2020年6月7日日曜日

除染前提の解除求める 帰還困難区域を抱える5町村 

 復興庁と福島県庁、富岡町文化交流センターなどをオンラインで結ん福島12市町村の将来像に関する有識者検討会6日開かれ、帰還困難区域を抱える浪江、双葉、大熊、富岡、葛尾の5町村の首長らが、除染を前提とした区域全体の避難指示解除を国に求めました
 国は拠点地域以外の地域の除染を行わないままで解除の可能性に言及したことに対する反対表明で当然のことです。
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除染前提の解除求める 将来像検討会で5町村 帰還困難区域
福島民報 2020/06/07
 復興庁と県庁、富岡町文化交流センター学びの森をオンラインで結んで六日に開かれた福島十二市町村の将来像に関する有識者検討会では、東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域を抱える六町村のうち飯舘村を除く浪江、双葉、大熊、富岡、葛尾の五町村の首長らが、除染を前提とした区域全体の避難指示解除を国に求めた

■知事「飯舘は特殊事例」
 有識者検討会は締めくくりのあいさつを除き非公開で、内堀雅雄知事が終了後に報道陣に内容を明らかにした。
 政府が帰還困難区域の未除染地域でも条件付きで避難指示を解除できるよう検討していることについて、内堀知事は「(政府が検討する)飯舘村は特殊事例」とし、「検討会の中で他の自治体は基本的に除染を含む要件を満たした上で解除してほしいと明言した」と述べた。
 飯舘村は、帰還困難区域全体を一括で解除するよう国に要望しており、特定復興再生拠点区域から外れた地域を村営復興公園として整備する方針を示している。
 市町村によって復興の進み具合が異なる中で、十二市町村の枠組みを維持する意義について問われた内堀知事は「避難指示が設定された市町村全体を捉えた復興再生を考えることは大切だ。復興が先行している自治体の事例を、他の自治体が学びながら進化させることが重要だ」との考えを示した。
 有識者検討会では、田中和徳復興相が「十二市町村の復興再生に向け、地域ごとに異なる実情を踏まえ、復興のステージに応じた課題や多様なニーズにきめ細かく対応する」と述べた。

■移住・定住促進へ人材など調査
 有識者検討会では、復興庁が国際教育研究拠点に関する調査の他、移住・定住の促進などに向けた二〇二〇(令和二)年度の調査事業の概要を説明した。
 移住・定住の促進に関する調査では、地域の復興を担う人材の状況、市町村のまちづくり・産業に関するビジョンや施策、地方創生の先進事例などを調べる。
 魅力ある観光地域づくりに向けた調査も行う。新型コロナウイルス感染防止対策の新しい生活様式を踏まえつつ、観光資源の選定と定番的なモデルツアーを企画、実証する。
 異業種の有識者らによる研究会を開き、新しい需要創出や観光振興策などを検討する。

■次期総合計画策定延期へ 県、新型コロナ対応優先 来年9月に
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県は二〇二一(令和三)年度を初年度とする次期総合計画について、策定時期を当初予定していた今年十二月から来年九月に延期する方針を固めた。感染症の収束に向けた対応を優先させるとともに、県民生活への影響を分析し計画に反映させる。
 次期総合計画の期間は十年間で、審議会が内容を議論している。当初は八月に素案をまとめ、意見公募(パブリックコメント)を経た上で、十二月定例県議会への議案提出を目指していた。しかし、感染症の収束や県民の社会経済活動への影響が見通せない中、県は現状を踏まえた内容に作り込むのは困難と判断した。新たな策定時期は感染状況次第で、さらに遅れる可能性もある。
 県の総合計画は幅広い政策分野を網羅する最上位計画で、県づくりの指針となる。現計画(ふくしま新生プラン)は二〇一二(平成二十四)年十二月に策定し、二〇一三年度から復興・創生期間が終了する二〇二〇年度末までとなっている。
 次期総合計画策定までに空白期間が生まれる点について、県は「現計画終了後も適切に各事業を進め、県民への切れ目のない支援に努める」としている。