TeNYテレビ新潟が掲題の特集をしました。
柏崎刈羽原発の重大事故時避難計画の実効性については。その細部を語る以前にまだ殆どの安全避難のための設備等が未着手乃至未完成で、その状態のままで再稼動しようとしています。これほど住民の安全を無視した対応はありません。
その実態はといえば「実効性のある避難計画自体が未定」ということに尽きます。
それはこれまで繰り返し指摘されたところで、検証委員会の作業を妨害した挙句、代わりの具体的作業を全く代替しないままで来た花角知事と新潟県(庁)に全ての責任があります。どうする積りなのでしょうか。
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【特集】再稼働迫る柏崎刈羽原発 避難計画の実効性に住民から不安の声
TeNYテレビ新潟 2026/1/18
1月20日にも柏崎刈羽原発の再稼働が見込まれる中、課題として残るのが住民の避難計画です。特に1人での避難が難しい高齢者など要支援者からは計画の実効性をめぐって不安の声が上がっています。
まもなく再稼働へ
新年の幕開けを祝う柏崎市の賀詞交換会。桜井雅浩市長のその表情は晴れ晴れとしたものでした。
<柏崎市・桜井雅浩市長>
「あと二十日ほどで懸案であった 原子力発電所も動き始めます。一歩一歩着実に進む柏崎に皆様のお力添えを賜りたい」
柏崎刈羽原発をめぐっては去年12月、花角知事が再稼働に了承。これを受け、東京電力は1月20日に6号機を再稼働させる予定です。
花角知事が高市総理と面会 再稼働に了承を報告
去年の暮れ、高市総理と面会した花角知事。県民の率直な声を伝えました。
<花角知事>
「再稼働について未だに不安を感じる県民また事業主体に不信感をもつ県民が大勢いることも事実。県民の周知、啓発そうしたものをしっかり取り組んでいただきたい」
完了した地元同意。しかし、住民の不安は残ったままです。
PAZ圏内で一人暮らし 足腰に不安抱える高齢者
大島いちのさん81歳。柏崎市松波地区に1人で暮らしています。去年6月に道路で転倒し、腰の骨を折り足腰に不安を抱えています。
<柏崎市松波・大島いちのさん>
「事故があった場合はすぐ逃げた方がいいけど、逃げるのも余裕がないもん。私たちのようなものは走っていくわけにもいかないし、家にいなきゃだめだ」
住民の避難計画は
住民の避難計画には原発からおおむね半径5キロ圏内と、半径30キロ圏内のふたつの区域が設けられています。
大島さんの自宅があるのは原発から5キロ圏内。原発事故が起きた場合、すぐに避難を開始することになっています。
大島さんは車を運転できないため、一時集合場所へ避難したのち、バスで糸魚川市へ避難する予定です。
しかし……
<柏崎市松波・大島いちのさん>
「コミセンはずっとまっすぐ、ずっとまだまだ」
Qここからどれくらいかかる?
「私の足で15分くらいだって、端から端までだもん」
自宅から一時集合場所のコミュニティセンターまでは歩いて15分ほど。自力での移動は難しいといいます。
<柏崎市松波・大島いちのさん>
「事故があった場合はダメですね。家にいるしかない。コミセンまで行ったってまた糸魚川行くんでしょ。バス乗ってそんなのできません、 だめです」
要支援者の避難計画は?
