2016年7月21日木曜日

東電 凍土遮水壁 完全凍結は困難と表明

 東電は19日、福島原発の凍土遮水壁について、完全に凍結させることは難しいとの見解を明らかにしました。これまで水中コンクリートの注入を行うなどの対策を行ったものの効果がなかったということになり、ギブアップ宣言と見ることができます。
 しかし完全凍結しない可能性については当初から指摘されていたことなので、320億円もの国費を投じたのに「やはりだめでした」では通りません。
 有識者会合にオブザーバー参加していた福島県の関係者も、「完全閉合を考えていないというのは正式な場で聞いたことがない。方針転換に感じる」と不審の念を表明し、双葉町の伊沢史朗町長も「公式の場で方針転換とも取られかねない発言を唐突にする東電の姿勢には、非常に違和感を覚える」と批判しました。
 
 東電には当初の目的を達するための更なる努力と、それでもだめだった場合のキチンとした説明が求められます。
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東電「完全凍結は困難」 第一原発凍土遮水壁 規制委会合で見解
福島民報 2016年7月20日
 東京電力は19日、福島第一原発の凍土遮水壁について、完全に凍結させることは難しいとの見解を明らかにした。同日、都内で開かれた原子力規制委員会の有識者会合で東電の担当者が示した。東電はこれまで、最終的に100%凍結させる「完全閉合」を目指すとしていた。方針転換とも取れる内容で、県や地元市町村が反発している。
 
 会合で東電側は規制委側に凍土遮水壁の最終目標を問われ、「(地下水の流入量を)凍土壁で抑え込み、サブドレン(建屋周辺の井戸)でくみ上げながら流入水をコントロールする」と説明。その上で「完全に凍らせても地下水の流入を完全に止めるのは技術的に困難」「完全閉合は考えていない」と明言した。
 これに対し、オブザーバーとして出席した県の高坂潔原子力総括専門員は「完全閉合を考えていないというのは正式な場で聞いたことがない。方針転換に感じる」と指摘。東電側は「(凍土壁を)100%閉じたいのに変わりはないが、目的は流入量を減らすこと」と強調した。
 凍土壁は1~4号機の周囲約15キロの地中を凍らせ、建屋への地下水の流入を抑え、汚染水の発生量を減らす計画。
 東電は3月末に一部で凍結を始めたが、一部で地中の温度が下がらず追加工事を実施した。東電によると、第一原発海側の一日当たりの地下水くみ上げ量は6月が平均321トン。5月の352トンに比べ31トン減少したが、凍土壁の十分な効果は確認できていない。
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 東電が今年3月に特定原子力施設監視・評価検討会で公表した資料では凍土壁造成の最終の第3段階について「完全閉合する段階」と表記していた。経済産業省資源エネルギー庁も「凍土遮水壁は最終的には完全な凍結を目指す」(原子力発電所事故収束対応室)との認識だ。
 規制委会合で東電が示した見解について、県の菅野信志原子力安全対策課長は「おそらく公の場では初めてではないか。汚染水の発生量を減らすという凍土遮水壁の目的を達成するため、当初の計画通り100%凍らせる努力が必要だ」と強調した。
 
 福島第一原発が立地する双葉町の伊沢史朗町長も「公式の場で方針転換とも取られかねない発言を唐突にする東電の姿勢には、非常に違和感を感じる」と指摘した。双葉地方町村会長の馬場有浪江町長は「凍土壁で汚染水を完全に管理できるという説明だったはず。町民の帰還意欲にも影響しかねない問題だ」と批判した。
 一方、東電は「地下水流入量抑制が目的で、100%閉合を確実に実施するわけではない。目的は変わっておらず方針転換ではない」(本店広報室)としている。

大飯原発の基準地震動 再議論へ 規制委

 原子力規制委20日の定例会合で、過小評価の可能性が指摘された大飯原発の基準地震動について、指摘を受けて行った再計算の精度に問題があるとして、議論をやり直すことを決めました。
 19日の段階では、一部で再々計算は行わないと報じられましたが、そうではなくて一応まともな展開になったようです。
     (関係記事)
7月20日 大飯原発基準地震動 「再々計算しない」と規制委
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大飯の地震動、再議論へ 規制委「過小評価」指摘受け
東京新聞 2016年7月20日 
 原子力規制委員会は二十日の定例会合で、過小評価の可能性が指摘された関西電力大飯原発(福井県)の基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)について、指摘を受けて行った再計算の精度に問題があるとして、議論をやり直すことを決めた。
 
