高速増殖原型炉もんじゅの解体に当たり、まず原子炉容器や配管などに保有している1660トン超の冷却材ナトリウム(液体ナトリウム)を抜き取る必要がありますが、構造上計約77トンは抜き取れないことが分かりました。これは装置設計時にナトリウムの抜き出しを考慮していなかったからと思われます。
液体ナトリウムは空気に触れると発火し、水に触れると爆発するといわれるので、これから抜き取り装置を設計し製作するとなると大変な費用と時間が掛かります(民間の企業でこんなことが起きれば厳しく責任を問われます)。
また約900トンは放射能で汚染されているので、抜き取り後イギリスの2社に搬出する予定ということです。
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ナトリウム77トン抜き取れず もんじゅ、新機器開発必要
共同通信 2021/12/23
日本原子力研究開発機構が高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市、廃炉作業中)の原子炉容器や配管などに保有している1660トン超の冷却材ナトリウムのうち、計約77トンは既存設備で抜き取れないことが23日、機構への取材で分かった。機構は新たに機器を開発して抜き取る方針だが、一部は配管や機器の底部に残留するという。
機構はこれまで、原子炉容器から抜き取れないナトリウムが1トン程度あることは説明していたが、もんじゅ全体で抜き取れないナトリウムの総量が明らかになったのは初めて。
ナトリウム関連機器の解体は国内で経験がなく、技術開発が今後の課題となる。
高速増殖炉「もんじゅ」液体ナトリウムの搬出先はイギリス企業
NHK NEWS WEB 2021年12月24日
廃炉作業が進む福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」で懸案の原子炉の冷却材、液体ナトリウムの処分について、国はイギリスの企業に搬出することを明らかにしました。
これは24日、「もんじゅ」を所管する文部科学省の堀内義規大臣官房審議官が、来年度予算案の説明のために福井県庁で面談した際、櫻本副知事に伝えたものです。
この中で堀内審議官は、もんじゅの液体ナトリウムの搬出先として、イギリスの原発関連企業「キャベンディッシュ社」、「ジェイコブス社」の2社と今月21日に覚書を締結したことを明らかにしました。
また、搬出を始める時期を2028年度とする計画も示し、来年3月までに搬出の完了時期などを盛り込んだ具体的な工程案を作成することなどを説明しました。
「もんじゅ」の原子炉や配管には、液体ナトリウムがおよそ1660トンあり、このうちおよそ900トンは放射性物質を含むことなどから、地元からは県外への搬出先を示すよう求めていました。
櫻本副知事は「具体的な搬出先が示されたことは、『もんじゅ』の廃止措置に関する県民の安心や信頼につながる。今後、さらに検討を加速して連絡協議会などの場で説明をしてほしい」と話していました。