自力での避難が難しい高齢者などの要支援者。その数は原発から5キロ圏内で423人に上ります。
柏崎市の避難計画では、自主防災組織の関係者などが中心となり、安否の確認や避難の支援を行います。
ただ、支援する側も課題を感じています。柏崎市松波地区で町内会長を務める白井広一さんです。町内会では年に一度、防災訓練を行い去年は安否確認の手順を確認しました。
支援する側も避難計画の実効性に感じる課題
しかし、本人が要支援者として申請してないケースもあり、全世帯の正確な状況を把握することは難しいといいます。
<柏崎市松波・町内会長 白井広一さん>
「市の方(要支援者)に登録されていない高齢者の皆さんもおられる。なかなか私たちも把握できない。皆さんが避難できるような体制を今後は整えていかなければいけない」
「全然まだ詰められていない」
要支援者の避難などについて調査している福島県立医科大の坪倉正治主任教授です。
<福島県立医科大・坪倉正治主任教授>
「原発事故も含めて災害が起きたときにそういった方(要支援者)を守る体制を誰がやるのか。そういう人たちをどうやって集まってもらうか、その人たち自身をどう守るかみたいなところが全然まだ詰められていないと思います」
原発のそばで暮らす大島さんも不安を口にします。
<柏崎市松波・大島いちのさん>
「そういう人(要支援者)がいっぱいいるから私のところにまで手が回るかどうかそれも不安です。みんながいるときに(避難に)なればいいけどわからんもんねこればっか。事故がないことを祈っています」
福島第一原発事故 病院の入院患者も避難
2011年に起きた福島第一原発事故。福島県では震災による影響と合わせて16万人を超える住民が避難を余儀なくされました。
新潟県内にも故郷を追われた人たちが身を寄せました。
仮に避難を始められたとしても課題は残っています。
福島第一原発の事故では病院の入院患者や介護施設の入所者が過酷な避難を強いられ、多くの人が亡くなりました。
これを教訓に対応が見直され、避難によって健康リスクが高まる要支援者は、一時的に近くの放射線防護施設で屋内退避することになっています。
要支援者は誰がサポートするのか
柏崎刈羽原発から約2キロの場所にある柏崎市の高浜コミュニティセンター。原発事故が起きた際、住民が避難する放射線防護施設に指定されています。
施設のある宮川地区の住民、吉田隆介さんです。町内会長を務めた経験があります。
<柏崎市宮川・吉田隆介さん>
「外からの空気を浄化したものがここから吹き出します。それでそこから室内へ空気が流れ込んで圧力を少し上げる装置です」
原子力災害が起きた際に使用する陽圧化装置。施設内の気圧を高めることで外から入る放射性物質を遮断します。
装置の取り扱いは基本的に市の職員が行う計画です。
しかし、施設があるのは市役所から原発を超えた先。計画通りに職員は駆けつけられるのか。要支援者は誰がサポートするのか。不安は消えないといいます。
<柏崎市宮川・吉田隆介さん>
「もし自分の家族がうちにいる場合は、自分も自家用車で家族を乗せて避難したいと思うのが当たり前ですよね。施設に年をとった方とかを置いて果たして避難できるかどうか。それはすごい強いジレンマになると思う」
能登半島地震で被災した石川県の放射線防護施設
さらに、おととしの能登半島地震では石川県内の放射線防護施設が損傷し、陽圧化装置が機能しなくなるなどの被害がありました。
高浜コミュニティセンターでは去年12月、冬の避難を想定した実験が行われ、施設が損傷した際の影響なども確認しました。
<福島県立医科大・坪倉正治主任教授>
「まだ正直圧がかかってるかどうかだけしか確認できてなかったようなレベルから、温度変化ぐらいは見れるようになりましたねっていうのがまだ初めてじゃないですか。窓が壊れた時どうするかに関しては、ある程度圧がかかっているので段ボールみたいな板を使ったら大体できるのかなと思っていますけど」
東電幹部が花角知事を訪問
年明け。花角知事のもとを訪れた東京電力の小早川智明社長は、安全性向上に向けた取り組みを続けると述べました。
<東京電力・小早川智明社長>
「14年動いていなかったプラントですので、何かあっても対応できる体制を万全に整えて着実に再稼働に向けた準備を進めていきたい」
<花角知事>
「再稼働に関する準備作業がこれから進んでいくんでしょうけど、何よりも安全第一で慎重に進めていただきたい」
再稼働迫る柏崎刈羽原発
吉田隆介さんの自宅裏から見えるのは柏崎刈羽原発です。再稼働すれば14年ぶり。東京電力として福島第一原発の事故後、初となります。
<柏崎市宮川・吉田隆介さん>
「海が好きなのでここにできるだけいたいと思っています。事故が起きればここにいられなくなるし、ここに住んでいる今の人たちも 悲しむと思いますね」
14年ぶりとなる柏崎刈羽原発の再稼働。住民の不安が残されたままその日が目前に迫っています。