新潟県は、柏崎刈羽原発事故の際、標準的なケースでも原発から5キロ圏内の住民の90%が30キロ圏外に出るまでには13時間40分かかると試算されたことを踏まえ、新たなスマートインターチェンジの整備を目指すなどとしています。
それについて柏崎市の桜井市長は、一部の住民は一度、原発に向かって避難するルートになることから、別の場所への設置を優先的に求めていく考えを示しました。桜井市長は「試算の取り組み自体はありがたいが、地元自治体の聞き取りもなく出されたもので矛盾が多く含まれている。より多くの人が避難できるように優先順位をつけて実効性のある対策に取り組んでほしい」と話しました。
これに対して県は地元自治体と協議したうえで対策を図ることにしています。
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柏崎市長 県の原発事故の避難時間の試算 前提条件に疑問示す
NHK新潟 NEWS WEB 2021年12月09日
新潟県が、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の事故の際の渋滞などを試算した結果を踏まえ、新たなスマートインターチェンジの整備を目指すなどとしていることについて、柏崎市の桜井市長は、避難ルートなど試算の前提条件に疑問を示し、地元の実情を踏まえて実効性のある対策を進めてほしいと求めました。
県は、柏崎刈羽原発で事故が起き、住民が避難する際、どこでどれだけの渋滞が起きるかなどを把握し、効果的な対策を検討しようと交通状況の試算を行い、先月、その結果を公表しました。
この中では、標準的なケースでも原発から5キロ圏内の住民の90%が30キロ圏外に出るまでには13時間40分かかると試算され、県は対策の1つとして新たにスマートインターチェンジを設けて避難時間を短縮したいとしています。
柏崎市の桜井市長は9日の定例議会で県の試算について問われ「県が行った試算は、県と市が協議して設定し住民に示してきた避難ルートとは異なるルートを設定して計算していて、渋滞が起きるのは当たり前だ」と述べ、試算の前提条件に疑問を示しました。
そのうえで、県が目指すとするスマートインターチェンジの設置ついて、ひとつの選択肢としながら、一部の住民は一度、原発に向かって避難するルートになることから、別の場所への設置を優先的に求めていく考えを示しました。
桜井市長は「試算の取り組み自体はありがたいが、地元自治体の聞き取りもなく出されたもので矛盾が多く含まれている。より多くの人が避難できるように優先順位をつけて実効性のある対策に取り組んでほしい」と話していました。
これに対して県は「調査の実施や調査後の公表について、市側と十分協議をして理解を得られている」として、地元自治体と協議したうえで対策を図ることにしています。