2025年9月11日木曜日

原子力災害対策指針の改正決定 屋内退避で運用見直し 規制委

 原子力規制委員会は10日、原発事故時に原発から5~30キロ圏内の住民に求める屋内退避の在り方を示した原子力災害対策指針について、これまで記載のなかった退避の継続期間や判断の目安などを盛り込んだ改正案を正式決定しました。
 それはいいのですが、能登半島地震で明らかになったのは「屋内退避」をすると決められた5~30キロ圏内の民家で大々的に「全壊、半壊、一部損壊」が生じたことで、「屋内退避自体が可能なのか」という疑問です。
 規制委はそれは内閣府の検討事項であるような言い方をしていますが、「屋内退避」は原子力災害対策指針(規制委が作成)に新たに謳われた事柄なので規制委が検討すべき事項です。
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原子力災害対策指針の改正決定 屋内退避で運用見直し 規制委
                            時事通信 2025/9/10
 原子力規制委員会は10日、原発事故時に原発から5~30キロ圏内の住民に求める屋内退避の在り方を示した原子力災害対策指針の改正案を正式決定した。
 屋内退避の運用見直しを議論した専門家チームの報告書に基づき、これまで記載のなかった退避の継続期間や判断の目安などを盛り込んだ。指針は今月中に改正される見通し
 改正後の指針では、屋内退避開始から3日後を継続の可否を判断する目安とした上で、国が物資の供給状況などを考慮して退避を続けるか避難に切り替えるかを決める。退避中の生活に必要な住民の一時外出や民間事業者の活動は可能とした。
 規制委の山中伸介委員長は同日の記者会見で、「屋内退避は重要な放射線防護の一つ。住民の理解が進むよう努力していきたい」と述べた。


原発事故時の屋内退避、開始3日目に継続可否を国が判断…規制委が9月中にも対策指針改正
                             読売新聞 2025/9/10
 原子力規制委員会は10日午前、原子力発電所で事故が起きた際、原発から半径5~30キロ・メートル圏内の住民に自宅にとどまることを求める屋内退避について、開始から3日目を目安に国が継続の可否を判断することを決めた。規制委は、国の原子力災害対策指針を9月中にも改正する
 現在の指針では、原発の事故時、原発から半径5キロ・メートル圏内の住民は即避難し、半径5~30キロ・メートル圏内の住民は自宅や近くの避難所に屋内退避することを求めている。その一方で、屋内退避を続ける期間や解除条件の記載はなく、原発周辺の自治体から解除条件などを明確にするよう要望があった。規制委は昨年4月に指針の改正をにらんだ検討チームを設置し、議論を進めた。
 改正後の指針では、屋内退避の開始から3日目以降は、国が物資の供給状況などを考慮して継続可能かを日々判断する。食料や生活必需品が不足した場合には、30キロ・メートル圏外へ避難する。解除条件は、原発の状態が安定し、放射性物質を含んだガスが放出される見込みがなく、上空にとどまっていないこととした
 規制委によると、屋内退避中でも、食料の買い出しや病気の緊急治療など生活の維持に最低限必要な一時外出はできる。豪雪地帯での雪下ろしも含まれる。
 規制委は6月に屋内退避の継続期間などを盛り込んだ指針の改正案を公表。意見公募を踏まえ、この日の定例会合で正式に指針の改正内容を決めた。
 ◆屋内退避=自宅や近くの避難所などの室内に退避し、建物の壁で放射線を遮ることで、原発事故による被曝(ひばく)を抑えるのが目的。2011年の福島第一原発事故では遠方への避難による負担で多くの健康被害があり、原発から5~30キロ・メートル圏内の住民は屋内退避を基本とすることになった。