東電社員との会話も声を張り上げないと成り立たないほどだった。
この日の作業は、原子炉格納容器に制御棒を出し入れする装置のメンテナンスを行う部屋の除染。作業員5人がビニール製の防護服を着込み作業に当たっていた。
建屋内は、普段着にヘルメットと手袋のみの記者でも汗ばむほどの暑さ。防護服に全面マスク姿の作業員が感じる温度は、実際よりも12度ほど高くなるといい、熱中症対策が求められる。東電から貸し出された線量計は約1時間半の取材終了後も「0」を示したままだった。
この日除染した範囲は広大な第2原発のほんの一角に過ぎず、廃炉工程の果てしなさを改めて実感した。新潟県の柏崎刈羽原発に続き、ここ福島第2原発でも核物質防護の不備が判明している。長い道のりの中での廃炉は地域、県民の理解と信頼を得ながら進める必要がある。
取材に応じた三嶋隆樹所長は相次ぐ不祥事に「気付く力が不足していた」と社内体質改善の必要性を強調した。東電には県民、国民と誠実に向き合い、その一挙手一投足に責任を持った廃炉作業が求められる。(報道部・鹿岡将司)