2023年7月26日水曜日

日本の鮮魚事実上“輸入禁止”に アルプス処理水放出に中国が「対抗措置」 

 日本の鮮魚料理は中国からの観光客から、「中国のとは食材も料理法も違ってとてもいいです。食感も全然違います」、「日本は海に囲まれているので味が新鮮ですし、料理もすばらしい」と絶賛されています。中国国内での日本鮮魚料理店も同様に人気の的になっています。
 ところが7月7日以降、中国での通関時のチェックがそれまで「サンプルチェック」だったものが全数検査に変わったため、それまでは1日で税関を通っていたものが1週間ほどかかるようになって、通関時には殆ど腐っているということです。
 鮮魚に関しては事実上「輸入禁止」になりました。去年の輸出額は871億円でしたが、…  関西テレビが報じました。
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「日本の鮮魚はもうありません」…原発処理水の放出に中国が「対抗措置」 事実上の“輸入禁止”に
                            関西テレビ 2023/7/25
福島第一原発の処理水の放出をめぐり、中国が、日本の水産物の輸入を事実上ストップする動きに出ています。実際に輸出が滞り、関西の企業にも影響が出始めていることが分かりました。

大阪の台所、黒門市場で外国人観光客が食べて、食べて、食べて絶賛している日本の鮮魚!
【台湾からの観光客】「新鮮で甘い」「脂がのってる」「口の中でとろけた!」
中国からの旅行客は、日本のマグロやサーモンの寿司を食べています。
【中国からの観光客】「中国のとは食材も料理法も違ってとてもいいです。食感も全然違います」
【中国からの観光客】「日本は海に囲まれているので味が新鮮ですし、料理もすばらしいです」
日本の鮮魚目当てで旅行に来る人も少なくありません。

中国国内でも和食の料理店がとても人気です。しかし…
【北京の日本料理店 従業員】「日本の鮮魚はもうありません。今は中国産のものに置き換わっています」
実は今、日本の水産物が中国に実質、輸出できない事態に陥っているのです。
被害の規模は200~500万、多いところで1000万単位は「円」と推定 以下同
関西の輸出関連業者は突然の状況に驚きを隠せません。
【輸出関係業者】7月になってからは通関が下りない。(きょうも)まだ下りていないですよ、もう腐ってますよ」

--Q:被害の規模は?
「例えば、一回の輸出で200~500万、多いところで1000万くらい」
7月20日、中国・上海のスーパーをのぞくと、日本の食材売り場で異変が起きていました。
【上海支局 沖本有二記者】「こちら日系のスーパーの鮮魚売り場なんですが、日本産のものはほとんど見ることができません」
ロシア産のエビが並んでいる
ここ2週間で日本の水産物の仕入れが激減し、鮮魚売り場に並ぶのは…
「ロシア産」のエビ、「カナダ産」のホッキ貝など。

一体何が起きているのでしょうか?
中国税関総所HPには、このような記述が現れました。
「食品、特に水産物は厳格に100%検査を行う」
これまで中国は日本の水産物を輸入する際、一部を抜き取って放射線量を調べる「サンプル検査」を行ってきましたが、7月7日、すべてを検査対象に切り替える考えを示したのです。
これにより、日本から鮮魚を仕入れている北京の日本料理店では、通常なら1日で税関を通っていたマグロやウニが、今回は1週間かかり、届いたときにはダメになっていたといいます。
【北京の日本料理店 従業員】店に着いた時にはとても刺身として使える状態ではありませんでした。味は酸っぱくなって臭くなり、ウニは溶けてしまっていました。損失額は200万元(4000万円)でした」

中国の動きは日本が予定している原発処理水の放出への「対抗措置」と見られます。
【中国外務省 報道官】「日本の排出計画に反対し、それに関連する措置を取るのには十分な理由があります」
日本はこの夏、福島第一原発の処理水を国の基準値以下に薄める形で海へ放出する方針です。
IAEA(国際原子力機関)は「国際的な安全基準に適合する」と結論づける報告書を公表し、EUも、「日本が安全性に関するデータを継続的に透明性のある形で公表した」として、日本製の食品の輸入規制を撤廃しました。
しかし今回、中国は逆に「放出前」にもかかわらず、“規制を強めた”のです。中国は日本の水産物の最大の輸出先で、去年の輸出額は871億円にのぼります。全量検査になったことで輸出が滞り、“事実上ストップ”している今、日本にはどのくらいの損失が出てくるのでしょうか?
【JETRO農林水産食品部 石田達也主幹】「中国側の会見以上の情報を持っておりませんので、実際のところは、よくわからないっていうのが正直ですね。統計の数字って、すぐに何かでてくるものではありませんので、多分、2~3カ月後ぐらいにはなってくると思うんですね。」
しかし、見通しが立たないことで企業には少なからず、影響が出ているようです。
関西の輸出関連業者が、取引先との関係を考慮し匿名を条件に取材に答えました。
【輸出関連業者】「月にしたら各社2000万~3000万の輸出額があるので相当になると思います。水産業界にかなりのインパクト、影響あるじゃないですか、そこをどうするかっていうのを早急にやってもらわないとつぶれてしまう会社も出てくるかもしれない。7月くらいに放出されるんじゃないかっていうのは言われていて、それまでに準備しないといけないねとか。しかし、まさか放出前から止まるとは思ってないので」

日本の水産物の締め出しともとれる中国の対応に、深刻な影響が広がっています。