2025年5月29日木曜日

柏崎刈羽原発の再稼働に賛否示さぬ首長…花角英世知事「悩みも一つの情報」 残る懇談会、夏までに開催意向

 花角知事は28日の定例記者会見で柏崎刈羽原発の再稼働の是非を巡り、21日に初めて開いた首長(十日町、南魚沼、魚沼、湯沢、津南の5市町長)との懇談会で、賛否を示さなかった首長がいたことについて、「一発勝負で聞いているわけではない。どこかで(再稼働への考えを)伝えてもらうことがあるかもしれない」、「いろいろな切り口で接触する中で、首長の受け止めを聞きたい」と、さまざまな機会を捉える考えを示しました。

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柏崎刈羽原発の再稼働に賛否示さぬ首長…花角英世知事「悩みも一つの情報」 残る懇談会、夏までに開催意向
                            新潟日報 2025/5/29
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を巡り、県民の意向を見極める手法の一つとして21日に初めて開いた首長との懇談会で、賛否を示さなかった首長がいたことについて、花角英世知事は28日の定例記者会見で「悩みを抱えているということも一つの情報。私自身の受け止めをまとめたい」と述べた。残る4ブロックの懇談会は夏までに順次開く意向も示した。
 県内首長との懇談会は県内5ブロックごとに開催。本年度の皮切りとなる魚沼ブロックの会合が21日に魚沼市で開かれ、十日町、南魚沼、魚沼、湯沢、津南の5市町長が出席した。
 会合では「市民の意見を集約し、知事に伝えたい」(関口芳史・十日町市長)「再稼働について今の段階で申し.上げることはない」(内田幹夫・魚沼市長)など多くの首長が再稼働への賛否を示さなかった。
 知事は「一発勝負で聞いているわけではない。どこかで(再稼働への考えを)伝えてもらうことがあるかもしれない」と説明。「市長会や町村会というまとまりでも話を聞く機会はあるいろいろな切り口で接触する中で、首長の受け止めを聞きたい」と話し、さまざまな機会を捉える考えを示した。

29- 原子力規制委 東北電力女川原発「乾式貯蔵施設」新設基本計画を許可

  女川原発2号機に貯蔵している使用済み核燃料を空気で冷却する施設「乾式貯蔵施設」の新設について、原子力規制委が基本計画を許可しました。

 設置される乾式貯蔵施設は2棟で、あわせて最大1,380体の使用済み核燃料の貯蔵が可能です。
 貯蔵施設の概要は「ミヤギテレビ」の説明図を参照ください。

 それとは別に福井県の杉本達治知事は28日、原子力規制委が同日、関西電力が県内の原発構内で使用済み核燃料を一時保管する乾式貯蔵施設の設置を許可したことについて、「県の原子力専門委で審査結果について確認していく」とのコメントを発表しました。
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原子力規制委員会 東北電力女川原子力発電所「乾式貯蔵施設」新設基本計画を許可
                          tbc東北放送 2025/5/28
女川原子力発電所2号機に貯蔵している使用済み核燃料を空気で冷却する施設=「乾式貯蔵施設」の新設について、原子力規制委員会が基本計画を許可しました
「乾式貯蔵施設」は使用済み核燃料を金属製の容器に収納したうえ空気を循環させて冷却し貯蔵する施設です。
女川原発2号機の使用済み核燃料はプールで冷却・貯蔵されていますが2025年2月時点で、全体の約8割が使用され、今後4年程度で容量の上限に達することから、東北電力は2024年2月原子力規制委員会に乾式貯蔵施設の新設を申請していました。
その後、審査などを経て、原子力規制委員会が基本設計を許可しました。
設置される乾式貯蔵施設は2棟で、あわせて最大1,380体の使用済み核燃料の貯蔵が可能です。
東北電力は2026年に1棟目2030年に2棟目の着工を目指し、今後、詳細な設計計画を申請する予定です。
完成後は2号機のプールで貯蔵されている使用済み核燃料の一部を乾式貯蔵施設に移すことにしています。
【村井嘉浩 宮城県知事 コメント全文】
本日、原子力規制委員会にて女川原子力発電所2号機の使用済燃料乾式貯蔵施設について原子炉設置変更許可の決定がなされたことは、承知しております。
使用済燃料乾式貯蔵施設は、使用済燃料を女川原子力発電所から搬出するまでの間、発電所の敷地内で一時的に貯蔵するための施設であり、当該施設の設置については、安全協定に基づき事前協議を受けているところです。
県としては、今回の設置変更許可を受け、女川町及び石巻市とともに、住民の安全を最優先する立場から、原子力規制委員会における審査の内容を確認の上、対応して参ります。
東北電力におかれては、引き続き、乾式貯蔵の意義や安全性等について、立地自治体や住民への説明にしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。


