規制委が泊原発3号機が新規制基準を満たしているとする審査書案を了承したことを巡り、審査を当初からチェックし続ける北海道大の小野有五名誉教授(地質学)が「規制委は科学を軽視している」と批判しています。
北電は断層の上にある地層が古いことなどを理由に活断層ではないと判断し、規制委はそれを了承しましたが、小野氏は北電が主張する地層の境目や断層の切れ目は間違っているなどとして、「全て活断層であることを否定できない」と批判します。
また積丹半島沖にある海底活断層の長さについて、北電は22・6キロと仮定しましたが、小野氏はビーム測量で調べて活断層を推定する変動地形学の手法で、活断層が60~70キロに及ぶと示した研究結果があるとして、規制委が定めた地質の審査ガイドが、音波探査と変動地形学的調査を「総合して判断することが重要」としていることを守っていない」と批判しました(注 活断層の長さが長くなれば地震のマグニチュードは増大します)。
また「泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない道連絡会」は、新規制基準に適合しているとする審査書案を了承したことに抗議し、審査のやり直しを強く求めました。
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「科学を軽視」 泊原発を見続ける地質学者、規制委を批判
毎日新聞 2025/5/1
停止中の北海道電力泊原発3号機(泊村)について原子力規制委員会が国の新規制基準を満たしているとする審査書案を了承したことを巡り、審査を当初からチェックし続ける専門家が「規制委は科学を軽視している」と批判している。何が問題なのか。
【地図で見る】北海道電力泊原発
北海道大の小野有五名誉教授(地質学)は、泊原発周辺を繰り返し訪れて地質などを調査・研究。北電の主張や規制委の審査について、複数の問題点を挙げている。
審査では原発敷地内にある11の断層のうち、三つの活動年代が論点になった。北電は断層の上にある地層が古いことなどを理由にいずれも活断層ではないと判断し、規制委はそれを了承。しかし、小野氏は北電が主張する地層の境目や断層の切れ目は間違っているなどとして、「全て活断層であることを否定できない」と指摘する。
積丹半島沖にあるとされる海底活断層を巡っても主張が対立する。北電は音波探査で存在を確認できなかったものの、半島沿岸部が隆起していることから、22・6キロの海底活断層があると仮定した。
一方、海底の地形の特徴をビーム測量で調べて活断層を推定する変動地形学の手法で、活断層が60~70キロに及ぶと示した研究結果がある。小野氏は、「基準地震動が想定よりも大きくなり、今の耐震設計では対応できない」と訴える。規制委が定めた地質の審査ガイドは海底活断層について音波探査と変動地形学的調査を「総合して判断することが重要」としており、小野氏は「規制委は自らが決めたことを守っていない」と批判している。【片野裕之】
泊原発3号機 安全審査“合格”に抗議 市民団体「敷地内断層など北電の主張に問題」「審査も不十分」
HTB北海道ニュース 2025/5/2
国の原子力規制委員会が北電泊原発3号機の安全審査で事実上の「合格」としたことを巡り、市民団体が審査のやり直しを求めました。
泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない道連絡会 井上敦子事務局長)
「新規制基準に適合しているとする審査書案を了承したことに抗議し、審査のやり直しを強く求めます」
規制委に抗議文を出したのは、泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会です。抗議文では敷地内断層や海底活断層に関して、北電の主張に問題があり審査も十分ではないと主張しています。
規制委は先月30日、泊原発3号機について新規制基準に適合しているという審査書案を取りまとめています。