公正取引委員会は30日、関西電力が中部電力・中国電力・九州電力と18年までに、お互いのエリアで顧客を奪い合う競争を避けるために、カルテルを結んでいたと認定しました。
公正取引委は、それにより自社エリアの電気料金の水準を維持または上昇させ、独占禁止法に違反したとして、中部電力・中国電力・九州電力の3社に対し合計1010億円の課徴金を納めるよう、命令しました。
関西電力については、「自らが関与したカルテルについて最初に自主的に報告した」として減免制度が適用され、課徴金が全額免除されました。当初中部、中国、九州の電力大手3社にカルテルを持ちかけたのは関西電力なので、関係各社は複雑な思いでしょう。
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「独占禁止法への理解が甘かった」 関電社長が会見し謝罪 競争避けるため他電力会社とカルテルも課徴金は全額免除
ABCニュース 2023/3/30
公正取引委員会は、関西電力が他の電力会社との競争を避けるためにカルテルを結んでいたと発表しました。
これを受けて関西電力の森望社長は会見を開き、「独占禁止法への理解が甘かった」と謝罪しました。
公正取引委員会は30日、関西電力が中部電力・中国電力・九州電力と2018年までに、お互いのエリアで顧客を奪い合う競争を避けるために、カルテルを結んでいたと認定しました。
公正取引委員会は、大口の顧客や官公庁に対する競争をお互いに制限することで、自社エリアの電気料金の水準を維持または上昇させ、独占禁止法に違反したとして、中部電力・中国電力・九州電力の3社に対し合計1010億3399万円という巨額の課徴金を納めるよう、命令しました。
いっぽうで関西電力については、「自らが関与したカルテルについて、公正取引委員会に最初に自主的に報告した」として減免制度が適用され、課徴金が全額免除されました。
関電の森望社長は会見で会社としてカルテルへの関与を認め、「お客さまや株主の皆さまをはじめ関係者の皆さまに、多大なご心配ご迷惑をかけたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。
関電によりますと、2018年に当時社長の岩根茂樹氏や当時副社長の森本孝氏らが他のエリアでの営業活動を縮小する方針を決め、中部や中国、九州の電力大手3社に持ちかけたということです。
関電は理由について、「競争激化で電力の販売価格が下がったため、電力量や価格を最適化しようと営業戦略の検討を重ねた」としています。
関電によりますと2020年に外部からの指摘を受けて社内調査を行ったところ、「独占禁止法違反の行為があった」と認識し、公正取引委員会に報告したということです。
森社長は「独占禁止法の理解が不十分だった」「競争する市場の中でのルール、公正な取引への意識、認識が薄かった」と述べ、森本前社長らの処分について、「社内規定に基づいてコンプライアンス委員会などの審議を経て決定する」としています。
また、森社長自身はカルテルに関わっていないと説明し、「コンプライアンスの徹底や組織風土の改革に全力を注ぐということが私のなすべきことだ」と、辞任を否定しました。