原子力規制委員会が許可、女川原発で使用済核燃料を一時的に貯蔵『乾式貯蔵施設』の建設計画
                          ミヤギテレビ 2025/5/28
原子力規制委員会は、東北電力が女川原発の敷地内で使用済核燃料の一時的な貯蔵施設=乾式貯蔵施設を建設する計画を、許可しました。
東北電力では、女川原発2号機の原子炉建屋内のプールで使用済核燃料を保管していますが、再稼働から4年ほどで保管可能な量の上限に達する見込みです。
このため、東北電力では原発敷地内に空気の対流で使用済核燃料を冷却する保管施設=乾式貯蔵施設2棟の建設を、2024年国に申請していました。
そして、原子力規制委員会が28日 この計画を許可したことから、東北電力では今後 立地自治体の了承を得られれば、2026年5月に1棟目を着工し、2028年3月の運用開始を目指すとしています。
  建設計画図 ミヤギテレビ

杉本福井知事:関電の乾式貯蔵、専門委で審査結果確認へ
                            時事通信 2025/5/28
 福井県の杉本達治知事は28日、原子力規制委員会が同日、関西電力が県内の原発構内で使用済み核燃料を一時保管する乾式貯蔵施設の設置を許可したことについて、「県の原子力安全専門委員会(専門委)で審査結果について確認していく」とのコメントを発表した。

2025年5月26日月曜日

原発県民投票 推進ニュースNO.5のPDF版を掲示します。

     (お知らせ 都合により29日(木)は記事の更新が夕刻になります)

「原発県民投票 推進ニュース 2025.5.24  NO.5」のPDF版を掲示します。

 下記のURLをクリックするとPDF版が開きます。
 構成は下記の4枚です(下にスクロールすると順にご覧になれます)
  1. 推進ニュース (本文)
  2. 県民投票条例案の否決を受けて(県民投票で決める会事務局) (1頁)
  3.          同     上           (2頁)
  4. 県民投票条例が臨時県議会で否決(ニュース)
URL
https://drive.google.com/file/d/1v2nlk98i0uESU-Sx_v1242x3qPl1njdd/view?usp=sharing  

 ご参考までに「推進ニュース」のテキスト版を下記します。

 3か月ぶりのニュースのお届けとなり恐縮しています。

 この開、ご承知のように大きな動きがありました。私たちが取り組んだ原発県民投票署名は、各市区町村選挙管理委員会の審査を経て、3月27日に全県分を取りまとめ県知事に本提出されました。最終的な有効署名数は143196筆、湯沢町分は777筆となっています。
 その後、私たちが請求した「柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う県民投票条例案」に知事が意見を付して県議会に提出され、県議金では4月16日から18日に審議されました。
 審議内容と結果は、テレビや新聞でも報道されましたが、賛成16、反対36で否決されてしまいました。自民党会派などの壁に阻まれた、大変残念な結果です。

 この結果を受けて、「県民投票で決める会」事務局では、「かつてない関心の高まりを明日につなぐことを決意します」という報告文書を出しました(4月18日付)。この文書をお届けしましたが、非常に重要な内容と思いますので、受任者の皆さんもぜひ熟読していただたいと存じます。

■今後のことについて……とりあえず次の交流会で議論することとします。今回で最後と
なると思いますので大勢の受任者の方から出席をお願いします。


   原発県民投票運動・交流打合せ会(第9回)

