2013年9月12日木曜日

田中規制委員長が記者会見で暴論の数々

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は11日の記者会見で、オリンピック招致のプレゼン時に、安倍首相が福島の汚染水は原発隣接の港湾内に完全にブロックされているなどと発言したことに対して、「非科学的だと思わないし、政治家の発言として問題ない」福島原発の状況はそれほど心配しなければならない状況ではない」など擁護しました。

 いずれもこの問題に関する国民の常識から大きく逸脱したもので、これが原発に関して国民の安全を守る最高の地位にある人の発言だろうかと驚かされます。
 政府へのちょうちん持ちの発言というような理解では済まされません。 
 
 しかも田中氏はさらに、「国の基準を満足している魚が市場に出るのに日本人は買わない。口では『福島県を支援しよう』と言っているのに、ちっとも支援になっていない」と苦言を呈したということです。これはウクライナやベラルーシにおける悲惨な内部被曝の実態を無視したもので、「国民が被爆することが福島県を支援することだ」と言うにも等しい幼稚な暴論です。
 福島県への支援は、ひたすら東電や国が正当な補償をするということに尽きていて、情緒的な「絆」などで論じるべきことではありません。
 

 枢要な地位にある人が、公式な場でこのような不見識な発言をしたことは極めて問題です。
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福島汚染水:規制委員長、首相発言を擁護
毎日新聞 2013年9月11日
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は11日の記者会見で、東京電力福島第1原発の汚染水問題をめぐり、安倍晋三首相が「完全にブロックされている」と発言したことについて「非科学的だと思わないし、政治家の発言として問題ない」と擁護した。福島県沖の魚を食べるよう首相に勧めるかとの質問には「大いに食べていただきたい。私自身、福島県産の干し柿やきのこを食べているが元気に過ごしている」と述べ、安全性を強調した。

 田中委員長は「第1原発の状況はそれほど心配しなければならない状況ではない」と指摘。一連の汚染水問題で、地元漁協が試験操業の中断などを決めたことについては「やめたのはこの社会状況では売れないからで、危険だからやめたわけではない」と述べた。

 一方「(国の基準を超える放射性物質が)出ていない魚が市場に出るのに日本人は買わない。口では『福島県を支援しよう』と言っているのに、ちっとも支援になっていない」と苦言を呈した。【中西拓司】