2013年6月19日水曜日

高市氏の「原発事故 死者ゼロ」発言に批判噴出 +

 自民党の高市早苗政調会長が、福島原発事故で死者は出ていないと述べたことについて、「あまりにも原発事故の実情を知らない発言だ」と批判の声が上がっています

 震災による避難で体調が悪化して死亡したり、自殺に追い込まれたりした震災関連死」は、福島県だけでも1,415人に達していますし、現実にその遺族からは東電に対して賠償を求める訴訟も起こされています。
 
 政権与党の政調会長が、自らが決定した「原発再稼動の方針」を正当化しようとして、あまりにも現実を曲げた説明をした責任は軽くはありません。
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高市氏発言「実情知らない」…福島から批判の声
産経新聞 2013618
 自民党の高市早苗政調会長が、東京電力福島第1原発事故で死者は出ていないと述べたことについて、福島県では18日「あまりにも原発事故の実情を知らない発言だ」と批判の声が上がった。

 震災による避難で体調が悪化して死亡したり、自殺に追い込まれたりした場合、自治体が「震災関連死」と認定し、災害弔慰金を支給している。
 福島県によると、県の震災関連死は1415人で、被災県の中で最も多い。県は「原子力災害は収束していない。政府・与党には、福島の実情と県民の思いをあらためて重く受け止めてほしい」とコメントを発表した。
 原発事故のため福島県楢葉町からいわき市に避難している男性(54)は「憤りを感じる。父を含め、事故さえなければ生きられた人はたくさんいたはずだ」と強く批判した。

高市氏「原発事故で死者なし」発言 与野党から批判噴出
東京新聞 2013年6月19日
 自民党の高市早苗政調会長は十八日、原発の再稼働について「東京電力福島第一原発事故で死者が出ている状況ではない」として、原発再稼働を主張した自らの発言について「誤解されたなら、しゃべり方が下手だったのかもしれない」と釈明した。ただ、震災関連死を無視するような言葉だけに、与野党から厳しい批判を浴びている。 (清水俊介)
 高市氏は十八日、十七日の講演での言及について「被ばくが直接の原因でなくても体調を崩し亡くなられ、なりわいを失い、自ら命を絶たれた方がいる。(死亡者がいないから)再稼働するなんて考え方は、そもそも持っていない」と記者団に説明した。
 菅義偉官房長官も記者会見で「前後(の文脈)を見ると問題になるような発言ではなかった」と擁護。「被災者に寄り添う形で東日本大震災復興を加速させるとの政府方針を高市氏も理解していると思う」と語った。

 しかし、被災者への配慮を欠いた発言に対する擁護論は少ない。
 自民党の溝手顕正参院幹事長は、夏の参院選への影響を懸念し「この期に及んで余計なことを言わなくてもよい」と指摘。公明党の山口那津男代表は「今なお故郷に帰れない方々が大勢いる中、被災者に共感を持たなければならない。被災者の苦労や苦痛をいかに解消するかに全力を挙げなければならない」と苦言を呈した。

 野党では、民主党の細野豪志幹事長が、福島県内で大勢の震災関連死者が出ていることを挙げて「この数字の重さを理解できない人は政権を担う資格がない」と厳しく批判。
 みんなの党の江田憲司幹事長も「深刻な原発事故への影響の認識が甚だ薄い。政治家を辞めるべきだ」と述べた。みどりの風の谷岡郁子代表は「事故を小さく見せるための無理な考えだ」と発言の撤回を求めた。
 自民党の高市政調会長の東京電力福島第一原発事故をめぐる発言要旨は次の通り。
 
■高市氏発言の要旨
 【十七日】日本に立地したい企業が増えているが、電力の安定供給が不安要因だ。原発は廃炉まで考えると莫大(ばくだい)なお金がかかるが、稼働中のコストは比較的安い。東日本大震災で悲惨な爆発事故を起こした福島原発も含めて死亡者が出ている状況にない。そうすると、最大限の安全性を確保しながら(原発を)活用するしかないのが現状だ。火力発電も老朽化し、コストがかかる。安いエネルギーを安定的に供給できる絵を描けない限り、原発を利用しないというのは無責任な気がする。(神戸市での講演で)

 【十八日】趣旨を取り違え報道されている。安全基準は最高レベルを保たなければいけないと伝えたかった。誤解されたのであればしゃべり方が下手だったのかもしれない。被ばくが直接の原因でなくても、体調を崩し亡くなられ、なりわいを失い自ら命を絶たれた方がいる。(死亡者がいないから)再稼働するなんて考え方は、そもそも持っていない。(国会内で記者団に)

高市氏「原発事故死者いない。活用を」に野党「辞めるべきだ」 
スポーツニッポン 2013年6月19日
 自民党の高市早苗政調会長が17日、神戸市で講演し、原発政策について「福島第1原発で事故が起きたが、それによって死亡者が出ている状況ではない。最大限の安全性を確保しながら活用するしかない」と述べ、停止中の原発の再稼働に意欲を示した。 

 一夜明けた18日、「誤解をされたならしゃべり方が下手だったのかもしれない」などと釈明したが、野党は「政調会長と政治家を即刻辞めるべきだ」(みんなの党の江田憲司幹事長)と一斉に批判。政府、与党は参院選や東京都議選への影響に懸念を深めた。

 福島県でも「あまりにも原発事故の実情を知らない発言だ」との声が上がった。原発事故のため楢葉町からいわき市に避難している男性(54)の父親は事故から半年後、避難生活中に体調を崩し82歳で亡くなり、震災関連死と認められた。男性は、高市氏に「憤りを感じる。父を含め、事故さえなければ生きられた人はたくさんいたはずだ。原発の再稼働ありきで、安全性を強調したいだけとしか思えない」と強く批判した。 

「発言繰り返す高市氏、確信的な無反省だ」共産・穀田氏 
朝日新聞 2013年6月19日
■穀田恵二・共産党国対委員長 
 自民党の高市早苗政調会長の発言は、15万人を超える避難をされている方々や、東電福島原発事故の関連で亡くなられた福島の1000人を超える方々、こういう方々を冒涜するもので許し難い。しかも、高市氏は同じような発言を繰り返し言っている。確信的な無反省と言わざるを得ない。撤回と謝罪を求める。 

 要は、原発事故はたいしたことではないから再稼働しよう、と言いたいのだろうが、人類と原発が共存できないという現実を目の当たりにしていながら、よくこういうことが言えるな、という思いだ。(朝日新聞の取材に)