2021年8月12日木曜日

父の古里に泊まってみたい 双葉準備宿泊

 福島原発事故の影響で全町避難が続く双葉町は早ければ来年1月にも準備宿泊を始める予定です。いずれは自宅に帰りたいと考えている大沼勇治さん(45(現在は茨城県古河市に避難中)は、2人の子どもたちと一緒に一時帰宅したときに、来年の準備宿泊に家族みんなで参加したいと初めて伝えたところ、兄弟は「泊まってみたい」と元気に返事をしたということです。

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父の古里、泊まってみたい 双葉準備宿泊、8月中めどに参加確認
                        福島民友 2021年08月11日
 東京電力福島第1原発事故の影響で全町避難が続く双葉町は7月末から、帰還に向けた準備宿泊の対象となる約300世帯の意向を調査している。町は早ければ来年1月にも準備宿泊を始める予定で、今月中をめどに参加の有無を確認する考え。対象の町民は古里への帰還やつながりをどう保つか、"熟慮の夏"を迎えている。
 「来年の準備宿泊で、家族みんなでこの家に泊まります」。茨城県古河市に避難する大沼勇治さん(45)は10日、来年春ごろの避難指示解除が目標の双葉町長塚の自宅に一時帰宅し、一緒に訪れた長男勇誠君(10)と次男勇勝君(8)に、準備宿泊に参加する考えを初めて伝えた。震災後に生まれた2人にとって父の古里の双葉町はなじみのない場所だが、兄弟は「泊まってみたい」と元気に返事をした。
 古里とのつながりを維持するため双葉町の自宅を残してきた大沼さんは、古河市の避難先に準備宿泊の意向調査票が届くとすぐに「参加」の枠にチェックを記した。避難指示解除後も同市を生活拠点とするつもりだが「長期休暇の際は双葉の自宅で過ごし、家族と古里をつなぐ場所にしたい」と考えている。
 準備宿泊は帰還困難区域のうち、JR双葉駅周辺に設定された特定復興再生拠点区域(復興拠点)の555ヘクタールなどが対象。町は意向調査の結果を基に、先行して帰還する具体的な人数や場所を把握し、下水処理の整備など効率的なインフラ復旧を進める。準備宿泊を経て、来年春ごろの避難指示解除を目指す。
 復興庁などが昨年11月にまとめた双葉町の住民意向調査では「戻りたいと考えている」と答えた割合は約10%にとどまっている。双葉駅西側では、来春以降の完成を目指し、震災と原発事故による被災で自宅を失った町民向けの公営住宅の整備が進められている。