福島県内の除染土壌は、45年3月までに県外で最終処分することが法律で定められていますが、遅々として進んでいません。そんな中で青森県風間浦村は再生利用する実証事業の受け入れを検討しているということです。しかしそれは例外的なケースと思われ全体的には手詰まり状態にあります。
それにkg当たり最大8000ベクレルもの高レベル放射性物質を全国にばら撒くという発想は、放射性物質は拡散させないで厳重に隔離保菅しなければならないという原則にも反するので、基本計画が甘かったというしかありません。
他県に頼めることは、精々厳重保管施設の建設が可能かどうかという辺りではないでしょうか。
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【除染土の理解醸成】社説 環境省は成果を示せ
福島民報 2023/3/18
東京電力福島第1原発事故に伴う中間貯蔵施設の除染土壌について、青森県風間浦村は再生利用する実証事業の受け入れを検討している。県外の自治体による初の動きとして注目される一方、環境省が関東地方で計画する実証事業は手詰まり状態にある。除染土壌を県外で最終処分するには、安全性への理解を浸透させる必要がある。環境省は取り組みを強め、成果を示さなくてはならない。
風間浦村の冨岡宏村長は「国全体の問題であり、福島のためにもなる」として、新年度にも本県の先行事例を視察する考えだ。現時点で村民に説明する場を設ける予定はなく、「きちんと話せば理解を得られると思う」との見通しを示しているという。実現すれば、除染土壌に対する国民の理解醸成への一歩となり得る。
除染土壌は、2045年3月までの県外での最終処分が法律で定められている。放射性物質濃度が比較的低いものは県内外の公共工事で使い、処分量を減らす方針だ。再生利用の割合が増えれば、最終処分の負担は軽減される。実証事業の意義は大きく、国は風間浦村を好例として後押しするとともに、さらなる拡充が求められる。
関東での実証事業は、環境省関連の埼玉県所沢市と東京都新宿区、茨城県つくば市の3施設で予定されている。しかし、所沢市の近隣住民らは「人家が近く、安全や安心が担保されない」「風評被害で地価が下がる」といった理由で反対を決議するなど、合意形成の道のりは険しい。環境省の担当者は「丁寧に説明していく」と繰り返すが、打開の糸口を見いだせないのが実情だ。
原発処理水と同様、県外での理解を広げる国の取り組みはまだまだ不十分に映る。環境省のアンケートで「除染土壌の再生利用を安全だと思うか」と尋ねたところ、「そう思う」は2・3%、「どちらかといえばそう思う」は13・9%にとどまり、理解が進んでいない実態が浮き彫りになった。新年度は小規模な車座の対話集会や、企業向けセミナーを開催するとしているが、協力の呼びかけだけでは意味がない。安全性などに関する専門家の見識を交えながら、有効な施策を展開してもらいたい。
原発事故は日本全体の問題であり、最終処分についても人ごとでは済まされないとの認識を国全体に広げなければ展望は開けない。事故の当事者である東電も国任せにすることなく、積極的に関わるべきだ。(角田守良)