日 時  6月日(土)午後1時30分~同3時30分
場 所  湯沢町公民館 1F研修室

・内 容  ・昨年から取組んできた署名運動の受任考の皆さんの労をねぎらう場に。
      ・県の事務局で発行した報告文書と、5月23日に県事務局主催で行われた
       報告集会の議論、内容などを参考に交流。
      ・署名運動は、区切りがついたので「県民投票で決める会・湯沢」は解散
       ることでよいか。その場合の会計処理(残金)方法。


              (発行責任者 南雲敏夫 Tel 090-2674-9414)

「県の動向、今後も監視し続ける」柏崎刈羽原発再稼働巡る県民投票条例請求の市民団体が報告集会

 柏崎原発の再稼働の是非について、県民投票条例の制定を直接請求した市民団体が23日、新潟市で報告集会を開き、請求代表者らは「県が行う公聴会や意識調査などを今後も監視し続ける」と語り、会を存続させる意向を示しました。
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「県の動向、今後も監視し続ける」柏崎刈羽原発再稼働巡る県民投票条例請求の市民団体が報告集会
                            新潟日報 2025/5/26
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非について、県民投票条例の制定を直接請求した市民団体が23日、新潟市中央区で報告集会を開いた。署名活動から県議会臨時会での条例案否決までの活動を振り返った請求代表者らは「県が行う公聴会や意識調査などを今後も監視し続ける」と語り、会を存続させる意向を示した
柏崎刈羽原発再稼働巡る県民投票条例案、反対多数で否決
傍聴席から怒り、落胆…市民団体「14万3196筆の署名軽んじられている」
 市民団体「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」は、昨年11月から署名活動を実施。法定数を大幅に上回る有効署名14万3196筆を集め、花角英世知事に直接請求した。4月の県議会臨時会では、県民投票条例の原案と、議会の一部会派が提出...

   (以下は会員専用記事のため非公開 残り868文字 全文:1168文字) 

【柏崎刈羽原発】研究者らによる市民検証委 「県シミュレーションは過小評価」異論唱える

 新潟県が先に実施した柏崎原発事故時の放射能拡散シミュレーションで、「避難や一次移転を強いられる地域が出る」という結果になりました。
 それについて研究者らによる『市民検証委員会』が23日、会見を開き、「放射性物質の放出が福島事故の実績の1万分の1で行われている」など、シミュレーションの初期条件が過小になっている、「UPZ(30km圏内)では被ばくしません。屋外にいても大丈夫です という結論だが、それは合理的見地から非常に問題があると言わざるを得ない」などと批判しました。
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【柏崎刈羽原発】研究者らによる市民検証委「県シミュレーションは過小評価」異論唱える
                       UX新潟テレビ21 2025/5/23
独自に実施したシミュレーションの結果「県の想定でも避難や一次移転を強いられる地域が出る」
県が先週公表した柏崎刈羽原発での事故を想定した被ばくシミュレーションに対し、研究者らによる『市民検証委員会』が会見を開き「事故の想定が過小評価されている」と指摘しました。
【動画】【柏崎刈羽原発】研究者らによる市民検証委「県シミュレーションは過小評価」異論唱える【新潟】
市民検証委員会がまず指摘したのは、県のシミュレーションが福島第一原発の事故後に定められた新規制基準を前提にしている点です。
県避難委員会・元委員 上岡直見
「県のシミュレーションは、(放射性物質の放出が)福島事故の実績の1万分の1で行われている。」
そのうえで、独自に実施したシミュレーションの結果を示し、「県の想定でも避難や一次移転を強いられる地域が出る」と異論を唱えました。
■県避難委員会・元委員 上岡直見氏
(県の想定は)県民の理解・県民の安全安心に寄与する目的に照らして評価すると適切ではない。」
■県避難委員会・元副委員長 佐々木寛氏
(県の想定は)ミスリードするというか、安全神話としか言いようのないような。着々と再稼働に向かっての結論が先にありきの検証。」
市民検証委員会は、今回の指摘を県側にも伝える方針です。


