福島第1原発事故から12年を迎えるのを前に、原子力規制委の山中伸介委員長は10日、事務局の原子力規制庁職員に対して 「原子力に100%の安全は無いことを肝に銘じながら、常に科学技術に基づいた判断をしてほしい」と呼び掛けました。
その通りではあるのですが、これは一歩間違うと「だから現状で再稼働するのはやむを得ない」と正当化する口実にもなります。
原発の運転差し止め判決を出した元福井地裁裁判長の樋口英明氏は、原発がひとたび過酷事故を起こせば大企業の100年分の利益が失われると警告しています。要するに100%安全でなければ再稼働させてはいけないということです。
そうした厳しさとは無縁の山中氏が公然と「100%の安全は無い」というのは、大いに警戒すべきことです。
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「100%の安全無い」 原子力規制委員長が訓示 東日本大震災12年
時事通信 2023/3/10
東京電力福島第1原発事故から12年を迎えるのを前に、原子力規制委員会の山中伸介委員長は10日、事務局の原子力規制庁職員に対して訓示した。
【図解】福島第1原発廃炉作業の今後
「原子力に100%の安全は無いことを肝に銘じながら、常に科学技術に基づいた判断をしてほしい」と呼び掛けた。
元大学教授で、長年原子力に携わってきた山中委員長は「あの事故は痛恨の極み」と述懐。「(科学技術の)利点や効率を追い求めるあまり、危険を見落とし、あえて目をそらすことがあってはいけない」と強く戒めた上で、事故の教訓と反省を決して忘れてはならないと訴えた。