2014年2月26日水曜日

原発即再稼働のエネルギー基本計画 政府案決定+

 政府は25日、中長期のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」案を決めました。
 その内容は、原発を時間帯や季節に関係なく動かし続ける「重要なベースロード電源」と位置付け、民主党政権が打ち出した「二〇三〇年代に原発をゼロとする」目標を撤回するもので、各種の世論調査で常に多数をしめている「原発再稼動反対」の世論を裏切るものです。
 
 原子力規制委員会が発足した野田内閣時代には、規制基準に合格すれば再稼動させるのか、その最終決定を何処がするのかについて、規制委と内閣とでボールの投げ合いがありました。そしてその結論が出ないまま政権が交代し、規制委は規制基準審査の実務に走り出しましたた。
 規制基準が原発再稼動の全ての要件を満たすものでないことは明らかで、現実に規制基準には「住民の避難」や「住民の被曝」に関する項目などはありません。規制委が“審査合格”イコール“再稼動”ではないと考えているのは、そういう意識があるからです。
 
 本来はそうした要件も規制基準に含めるべきでしたが、もともと殆どが原子力村の出身者で占められている規制委には、その分野は不得手だったのでしょう。
 それを、政治が何もカバーしないままで、何の躊躇もなく「安全基準に合格すれば再稼動する」というのは許されない暴挙です。
 安倍政権は戦争の出来る体制への変革には極めて熱心ですが、政治の根源をなすべき「国民の保護」の視点は持ち合わせていないようです。
 
 トラブルが続いている高速増殖原型炉もんじゅについても、実施体制の再検討を行うとはしたものの、結局、研究継続の方針は変えませんでした。そしてプルトニウムとウランを混合したMOX燃料を使うプルサーマルを推進するということです。
 「もんじゅ」にはこれまで1兆円余、プルトニウムを「もんじゅ」に供給する六ヶ所村の設備にも実に3兆円を投じましたが、いまだにどちらも動き出す気配もないというのにです。
 いつまでこの莫大な無駄遣いを続けようというのでしょうか。
 
 被爆者支援法の実施方針と同様に、またまた問題と疑念満載の政府案です。
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原発再稼働推進を明示 エネ基本計画 政府案決定
東京新聞 2014年2月25日
 政府は二十五日、原子力関係閣僚会議を開き、中長期のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」案を決めた。原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、原子力規制委員会の規制基準に適合すると認められた原発の再稼働を進めることを明示。民主党政権が打ち出した「二〇三〇年代に原発をゼロとする」目標を撤回した。
 
 昨年十二月に経済産業省の総合資源エネルギー調査会がまとめた原案からは、「基盤となる重要なベース電源」との表現を微修正するにとどめ、あらためて原発を活用していく姿勢を強調した。今後、与党の意見を反映させた上で、三月中の閣議決定を目指す。
 原発の位置付けについて、昨年十二月の原案に対し、与党内からも「原発の重要性を強調しすぎている」との批判が出ていた。これを受けて「基盤となる」との表現を削除した。「ベースロード電源」は時間帯や季節に関係なく、一定の電力を供給し続ける発電設備を意味する専門用語。原案の「ベース電源」と同じ意味だが、茂木敏充(もてぎとしみつ)経産相は「(ベース電源という表現が)量的に非常に多い電源とか、優先順位が高い電源ととられるなら変更する」としていた。
 
 トラブルが続いている高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)については「研究計画に示された研究の成果を取りまとめることを目指し、そのため実施体制の再整備などの課題について十分な検討を行う」とし、研究継続の方針は変えなかった。
 
 基本計画をめぐり政府は当初、一月中の閣議決定を目指していた。しかし、原案に寄せられた約一万九千件の公募意見の精査に時間がかかった上、今月九日に投開票された都知事選で脱原発が争点となり、選挙結果を見極める必要があるとして、決定がずれ込んでいる。
 
◆基本計画政府案のポイント
 一、原発は重要なベースロード電源。
 一、原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた場合、その判断を尊重し原発の再稼働を進める。
 一、原発依存度は可能な限り低減。安定供給やコスト低減の観点から、確保の規模を見極める。
 一、核燃料サイクルは、再処理やプルサーマルを推進
 一、もんじゅは徹底的な改革を行い、研究計画に示された成果の取りまとめを目指す。
 一、再生可能エネルギーは2013年から3年程度導入を最大限加速し、その後も積極推進。
 一、福島を再生可能エネルギー産業拠点化。
 

エネ基本計画 自民内から反対論 「公約違反」「核燃見直しを」
東京新聞 2014年2月26日
 自民党資源・エネルギー戦略調査会(会長・山本拓衆院議員)などの合同会議は二十六日、政府がまとめたエネルギー基本計画案についての議論を始めた。発言した二十一人のうち、原発の維持・推進方針に対して三人が反対論を述べた。
 河野太郎副幹事長(衆院神奈川15区)は自民党の二〇一二年衆院選公約が「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」を掲げたことを指摘し「原発は過渡的な電源であることを(基本計画に)明記しなければ、公約に反することになる」と述べた。
 柴山昌彦衆院議員(埼玉8区)は「(原発の)発電コストが低廉」との記述について、「廃炉や、福島で起きている汚染水問題、使用済み核燃料の処理を全部見込んだ上でのコスト計算をしなければいけない」として、低廉とは言い切れないと主張した。
 秋本真利衆院議員(千葉9区)は「核燃料サイクル政策の推進」との記述について、「原発を残すということの裏返しだ」として、核燃料サイクルの見直しを求めた。