2021年8月25日水曜日

福島原発のトリチウム水、沖合約1キロで放出へ 海底トンネル設置

 福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り、東京電力が約1キロの海底トンネルを新設して配管を通し、沖合で放出する方針を固めまし海底トンネルは発電所周辺の安定した岩盤をくりぬいて造ります。

 東電は近く、原子力規制委員会に設備の設計や手順をまとめた実施計画を申請する予定です。
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福島第1原発の処理水、沖合約1キロで放出へ 海底トンネル設置
                         毎日新聞 2021年8月24日
 東京電力福島第1原発にたまり続ける処理水の海洋放出について、政府・東電が沖合約1キロの海中に流す方針を固めた。政府関係者への取材で判明した。第1原発から沖合まで海底にトンネルを設置し、処理水を海水で薄めた後、このトンネルを使って排水する
 政府関係者によると、海洋放出の方法を巡っては、政府・東電は沖合での放出案と5、6号機の放水口から海に流す案で検討してきた。その結果、風評を懸念する地元の声などを踏まえ、沖合での放出で具体的な計画を立てることにした。
 東電は近く、原子力規制委員会に設備の設計や手順をまとめた実施計画を申請する。計画は、審査を通過し認可を受けなければならない。
 第1原発のタンクにたまり続けている水は現在、約127万立方メートルに上る。その7割は、放射性物質の濃度が国の放出基準を超えているため、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」を使って濃度を下げる。しかし、トリチウムだけは技術的に取り除けないので、国の放出基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満の濃度になるよう、海水で340倍以上に薄められてから、海に流される。【岡田英】


福島第一原発の「処理水」、沖合1キロに放出へ…
    海底トンネル新設し海水で希釈
                        読売新聞 2021年8月24日
 東京電力は、福島第一原子力発電所の「処理水」の処分方法について、同原発から1キロ・メートルほど離れた沖合で放出する方針を決めた。放出後に希釈が効果的に進む方法とみて選んだもので、25日に公表する。海底トンネルを新設し、海水で薄めた処理水を流して放出する計画で、必要な設備の設計案などを近く原子力規制委員会に提出し、規制委が妥当性を判断する。
 同原発では、原発から生じる汚染水からトリチウム(三重水素)以外の大半の放射性物質を取り除いた処理水約127万トンを、敷地内のタンクで保管している。このまま処理水が増え続けると廃炉作業の支障となるとして、政府と東電は4月、2023年春に海洋放出する方針を決め、国内の原子力施設で実績がある「沖合」と「沿岸」を軸に具体的な処分方法を検討してきた。
 その結果、沖合の方が「放出時の拡散が促進できる」と判断したという。沖合1キロ・メートル地点は漁業権が設定されておらず、風評被害を懸念する漁業者の反発も比較的少ないと、東電はみている。
 海底トンネルは、発電所周辺の安定した岩盤をくりぬいて造る。東電は、岩盤の状況を調べた後、今年度内に必要な工事を始める計画だ。完成は23年の春頃を見込んでいる。
 設備が完成すれば、東電は処理水に海水を加えて薄め、トリチウム濃度を世界保健機関(WHO)の飲料水基準の約7分の1未満まで下げたうえで放出する。
 トリチウムを含む廃水は、国内のほかの原子力施設でも生じており、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県)や北陸電力志賀原発(石川県)で、沖合で流す方法が採用されている。