柏崎刈羽原発で相次いだテロ対策不備…東電社長「内部脅威への対応続ける」 市民団体は再稼働“議論材料”に疑問 新潟
                       NST新潟総合テレビ 2025/5/23
東京電力柏崎刈羽原発で相次いだテロ対策の不備に対する改善状況を評価する第三者委員会が開かれ、小早川智明社長は「内部脅威への対応を続ける」と説明しました。一方、地元の判断に向けたプロセスが進む中、市民団体からは疑問の声も上がっています。

■相次いだテロ対策不備…東電社長「内部脅威への対応続ける」
柏崎刈羽原発で開かれたのは、IDカードの不正使用など相次いだテロ対策上の不備に対する改善状況を評価する第三者委員会です。
現場からは原発構内でのセキュリティー意識の改善に向けた取り組み状況が説明された一方で
【東京電力 小早川智明 社長】
「外から攻めてくるところに非常に強いプロテクトをしようという意識は強いが、中で働いている人は“当たり前に大丈夫だ”と思いがちなところがあるので」
小早川社長は原発構内の職員や作業員によるミスなどの“内部脅威”には引き続き注意していくと話しました。
【核物質防護事案に係る改善措置評価委員会 伊丹俊彦 委員長】
「安全やセキュリティーの確保というのは、終わりのない道なんだろうなというふうに思う。(現時点で)達成したという評価はまずないかなと思っている」
柏崎刈羽原発をめぐっては、7号機が技術的に再稼働できる状態となっているほか、6号機も6月に始まる燃料装荷に伴う検査が完了すると再稼働の準備が整います。
【東京電力 小早川智明 社長】
6号機は準備途上にあるということなので、いまの段階では優先順位は7(号機)。地元のご理解ご判断の時期にもよるが、現場の安全を最優先にしながら稲垣所長と相談していきたい」

■市民団体は“県のシミュレーション結果”に疑問
再稼働に向け、地元同意が焦点となる中、慎重な対応を求める市民団体が5月23日、会見を開き、先週、県が公表した重大事故が発生した際の被ばく線量シミュレーションの結果について反発しました。
【環境経済研究所 上岡直見 代表】
県のシミュレーションというのは、福島(事故の放射性放出量)実績の1万分の1で行われている
【新潟国際情報大学 佐々木寛 教授】
PAZ(5km圏内)では被ばくするけども、UPZ(30km圏内)では被ばくしませんと。屋外にいても大丈夫ですというのが県の被ばくシミュレーションの結論だが、それは非常に合理的見地から問題があると言わざるを得ない
様々な動きが出ている原発再稼働の議論。

花角知事はその材料は揃ったとして県民の意見を見極めるプロセスに入っていて、判断の行方が注目されます。 

【除染土壌再生利用】国の出先機関に広げて(福島民報)

 福島民報が、福島原発事故によって発生した除染土壌について、霞が関の省庁の花壇などでも再生利用する方向で調整を進めているが、都心のごく一部ではなく、全国の国の出先機関の花壇、植え込みなども対象に加え、安全基準に合致する土壌の活用に職員総動員で理解を得ていくべきではないか との主張を掲げました。