 規制委は十三日の前回会合で基準地震動を見直す必要はないと判断したが、計算手法に関する事務局の原子力規制庁の説明が不十分だった。田中俊一委員長は「規制庁はデータをそろえて説明してほしい。その上で議論したい」と述べた。次回以降に再度、議論する。
 過小評価は前委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授(地震学)が指摘。規制庁は島崎氏の提案に従い、別の計算手法を取り入れて再計算を実施。計算過程で断層面積などの設定に矛盾が生じたが、無理な仮定を重ねて計算した結果、審査で了承済みの最大加速度八五六ガルを下回る六四四ガルを算出したという。

21- 浜岡4号機 安全対策工期延長も 中電

     20日地元に伝達
静岡新聞 2016年7月20日
 中部電力浜岡原発4号機(御前崎市佐倉)で進められている安全対策工事について、中電は2016年9月末をめどとしていた完了時期の延期を検討していることが、19日までに分かった。原子力規制委員会の適合性審査が依然継続しているためで、20日に開かれる市議会全員協議会で報告する。安全対策工事の工期に関し、中電が地元に方針を伝えるのは初めて。
 
 中電によると、原子力規制委の適合性審査が今年9月末ごろに終わるとの見通しで安全対策工事を進めてきたが、審査は想定よりも時間がかかり、終了時期も見通せない。場合によっては追加工事も必要になるという。
 浜岡原発4号機は事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)。南海トラフ巨大地震を想定し、耐震設計の基準になる基準地震動(最大の揺れ)を1200ガル(一部2千ガル)と設定し、事故時の放射性物質の拡散を大幅に抑える装置「フィルター付きベント(排気)」などの工事を進めている。海抜22メートルの防潮堤は今年3月完成した。
 中電は4号機について2014年2月、新規制基準を満たしているかを確認する原子力規制委の適合性審査に申請した。今月15日現在、原子炉格納容器の破損防止など設備に関する審査は54回を数える一方、地震・津波に関しては14回にとどまる。基準地震動が定まっていない。
 中電は13年7月、4号機の工期について15年9月と公表したが、1年延長し16年9月末とした経緯がある。

2016年7月20日水曜日

大飯原発基準地震動 「再々計算しない」と規制委 

 19日、島崎邦彦東大名誉教授(前規制委委員長代理)と面談した規制委の田中委員長は、島崎氏が求めた再々計算を拒否しました。
 規制委は大飯原発基準地震動について、先に島崎氏の要求に基づいて武村式を用いて再計算して、以前に設定した基準地震動が過小評価でないことを確認したと、13日に公表しました。
 それに対して島崎氏は、再計算の際に、武村式の計算で予測の不確かな部分を加味していないことを問題視し、再々計算を求めたのですが、田中氏は「再計算に使った武村式は信頼性が低く、やってはいけない計算をやった」と述べたということです。
 要するに当初用いた「入倉・三宅式」が一番信頼できると言いたいようなのですが、島崎氏が熊本地震に同式を適用して検証した結果、過小の地震動を与えることが明らかになったために、問題提起をしたというのが経過です。
 
 「入倉・三宅式」は一つの仮説にすぎないので、それが正しくないことが証明されれば棄却(または修正)されるべきであって、それを現行のまま使用し続けるというのは暴論です。毎日新聞の記事の書きぶりから、どうも例の火山条項に関する記者会見の際のようなヒステリックな発言が、またあったように思われます。
 島崎氏は、断層面が(水平方向でなく)垂直乃至斜めの場合には、入倉・三宅式は地震源の規模(長さ)を過小に評価する結果、得られる地震動も過小になると具体的に指摘しているのですから、それについて規制委は再検討すべきです。
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大飯原発 規制委「再々計算しない」 基準地震動
毎日新聞 2016年7月19日
 関西電力大飯原発(福井県)で想定する地震の揺れ(基準地震動)は過小評価だとして、原子力規制委員会の島崎邦彦・前委員長代理が規制委に再計算を求めた問題で、島崎氏と会った規制委の田中俊一委員長は19日、再計算の考えはないことを示した。さらに、一度別の方法で再計算し、過小評価でない根拠として公表した値についても信頼性が低いとの認識を今になって示す異例の展開。20日の規制委定例会で対応を検討する。 
 
