柏崎刈羽原発の再稼働の是非を巡り、新潟県による全5回の公聴会が先月末までに終了しました。一般公募と団体推薦の計87人が賛否の意見を述べましたが、約半数は音声のみの参加で、透明性や公開性などが問われます。団体推薦の公述人は再稼働賛成派に偏っていたという指摘もあります。
原発政策に詳しい専修大法学部の山下竜一教授からは概略下記の指摘がありました。
・誰が発言しているのか分からないのは住民参加の在り方として本当は望ましくない
・使用済み核燃料の処理には何万年単位でかかるので、若い世代がどう考えるのか反映する仕組みをつくっておかないといけない
・県側が「広く意見を聞きました」というアリバイづくりにならないか
・地元同意の必要性を法的に明らかにしておきたい
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
柏崎刈羽原発再稼働巡る公聴会終了「アリバイ作りにしない努力を」知事の判断にどう生かすか…専修大・山下竜一教授に聞く
新潟日報 2025/9/9
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を巡り、地元同意が焦点となる中、県による全5回の公聴会が先月末までに終了した。一般公募と団体推薦の計87人が賛否の意見を述べたが、約半数は音声のみの参加で、透明性や公開性などが問われた。花角英世知事の最終判断にどのように生かされるのかも見通せない。原発政策に詳しい専修大法学部の山下竜一教授(64)=行政法学=に公聴会への評価を聞いた。
関連記事
「賛成」6割も懸念強く…避難への不安、経済メリット実現望む
公聴会全5回の日程終了 避難計画の実効性、複合災害時の対応…懸念多く
(報道部・遠藤寛幸)
-県は参加者が自由に意見を言う環境をつくるとして、公聴会の会場を公表せず「音声のみ」での参加も認めました。公述人のほとんどは匿名でした。
「悩ましい問題だ。誰が発言しているのか分からず、住民参加の在り方として本当は望ましくない。ただ、昨今の交流サイト(SNS)の弊害を考えると仕方がないとも考える」
-87人の公述人のうち30代以下は6人。若い世代は応募が少なく、年代構成に偏りが出ました。
「高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処理を踏まえれば、原発を動かせば将来世代につけを残していく。何万年単位でかかり、火力や水力発電と比べて期間がとても長い。若い世代がどう考えるのか反映する仕組みをつくっていかないといけない」
-参加者が一堂に会して議論するのではなく、ー人10分程度で順番に意見を述べました。県側が参加者の意見をどう生かしていくのかは見通せません。
「県側が意見を聞き置くだけになる恐れはある。『公聴会をやって、みんなの意見を聞きました』というアリバイづくりにならないか。花角知事には説明責任がある。公聴会で出た意見を知事がどう評価し、判断するのか。『総合的に判断した』では説明責任を果たしたことにならない。丁寧に説明するかどうかを見ていく必要がある」
-再稼働には地元同意が焦点になっています。ただ、法律に明記されたものではありません。
現状は地元同意が政治的に重きが置かれており、国が地元に責任を押しつけているような状況だ。政府はエネルギー基本計画で原発を推進する方針を示している。原子炉等規制法に地元同意に関する要件を入れるべきではないか」
柏崎刈羽原発再稼働に関する県民意識調査、調査数や設問は妥当か 「地域の会」定例会で質疑
新潟日報 2025/9/10
東京電力柏崎刈羽原発の安全性について住民が意見を交わす「原発の透明性を確保する地域の会」の定例会が、柏崎市荒浜1の柏崎原子力広報センターで開かれた。再稼働に関する県民の意見を聞く目的で県が実施している県民意識調査の調査数や、設問の設定について、質問が上がった。
柏崎刈羽原発再稼働巡る「県民意識調査」を開始
意識調査は原発の必要性や関心度、安全対策の理解などを問う内容。3日に調査票の発送が始まり、10月末ごろに最終結果をまとめる。
定例会は3日にあり、飯田耕平委員は「調査対象の数はどう設定したのか」と質問。県原子力安全対策課の担当者は、県内全30市町村の6千人に半径30キロ圏内の6千人を加えた1万2千人が対象と説明。「県内の地域や年代ごと...
(以下は会員専用記事のため非公開 残り209文字 全文:509文字)