川内原発の20年の運転延長について検討している鹿児島県の原子力専門委員会の分科会が、九州電力による特別点検や劣化状況の評価は「適正」とする報告書案を示しました。
20年間の運転延長が問題ない=適正 と判断したということですが、何故20年も先のことを判断できるのでしょうか。一部の委員からは議論が足りないという声も上がっているということなので、これでは何のための検討だったのかということになります。
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川内原発運転延長「九電の評価は適正」 県専門委分科会が報告書案 鹿児島
MBC南日本放送 2023/3/24
川内原発の運転延長について検討している鹿児島県の原子力専門委員会の分科会が開かれ、九州電力による特別点検や劣化状況の評価は「適正」とする報告書案を示しました。
川内原発は1号機が来年、2号機が2025年に40年の運転期限を迎え、九州電力は60年までの運転延長を原子力規制委員会に申請しています。
24日は、原発の安全性や課題を議論してきた県の専門委員会の分科会が開かれ、九州電力が行った特別点検や劣化状況の調査で「異常は確認されなかった」とした評価は、「適正」とする報告書案を示しました。
しかし、一部の委員からは、議論が足りないとの声も。
(プラントが専門・星槎大学 後藤政志委員)「原発の安全性をどうやって確保するかという観点から抜けていること、見方が間違っていることがある」
(原子力コンサルタント 佐藤暁委員)「今、議論していることが安全にどう関わるのか。その議論が弱かった」
分科会では「延長の可否は判断しない」としてきた中、報告書案で「適正」と表現したことについて分科会の座長は…。
(京都大学特任教授 釜江克宏座長)「トータルとして(総合的に)運転期間延長の可否判断するのは分科会の役割ではない。あくまで可否を判断するのは原子力規制委員会」
報告書は来月をめどにとりまとめられ、塩田知事に提出されることになっています。
川内原発20年延長 県専門委員会分科会「延長は問題ない」
KYT鹿児島読売テレビ 2023/3/24
九州電力は40年の運転期限を迎える川内原発について20年の延長を申請しているが県の専門委員会の分科会が「延長は問題ない」とする報告書の案を示した。報告書は専門委員会で議論し塩田知事に提出され知事は今後、県の考えを示すことにしている。
九州電力が原子力規制委員会に申請した川内原発1、2号機の20年の運転の延長について県の原子力専門委員会の分科会は検証している。11回目の開催となった24日、検証の結果を取りまとめた報告書の案を示した。
総括として「九州電力は、特別点検の実施、劣化状況評価などそれぞれ適正になされている」とした上で「原子炉容器については有意な欠陥が認められない」「温度や圧力の影響を受ける機器に関しても運転開始後60年を通じて疲労割れが問題となる可能性がない」とした。「20年の運転の延長は問題ない」とする内容だ。
ただし、九電に留意して欲しい点として「原子炉容器について検査方法の高度化への取り組みが必要」「必要に応じ機器の補修や取替など保全の検討が必要」とした。
しかし、慎重な意見もあった。
(佐藤暁委員)
「留意すべき事項があるがもう一つ強いそれより上の分科会としての推薦があってもいい。無条件での合意なのか合意するがこれは20年間九電にやって約束してほしいことと要求を提示してほしい」
(渡邉英雄委員)
「随分議論してきて耐性がある部材とそうでない部材が明らかになってきている。そこをしっかり書いてほしい」
次の分科会で最終的な報告書がまとまりその後、専門委員会での議論を経て塩田知事に提出される。
川内原発1・2号機の運転の延長については原子力規制委員会が審査中で今年10月ごろ判断されると見られている。塩田知事は、判断が示される前に県の考えを規制委員会に伝えることにしている。
【川内原発運転延長】県専門委分科会の「適正」判断 委員から「電力会社の文章」と厳しい指摘が…「大きな問題ない」と許容する声も
南日本新聞 2023/3/25
九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転延長を検証する県原子力専門委員会分科会が24日開いた第11回会合では、提示された検証結果の報告書案を巡り、各委員から賛否さまざまな意見が出た。
報告書案の内容について、「大きな問題はない」(橘高義典東京都立大学大学院教授)「十分ではないが、日程的にもやむを得ない」(佐藤暁原子力コンサルタント)と許容する声が上がった。一方、「安全性確保のために抜けている点も指摘するべき。掲載内容について委員間でさらに議論を重ねたい」(後藤政志・元原発設計技術者)「新たなデータや改定があれば、追加評価を求めるべき」(大畑充大阪大学大学院教授)などの要望が出された。
長期間の部材の耐久性なども議論したが報告書案に反映されていないとして、「メリハリがない。電力会社が書いたような内容」(渡邉英雄九州大学准教授)と厳しい指摘もあった。
これまでの議論を振り返り、「県民の生活や健康にどう関係するか結びつける視点が不足していた」(佐藤氏)との反省の弁に、県は検証内容を分かりやすく県民に伝える事業を実施する意向であると説明した。