 国が安全と主張するのであればそうなりますが 
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【除染土壌再生利用】国の出先機関に広げて
                           福島民報 2025/5/24
 東京電力福島第1原発事故によって発生した除染土壌について、政府は東京・霞が関の省庁の花壇などでも再生利用する方向で調整を進めている。先行事例を作り、停滞した現状の打破につなげる狙いがあるとみられるが、都心のごく一部に限られた取り組みが効果を生むかどうかは疑わしい。全国の国の出先機関も対象に加え、安全基準に合致する土壌の活用に職員総動員で理解を得ていくべきではないか
 石破茂首相は3月、参院予算委員会で首相官邸敷地内での除染土壌の再生利用に、「ぜひやりたい」と前向きな姿勢を示していた。今回明らかになった対応によって、周辺の省庁の花壇、植え込みなどにもエリアが広がる。基本方針に盛り込み、月内にも開かれる関係閣僚会議で決定する見通しという。これまでは、環境省などの鉢植えに使われるのにとどまっていた。
 再生利用は、2045年3月を法定期限とする除染土壌の県外最終処分実現に向けた試金石となる。環境省は除染土壌のうち、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8千ベクレル以下は公共工事などに生かせるとする基準を設けた。飯舘村長泥地区の農地造成工事などで知見を積み上げてきたが、東京都や埼玉県など県外で計画された実証事業は住民の反発で頓挫している。中央官庁での率先利用は国民に理解を促す第一歩と言えるが、都庁や区役所といった身近な公共施設と比べ、都民が訪れて新たな試みを目にする機会は限られてしまう。
 国土交通省は地方整備局、農林水産省は農政局など各地に出先機関を置き、都道府県ごとに下部組織が設けられている。除染土壌の再生利用を検討する関係閣僚会議が首相を除く全閣僚で構成されているのは、政府一丸で課題解決に当たる決意の表れとされる。ならば、それぞれの官庁が所管する末端の機関にまで号令を発し、各施設での本格的な利活用を検討するよう促してはどうか。都道府県、市町村にも協力を要請し、実践の幅を広げてもらいたい。
 夏の参院選が迫っている。再生利用を含め除染土壌全体の将来的な扱いについて、各党は明確な方針を有権者に示すべきだろう。それは「福島復興」を誓う政治家の責務でもある。(菅野龍太)

26- 原発容量2050年までに「4倍」に トランプ政権が規制緩和の大統領令

  米国のトランプ大統領は23日、2050年までに国内の原子力発電容量を現在の4倍に引き上げる方針を示しました。また原子力規制委(NRC)に対し、原子炉の種類にかかわらず、建設と運転の認可を申請から18カ月以内に決定するよう求めました

 市民団体は、原発の規制緩和は重大な安全上のリスクをもたらす と懸念しています。
 23年にジョージア州で新設の原子炉が約30年ぶりに稼働しましたが、建設には約15年かかり、費用も2基で当初見通しの2倍以上に膨らみました。開発段階の新型小型炉の普及採算面で割高になるという問題があります。
 反原発の科学者団体「憂慮する科学者同盟」は、今回の大統領令について「NRCの独立性と完全性を致命的に弱め、重大事故につながりかねないとし、「他国が今後数十年にわたって米国の原子力技術を敬遠する原因になる」と指摘しました。
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原発容量2050年までに「4倍」に トランプ政権が規制緩和の大統領令
                            毎日新聞 2025/5/24
 米国のトランプ大統領23日、原子力推進に向けた一連の大統領令に署名し、2050年までに国内の原子力発電容量を現在の4倍に引き上げる方針を示した。安全審査を担う原子力規制委員会(NRC)の組織のあり方を見直し、「認可申請の迅速な処理」などを指示した。市民団体は、原発の規制緩和は重大な安全上のリスクをもたらすと懸念する。
 大統領令ではNRCに対し、原子炉の種類にかかわらず、建設と運転の認可を申請から18カ月以内に決定するよう求めた。また国防総省には、国内の軍事施設に原子炉の設置を検討するよう指示。さらに国防総省とエネルギー省が独自に安全性を認めた原子炉については、承認手続きを迅速化する制度を新たに導入するとした。
 トランプ氏は次世代の小型炉を念頭に置いた措置だとする一方、既存の大型炉の新設についても推進する姿勢を示した。トランプ政権は、人工知能(AI)のデータセンターによる電力需要増に対応するとして、原子力のほか化石燃料の利用拡大にも前向きな立場を取ってきた。
 ホワイトハウスで23日に行われた署名式には原子力業界の幹部も同席した。国家エネルギー評議会のトップを務めるバーガム内務長官は「50年以上続いた過剰な規制の時計の針を巻き戻す」と述べた。
 米国では1979年のスリーマイル島原発事故の発生以降、商用炉の新規建設が滞った。23年にジョージア州で新設の原子炉が約30年ぶりに稼働したが、建設には約15年かかり、費用も2基で当初見通しの2倍以上に膨らんだ。新設の発電コストでは太陽光や風力などの再生可能エネルギーに劣る。民主党も脱炭素の観点から原発推進を支持しているが、開発段階の新型小型炉の普及には採算面での課題も残る。
 反原発の立場の科学者団体「憂慮する科学者同盟」は、今回の大統領令について「NRCの独立性と完全性を致命的に弱め、規制当局の迂回(うかい)を奨励する」試みだと非難重大事故につながりかねないとし、「他国が今後数十年にわたって米国の原子力技術を敬遠する原因になる」と指摘した。【ニューヨーク八田浩輔】

