原発の60年超運転を事実上容認する原子炉等規制法(炉規法)改正案が28日に閣議決定されました。しかしその根拠や規制内容は規制委で検討が始まったばかりで何も決まっていません。
規制委の山中委員長は60年までの審査については、「現行制度でも十分評価できている」として、課題となるのは現状で規定がない60年超の場合だとしていますが、果たしてそうでしょうか。
そもそも40年経過した原子炉が「何らかの検査」でOKになれば、さらに一挙に20年延長できる(20年先まで殆ど劣化しない)というのは、どういう根拠に基づいているのでしょうか。
同様に60年経過しても「何らかの検査」でOKになれば、さらに一挙に10年ずつ延長できるというのは、どういう根拠に基づいているのでしょうか
日本は大事故が起きるまでは強気で進み、事故が起きても10年もすればそのことを忘れてしまうというのが実態ですが、キチンとした根拠がないままに運転期間延長を優先させるのは最も安全に反することです。
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具体的規制、議論先送り 原発の60年超運転 規制委
時事通信2023/3/1
閣議決定された原子炉等規制法(炉規法)改正案は60年超運転を事実上容認する内容となっている。
ただ、規制内容の詳細については、原子力規制委員会での検討が始まったばかりで、議論が先送りされた形となった。
原発の運転期間を原則40年とする現行法では、運転を延長する場合、劣化が進んでも最長60年の運転終了時まで基準を満たすか審査すると規定している。
このため、規制委の議論では、60年までの審査については「現行制度でも十分評価できている」(山中伸介委員長)として、大きく変える必要はないとされた。一方で、課題となるのは現状で規定がない60年超の場合だ。
改正案では、運転開始から30年を超えて運転する場合、10年ごとに劣化状況を調べて規制委の認可を受けるとした。審査などで停止している期間を算入しないことで、事実上の60年超運転を認める方針だ。
世界的にも60年を超えて運転した原発はなく、劣化の予測手法には未知数な部分がある。また、一つ一つの機器は新しくても、建設時の安全設計自体が時代遅れになっている懸念もある。
ただ、こうした問題への対処は、細かい規定で定めることとなり、閣議決定までに議論は深まらなかった。改正案に同意した伴信彦委員も、「60年超えをどうするかが後回しになり、ふわっとしたまま決めなければならず違和感を覚える」と苦言を呈した。
詳細な評価基準などを議論する規制委の検討チームは2月22日に初会合を開いた。改正案成立後、6カ月以内に新基準をまとめることを目指す。