福島原発から出る放射性物質トリチウムを含む汚染水の海洋放出に向け、東電は原子力規制委に実施計画を申請しましたが、工事の着工には安全協定を締結する地元自治体の了解が必要です。
これについて、いわき市・内田広之市長や双葉町の伊沢史朗町長は「事前了解をしたから、即海洋放出に合意したというわけではない」とくぎを刺します。
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原発処理水の海洋放出
【記者解説】進む4つの設備整備と判断が難しい〝地元の理解”
福島テレビ 2021/12/21
海洋放出に関わる施設や設備の建設には、原子力規制委員会の認可を受ける必要があり、東京電力は12月21日に計画を申請した。
東京電力が申請した計画の内容について、取材を担当する記者の解説
【福島テレビ・小野田明記者の解説】
今回の申請には処理水の海洋放出に向けて4つの設備を整備する計画が盛り込まれました。
1つ目が『測定・確認用設備』というもので、処理水の放射性物質濃度は放出の基準を満たしているか確認します。
基準を満たせば『移送設備』…配管を通って、海側の希釈設備に移されくみ上げた海水で薄められます。
その後、海底トンネルを通り沖合1キロの地点で放出する計画です。
Q:12月にはボーリング調査も始まり、着々と準備が進められている印象だが計画通り進む?
東京電力は海底トンネルは施工実績が多くトラブルの可能性は少ないとしています。
一方で、海洋放出の大前提となる地元の理解が十分得られているとは言い難い状況で、いわき市の内田市長もこう指摘しています。
いわき市・内田広之市長:「まだまだ合意が得られてない中で、プロセスが進められる事に関しまして、地元市民のですね気持ちを逆なでするものであり、非常に遺憾に感じてございます」
Q:タンクの容量にも限界があるが「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とした約束もある。何をもって理解を得たと判断するのか?
その部分はあいまいです。
今日の会見で東京電力は「説明や対話を尽くすことが大前提」と強調する一方で「理解を得たというのはなかなか判断しづらい」としています。
処分開始に向けた動きが加速しているするからこそ、何をやったのかではなく、どう理解を得たのか、それを示していく必要性が増しています。
地元の不信払拭が焦点 原発処理水の海洋放出「即合意ではない」福島
時事通信 2021/12/21
東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出に向け、東電が原子力規制委員会に実施計画を申請した。
工事の着工には安全協定を締結する地元自治体の了解が必要で、不信感をいかに払拭(ふっしょく)するかが焦点となる。
立地する福島県双葉町の伊沢史朗町長は「事前了解をしたから、即海洋放出に合意したというわけではない」とくぎを刺す。「スケジュールありきということで考えてはいない。安心安全でやってほしい」と求めた。
政府は2023年の海洋放出を目指し、今年4月に基本方針を決定。規制委は東電に対し、年内の申請を求めていた。申請が年末となった理由について、政府関係者は「これまでのトラブルや自治体への説明姿勢で不信感が募り、事前了解を突っぱねられていた」と明かす。決定から申請までに8カ月要したことで「23年春(の放出開始)は相当厳しい。沖合に処理水を流すための海底トンネルなどの工事に時間がかかり、急がせたいといってもできない」と話す。
一方、県は専門家らを含めた会議を開き検討する方針だ。原子力安全対策課の伊藤繁課長は「懸念や心配などソフト面も含めて確認し、必要なことがあれば意見を出していきたい」と話した。