トリチウム水について研修を重ねてきた福島県内の高校生11人が26日、Jヴィレッジで報告会を開きました。冒頭で生徒たちは朗読劇を披露し、処理水や除染土の役になり廃炉を取り巻く問題を提起しました。
報告会では、政府が15年に処理水について「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と約束した経緯を巡り、生徒たちは「約束をほごにしたため国民には不信感がある」と指摘し、政府に対し「誠意ある説明を」と求めました。
会場には政府や東電の関係者ら約50人が訪れました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
処理水海洋放出は「自分ごと」 Jヴィレッジで高校生が研修報告
福島民友 2021/12/27
東京電力福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水について研修を重ねてきた福島県内の高校生が26日、Jヴィレッジで報告会を開いた。生徒らは、処理水を海に放出する計画について「『自分は関係ない』と考えないで」と「自分ごと」として意識するようメッセージを発信した。
研修は、広野町のNPO法人ハッピーロードネットが、処理水の海洋放出について若い世代の視点で議論を深める「ふくしま浜通り高校生会議」として企画した。高校生11人が10月から6回にわたり、専門家や双葉郡の首長らと意見を交わして海洋放出の課題などに理解を深めてきた。
報告会では、政府が2015(平成27)年に処理水について「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と約束した経緯を巡り、生徒は「約束をほごにしたため国民には不信感がある」と指摘した。その上で、政府に対し「誠意ある説明を」と求めた。
海洋放出に伴い懸念される風評の拡大については「自分たちで工夫できることもある。道を切り開くことが大切」と訴え、広野町のコメ農家が自ら消費者に安全性を説明し、販路拡大につなげた事例を紹介した。
政府が海洋放出を目指す23年春が1年数カ月後に迫る中、国民の理解醸成に向けては「無関心が課題」との認識で一致した。教育現場で処理水に関する授業の義務化や、著名人を起用したテレビCMで正しい知識を普及するなど「関心や興味を持ってもらうためのきっかけづくり」が必要と訴えた。
会場には政府や東電の関係者ら約50人が訪れた。経済産業省の須藤治福島復興推進グループ長は「多くの人に関心を持ってもらうための間口を広げる大切さを学んだ。ヒントをもらった」と話した。
処理水の海洋放出を考える 福島県内の高校生
パネルディスカッションや朗読劇
福島民報 2021/12/26
福島県内の高校生が東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水を海洋放出する政府方針について考える「ふくしま浜通り高校生会議」の成果報告会は26日、Jヴィレッジ(楢葉・広野町)で開かれた。生徒は処理水の海洋放出に関心を持ち、自分事として考えるよう全国の大人に向かって呼び掛けた。
福島県広野町のNPO法人ハッピーロードネットの主催。県内の高校生11人は10月から東電や経済産業省の担当者、双葉郡の住民らによる講義を受け、処理水海洋放出の課題などについて学んできた。
成果報告会では同法人の西本由美子理事長のあいさつに続き、生徒が朗読劇を披露した。生徒が処理水や除染土の役になり、廃炉を取り巻く問題を提起した。
パネルディスカッションが行われ、「海洋放出について多くの人に分かりやすく伝え、理解してもらうには何ができるか」などのテーマで議論を深めた。生徒からは「学校の授業で必修化すべき」や「CMなどで正しい知識を発信する」などの意見が出された。最後に「高校生からの手紙」と題し、岸田文雄首相や全国の大人に宛てた手紙を発表した。
福島民報社から鞍田炎取締役いわき支社長兼浜通り創生局長が出席した。