2021年12月30日木曜日

原発は脱炭素かで割れるEU 独仏にも溝

 原発を脱炭素化に資する電源と認定するかについて、原発大国フランスなどは認定したい意向ですが脱原発を進めるドイツなどが反対埋まりません。

 原発は、発電の工程では確かに「脱炭素」ですが、ウランの採掘から精製し核燃料集合体にする迄の工程と使用済み核燃料の処理と数万年の保管には膨大なコスト(資材費と動力及び労力)が掛かるので脱炭素」ではありません。何よりも発電中に火力発電の1・5倍~2倍も海水温を暖めるので地球の温暖化防止を明らかに阻害します。
 原発を「脱炭素」と極めつけて、議論の俎上に上がること自体を避けようとする日本は、EUの公明正大な姿勢と対照的です。
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原発活用是非、割れるEU 脱炭素化めぐり、独仏にも溝
                            時事通信 2021/12/30
【ブリュッセル時事】気候変動対策への原発活用の是非をめぐり、欧州連合(EU)が割れている。
 欧州委員会は原発大国フランスなどの主張を踏まえ、原発を脱炭素化に資する電源と認定し官民投資を促す方向だが、脱原発を進めるドイツなどが反対。溝は埋まらず調整に苦慮している。
 EUでは2022年1月から、発電や輸送、製造などさまざまな経済活動のうち、一定の環境基準を満たし「グリーン」と見なせるものを分類するルールの運用が始まる。政策当局や投資家、企業に統一的な評価基準を提供し、脱炭素化資金を呼び込む狙いだ。
 ただ、原発と天然ガスについてはEU内の意見集約が進まず、グリーン認定可否の判断が先送りされてきた。欧州委の具体案公表は、当初予定した年内から年明け以降にずれ込む見通しだ。
 国内発電の約7割を原発に頼るフランスを筆頭に、新設原発の利用を進めるフィンランドやチェコなど10カ国は、今年10月の共同声明で、原発のグリーン認定を要求。こうした動きを受け、フォンデアライエン欧州委員長は「安定的エネルギー源の原発は必要」と表明し、認定を示唆した。輸入に依存する化石燃料の高騰に不安が広がることも、原発活用の追い風となっている。
 しかし、安全性や放射性廃棄物の問題から原発の持続可能性への疑念も欧州では根強いドイツなど5カ国は、11月の共同声明で「(制度の)信頼性や有用性を損なう」とグリーン認定に反論。国内の原発利用を40年以上禁じてきたオーストリアでは、欧州委を提訴する案も浮上している。
 またドイツは、脱原発や脱石炭を進める一方、天然ガス活用を訴え、フランスと一線を画してきた。就任間もないショルツ首相は「各国が自らの取り組みを追求できることが重要」とフランスにも配慮した姿勢を示すが、連立を組む緑の党のハーベック副首相は、原発の認定を「支持しない」と明言する。
 欧州委の提案は過半数の国が反対しなければ成立するが、EUの政策全体を左右する問題だけに禍根を残す恐れもある。