東京電力福島第1原発から出るトリチウム水の海洋放出計画をめぐり、政府は28日、首相官邸で関係閣僚会議を開き、風評被害の抑制に向けた行動計画を策定しました。
行動計画には、来年1月以降、政府が安全性の発信を国内外で進める方針を盛り込んだほか、水産物が売れない場合に備え、冷凍可能な水産物の一時的な買い取りや保管を支援する基金として300億円を確保しました。
一方、全漁連は28日午後に声明を出し、「極めて遺憾であり、強い憤りとともに厳重に抗議する」としました。
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風評被害抑制へ行動計画 東電福島第1原発の処理水 政府
時事通信 2021/12/28
東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出計画をめぐり、政府は28日、首相官邸で関係閣僚会議を開き、風評被害の抑制に向けた行動計画を策定した。
安全性に関する情報発信を強化し、水産物などに風評被害が生じる場合は機動的に対策を講じることが主な内容となっている。
政府は4月、2023年春ごろをめどに処理水の海洋放出を開始する方針を決定した。8月に風評被害への「当面の対策」をまとめたが、漁業関係者らの不安は根強い。原発での不祥事が続く東京電力ホールディングスが放出を実施することへの不信感も出ている。
会議で松野博一官房長官は「現場の声に向き合う。行動計画は、追加すべき点を把握し不断に改善していく」と強調した。小早川智明東電HD社長は、「不適切事案を起こし、当社への信頼に懸念がある。まずは事業者として信頼回復に努める」と述べた。
行動計画では、来年1月以降、経済産業省と復興庁などが連携し、安全性の発信を国内外で進める方針を盛り込んだ。21年度内に消費者意識の実態調査も実施する。
風評被害が生じる場合に備え、冷凍可能な水産物の一時的な買い取りや保管を支援する基金を造成する。政府は21年度補正予算で関連経費300億円を確保した。管理団体の選定など執行体制の整備を進めていく。
原発処理水放出の行動計画 風評被害対応や販売支援も
フジFNNプライムオンライン 2021/12/28
福島第1原発の処理水の海洋放出をめぐり、政府は、風評被害対策の基金創設などを含む行動計画をまとめた。
行動計画には、風評被害で水産物の売り上げが減った場合に備え、300億円規模の基金を2021年度内に立ち上げることが盛り込まれた。
基金は、売れ残った水産物を政府が一時的に買い取ったり、ネット販売を支援する際などに活用される。
また、東京電力による風評被害の賠償手続きを簡略化するため、今後1年間で、業種別の賠償基準を策定するとしている。
政府は、2023年春に海洋放出する方針。
一方、全漁連(全国漁業協同組合連合会)は28日午後に声明を出し、「極めて遺憾であり、強い憤りとともに厳重に抗議する」としている。