2025年5月22日木曜日

「県民の方向感探れた」首長5人と意見交換で花角知事 柏崎原発の再稼働問題

  柏崎刈羽原発の再稼働問題をめぐり、花角 新潟県知事は21日、魚沼地域の首長5人と魚沼市内で意見交換を行いました。花角氏は終了後に、「立地自治体以外の市町村の傾向、方向感を探る第一歩になった」と成果を口にしました。残り4地域の首長とも今後意見交換を行う予定です。

 知事はその上で再稼働の是非について判断を下す予定で、それについて信を問うとしています。
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「県民の方向感探れた」首長5人と意見交換で新潟の花角英世知事 柏崎原発の再稼働問題
                            産経新聞 2025/5/21
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働問題をめぐり、同県の花角英世知事は21日、魚沼地域の首長5人と魚沼市内で意見交換を行った。花角氏は終了後に、「立地自治体以外の市町村の傾向、方向感を探る第一歩になった」と成果を口にした。
首長との意見交換は、再稼働の是非について県民の多様な意見を確認する一環で実施。今回が初めてで、残り4地域の首長とも今後意見交換を行う。

今回出席したのは、十日町市の関口芳史市長、魚沼市の内田幹夫市長、南魚沼市の林茂男市長、湯沢町の田村正幸町長、津南町の桑原悠町長の5人。冒頭の花角氏のあいさつ以外は非公開で行われ、終了後に取材に応じた。
市内の一部が同原発から30キロ圏内にあり、原発事故時に一部で屋内退避を行う十日町市の市長は、「再稼働について市民の意見を集約した上で、知事に渡したい」と提案した。
一方、事故時に避難者を受け入れる立場の南魚沼市の市長からは「再稼働問題に対する市民の関心の度合いには温度差があり、是非について市民から意見をとるのは困難な感じだ」との意見が出た。
湯沢町長は「安全性が確保されれば再稼働すべきと考える」と語った。

再稼働問題は、地元同意を得られるかどうかが最大の焦点になっている。花角氏は、県内首長との意見交換のほか、公聴会や県民意識調査を通じて県民の多様な意見を確認。その上で、再稼働の是非について判断を下すとしている。花角氏は、下した判断について信を問うとしている

