大飯原発に関する大阪高裁控訴審判決について、続報として2つの記事を紹介します。
地震動データには当然バラツキがあり、平均値の定義からその半数が「平均値より大きい方向にバラツキ」ます。従って平均値に一定数を上乗せしたものが「基準地震動」でなければなりません。
大阪高裁の言い分は、個々のデータを求める段階で安全側に考慮したとしていますが、その場合もその「平均値を採ることで良い」ものではなく、当然バラツキの最大値を吸収できるものではないので、個々にバラツキを検討して上乗せする必要があります。
こうした観点から大阪高裁判決は理解に苦しむもので、曖昧な表現を用いて誤魔化した感じがあります。
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専門家の意見重視 規制委審査手法を容認 大阪高裁
時事通信 2026/5/29
関西電力大飯原発の設置許可を妥当とした28日の大阪高裁判決は、一審大阪地裁とは逆に原子力規制委員会の審査手法に問題はないと判断した。
基準地震動を策定する際に、計算式から導かれる平均値からの「ばらつき」について「考慮は必要」としながらも、専門家の意見を重視して具体的な方法で幅を認めたことから、結論が分かれたと言える。
地裁判決は、規制委の「審査ガイド」に「ばらつき条項」が記載された際、東京電力福島第1原発事故を教訓に専門家の発言を踏まえて追加された経緯を重視。地震動について「平均値より大きい方向に乖離(かいり)する可能性を考慮して設定するのが相当」と解釈し、平均値に上乗せする必要性を検討すべきだと判断した。
これに対し、高裁判決は同条項について、「計算式の前提データとの乖離の度合いをより慎重に踏まえる必要がある」との趣旨で、具体的な考慮方法に関する記載は見当たらないとした。
その上で、地裁判決が発言を引用した専門家を含め、「上乗せの検討を必要とする趣旨ではない」「審査実務でも震源断層を保守的に設定し、それを確認する」との意見を示したと言及。主要な数値を保守的に設定することでばらつきを考慮するとの国側の主張を容認した。
このほか、非常用取水路の上を通る破砕帯が活断層かどうかや、汚染水の海への拡散を抑制する設備の必要性についても住民らの主張を退け、地裁とは異なる判断を導いた
大飯原発訴訟、規制委審査過程に「過誤、欠落認められない」 1審取り消し、大阪高裁
産経新聞 2026/5/28
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を巡り、周辺住民らが国に対し原子炉の設置変更許可の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が28日、大阪高裁であった。川畑正文裁判長は許可は違法として請求を認めた令和2年の1審大阪地裁判決を取り消し、住民側逆転敗訴の判決を言い渡した。原子力規制委員会の判断に「看過しがたい過誤、欠落は認められない」と判断した。
主な争点は、原発の耐震設計で目安とするために関電が策定した「基準地震動」が適正だったか否かだった。
規制委の内規である審査ガイドには大飯3、4号機の審査当時、基準地震動を策定する重要要素となる地震規模について、数式で算出される数値と実際の観測データとのばらつきを考慮する必要があるという「ばらつき条項」があった。
地裁判決は条項について、実際の地震が数式で算出した数値を上回る可能性を考慮し、数値への上乗せが必要か否かを検討することを求めたものだと解釈。審査ではこうした検討が行われていなかったと断じ、許可取り消しの結論を導いた。
だが川畑裁判長はこの日の判決理由で、条項がガイドに入った経緯などを踏まえ、「上乗せが必要か否かを検討すべきことを意味するものとはいえない」として、地裁の解釈を否定した。
その上で、関電は想定される震源の断層面積など、さまざまな数式に当てはめる変数を地震動が大きくなるように設定しており、ばらつきを考慮していると指摘。住民側が主張するその他の争点を含め、規制委の調査審議や判断に「不合理な点は認められない」と結論付けた。
新規制基準は、東日本大震災の東京電力福島第1原発事故を踏まえ、平成25年に施行。大飯3、4号機は29年5月に合格して許可を得た。
規制委は判決を受け「引き続き新規制基準への適合性審査を厳正に進め、適切な規制を行う」とコメントした。