柏崎刈羽原発事故時の物資輸送、除雪作業…民間の協力依頼で「国が体制整備を」と市町村側が要望

 県内30市町村でつくる「原子力安全対策に関する研究会」の実務担当者会議が20日、新潟市中央区で開かれ、柏崎刈羽原発で事故が起きた際の避難対策について議論を交わし、市町村側からは、事故が起きた際の物資の輸送や除雪作業などを民間事業者が担うことについて、「国が前面に立って協力体制を整備してほしい」とする要望が相次ぎました。
 原発事故と大雪が重なった場合には、除雪や食料確保、医療の提供に民間事業者の協力が不可欠で、民間への協力要請で自治体に責任を負わせることがないよう、国の方針を示してほしいと訴えました。
 また燕市が「テロ対策施設が完成していないのに再稼働できるのか」とただしたのに対して、東電は「電源車などの重大事故対策設備が整っており、再稼働できると考える」と答えました。しかしテロ対策施設は別に電源供給だけの問題ではないので、安全上必要な施設が完成してない状態で稼働することは地域の安全上も許されません。
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柏崎刈羽原発事故時の物資輸送、除雪作業…民間の協力依頼「国が体制整備を」市町村側が要望
                            新潟日報 2025/5/21
新潟市で実務担当者会議
 県内30市町村でつくる「原子力安全対策に関する研究会」の実務担当者会議が20日、新潟市中央区で開かれ、東京電力柏崎刈羽原発で事故が起きた際の避難対策について議論を交わした。市町村側からは、事故が起きた際の物資の輸送や除雪作業などを民間事業者が担うことについて、「国が前面に立って協力体制を整備してほしい」とする要望が相次いだ
 会議には県、東電、原子力規制庁、内閣府の4者も出席。各機関が原発事故時の対応策などを説明した。
 事故時に被ばくを軽減する屋内退避を巡っては、原子力規制委員会の検討チームが3月に運用を見直す報告書をまとめ、屋内退避の指示が出ている間も、ライフラインの復旧や除雪などに当たる民間事業者の活動は継続できると明記した。
 この日の会合で、長岡市などは、原発事故と大雪が重なった場合には、除雪や食料確保、医療の提供に民間事業者の協力が不可欠だと強調。十日町市の担当者は「リスクが全くないと断言できない中で、(民間への協力要請で)自治体に責任を負わせることがないよう、国の方針を示してほしい」と訴えた。
 これに対し、内開府の担当者は「自治体任せではなく、内閣府として(団体に)出向いて説明するつもりがある」などと答えた。
 県は、16日に公表した柏崎刈羽原発で重大事故が起きた際の被ばく線量シミュレーションの結果を報告。原発から半径5~30キロ圈の避難準備区域(UPZ)でいずれも国際原子力機関(IEAE)の基準を下回ったと説明した。
 小千谷市の担当者は、シミュレーション結果では、県バス協会と県が結んだ協定の被ばく線量の上限を超えているエリアもあると指摘。「(避難バスが手配できるのか)住民は不安に感じると思う」と懸念を示した。


東京電力に不安の声、新潟県内の市町村 柏崎刈羽原発のテロ対策施設の完成延期などで
                            産経新聞 2025/5/20
再稼働を目指す東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の安全対策を確認する、県内全30市町村による研究会の実務担当者会議が20日、新潟市内で開かれ、同原発で事故が起きた際の対応などについて、国や県の担当者から説明を受けた。自治体からは、東電のテロ対策施設の完成延期などに不安の声が上がった。
会議には、長岡市や柏崎市など27市町村の担当者が参加。原子力規制庁や内閣府、県の担当者を合わせて約70人が出席した。
東電は今年2月、同原発のテロ対策施設について、延期を発表。6号機は令和13年9月、7号機は11年8月を工事完了時期とした。これについて、燕市は「テロ対策施設が完成していないのに再稼働できるのか」とただした。東電は「電源車などの重大事故対策設備が整っており、再稼働できると考える」と答えた
小千谷市などは「東電が突然延期を発表し、住民の間に不安が広がっている」と指摘。東電は陳謝した上で、「初めての大規模工事で、完成時期を見通すことが難しかった」とした。

長岡市は「6号機の燃料装荷を6月に控えているにもかかわらず、同原発でトラブルが相次ぐのは(組織が)緩んでいるからでは」とただした。東電は「不安を招くような事象を起こさないよう考えながらやっていく」と説明した。 

柏崎原発6号機燃料装填 取りやめを要請 東電に県内市民団体

  東電が柏崎刈羽原発6号機で6月に核燃料の装填を予定していることに対し、県内の三つの市民団体が20日、東電新潟本社を訪ね、装填を取りやめるよう要請する文書を提出しました。またつなぐ会は県庁も訪ね、花角知事が今後実施するとしている県民の意識調査について、再稼働判断の根拠としないことなどを求める要請書も提出しました。

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号機燃料装填 取りやめを要請 東電に県内市民団体
                         新潟日報 2025年5月21日
 東京電力が柏崎刈羽原発6号機で6月に核燃料の装填を予定していることに対し、原発に反対する県内の三つの市民団体が20日、東電新潟本社を訪ね、装填を取りやめるよう要請する文書を提出した。
 要請を行ったのは「新潟を未来へつなぐ会」(川口宏代表)など。文書では、柏崎刈羽原発で緊急時に使う衛星電話で不具合が相次いでいると指摘。この問題で原子力規制委員会による追加検査が予定されていることなどを挙げ、「燃料を装填できる段階にない」と訴えた。
 また、原子炉に燃料を入れるのは再稼働のためで、事故リスクも高まるとして、再稼働の是非と同様に立地自治体などから同意を得る必要がある主張した。
 つなぐ会は県庁も訪ね、花角英世知事が今後実施するとしている県民の意識調査について、再稼働判断の根拠としないことなどを求める要請書も提出した。

【柏崎刈羽原発】地域の会「衛星電話の不具合」4件発生を批判

 柏崎刈羽原発の安全性を議論する『地域の会』が開かれ、原発の7号機で 24年11月から25年1月にかけて重大事故時用の『衛星電話の不具合』が4件発生したことについて批判の声が上がりました。
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【柏崎刈羽原発】地域の会「衛星電話の不具合」4件発生を批判
                       UX新潟テレビ21 2025/5/19
柏崎刈羽原発の安全性を議論する『地域の会』が開かれ、衛星電話の不具合が相次いでいることなどに批判の声が上がりました。
柏崎刈羽原発の7号機では、2024年11月から2025年1月にかけて重大事故が起きた時などに使う『衛星電話の不具合』が4件発生しています。これを受けて4月、原子力規制委員会は追加検査の実施を決めました。
『地域の会』の定例会では、委員から批判の声が上がりました。

地域の会 竹内英子委員
「去年11月に衛星電話の対応をした段階ですべて確認していれば、1月27日の不具合は防げたのではないか。」
地域の会は5月から新たな委員が就任し、会長には荒浜コミュニティーセンター長の品田善司さんが選出されました。

再処理工場(青森県六ケ所村) 原燃の審査説明、計画にずれ「11月終了は無理?」

 原子力規制委の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)認可審査で、11月までの説明終了を目指す日本原燃の「全体計画」にずれが目立ち始めました。計画通り進まなければ、「2026年度中」と掲げる工場完成の時期に影響が及ぶ可能性もあります。
 原燃は24年8月27回目となる完成延期を表明していました。
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再処理工場(青森県六ケ所村) 原燃の審査説明、計画にずれ 「11月終了は可能」
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 原子力規制委員会の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)認可審査で、11月までの説明終了を目指す日本原燃の「全体計画」にずれが目立ち始めた。規制委に13日提示した資料で、今夏までに説明予定だった多くの審査項目を今秋へ先送り。原燃は「計画完了に遅れが生じているわけではない」とするが、11月終了は「もともと厳しい」(原子力規制庁幹部)との見方も。計画通り進まなければ、「2026年度中」と掲げる工場完成の時期に影響が及ぶ可能性もある

 原燃は24年8月、27回目となる完成延期の表明に伴い、規制委に対する審査説明の全体計画を公表。増田尚宏社長は、設計・工事計画の認可を26年3月までに得たいとした上で、「(認可に必要な)審査説明は25年11月まで」と明示した。その時期が約半年後に迫る。
 3月の審査会合までは、10、11月に積み残す説明予定分は耐震関連の1項目のみだったが、13日提示の計画では約40項目に急増。期限と見込む11月中だけで約20項目に膨らんだ。先送り分には、内部火災や、配管の破損などで水があふれる「溢水(いっすい)」、薬品漏えいに対する防護設計、重大事故対策の設計などがある。

 原燃はこれまでも、審査会合ごとに全体計画を微修正してきた。今回の見直しについて「8月に説明する項目が集中していたため、(9~11月に分散して)平準化を図ったもの」と取材に回答。ただ、秋にずらした項目には、当初計画で説明時期を4、5月までと想定していた分も含まれる。
 火災や溢水などへの設計は対象機器が1万点前後と多く、適用範囲が工場全域に及ぶため、規制庁幹部は「時間を食って計画が少しずつ後ろ倒しになっているのではないか」とみる。

 原燃は「(審査で)評価する物量は多数あるが、体制・要員を整え、11月までに説明が終了できるよう準備を進めていく」とした。全体計画はさらに見直しの検討を進め、20日の審査会合で最新版を示す見通し。