 島崎氏は6月、規制委が採用している「入倉・三宅式」による計算は、実際に起こりうる揺れより小さい値になる恐れを指摘。規制委は別の「武村式」で再計算し、やはり同原発の耐震性は余裕があるとの認識を示した。それでも島崎氏が納得せず、田中委員長がこの日、直接考えを聞く場を設けた。 
 島崎氏は、武村式の計算で予測の不確かな部分を加味していないことを問題視した。これに対し、原子力規制庁の担当者は、武村式は原発の揺れを計算する手法としては確立されていないとして、「再計算に無理が生じ、これまでの評価と同レベルに扱えない」と、信頼性が低いことを説明した。 
 武村式の計算結果は13日の規制委定例会で了承されており、田中委員長は「やってはいけない計算をやった」と説明した。その上で「新しい手法を使うには(科学的)ベースが必要。今のところ(入倉・三宅式を)やめる手立てはない」と述べた。【柳楽未来】 

20- フクシマツアーに行ってきました

 18日~19日、昨年に続いて2回目の福島バス・ツアー:「足を運んで分かる・感じる フクシマ・ツアー」を行いました。
 今回は南魚沼市(8名)、魚沼市(1名)の皆さんにも沢山ご参加頂いて(バックアップ頂いて)、総勢19名となりました。皆さん雄弁でユーモアのセンスのある方たちばかりでとても楽しいツアーとなりました。
 
1日目行程
 関越自動車道を北上し新潟中央から磐越自動車道経由で福島に向かい、18日正午過ぎにいわき市の四倉道の駅に到着しました。
 そこで、原発事故後昨年春まで湯沢におられ、その後福島に戻られたKご夫妻のお出迎えを受けました。お二人ともお元気そうで、昨年のツアーに引き続き感激的な再(々)会となりました。
 
 昼食後、『原発事故の完全賠償をさせる会』の菅家さんにバスに同乗していただいて、国道6号線を北上しながら、広野町、楢葉町、富岡町を訪れ、大略下記の場所を案内していただきました(順不同)。
   楢葉町Jビレッジ
   公園モニタリングポスト
   富岡駅及び駅前通り夜の森
   双葉町、浪江町の帰還準備中の街中
   福島第二原子力発電所(北側遠望)
   宝鏡寺反原発運動40年の早川住職のご夫人より話を聞く
   (見学後いわき市四倉に戻り、夕刻宿泊先に到着
 
2日目行程
 2日目は帰路に沿って、鬼ケ城の研修センター「ききり荘」(いわき市川前町・標高約600m)に立ち寄り、風力発電学習施設を見学しました。
 直径20m・3翼型1基の施設で実際に発電を行い、「ききり荘」の使用電力のバックアップに役立てています。
 そこから「あぶくま洞」に向かう途中、偶然にバスの車窓から山頂一帯に風力発電のタワーが16~17基 林立している風景を目にすることができました。阿武隈高原を風が吹き渡るあの辺一帯は、風力発電の知られざるメッカになっているのかも知れません。
 
 その後「あぶくま洞」(福島県田村町滝根町)を見学しました。同鍾乳洞は、1969年、比較的最近発見されました。
 内部には鋼板製の階段がいくつも設けられていて非常に起伏に富んだ見学用通路になっていました。
 公開されている部分はそれほど大きくはありませんが、様々な鍾乳洞の景観を楽しむことができ、今年の4月に「恋人の聖地」に指定されたということです。
 見学後 近くのレストランで昼食をとり、その後 一路帰途につきました。
 
 丁度西日本は梅雨明けしたようですが、1日目は曇り、2日目は晴れ(時々曇り)で、酷暑に至ることもなく快適なツアー日和でした。

2016年7月18日月曜日

次回の更新は20日の正午頃になります

18,19日の2日間外出するため、次回の更新は20日の正午頃になります。
ご了承願います。

道路機能低下時の車移動時間 全国15原発について計算

 原発の過酷事故と地震などによる複合災害が発生した場合、原発30キロ圏内の全住民が圏外に車で一斉に避難した場合の所要時間を、交通権学会の上岡直見会長(法政大非常勤講師)が全国の15原発について試算しました。
 それによると、土砂崩れや地割れなどで通行機能が5%低下すると移動完了までの所要時間は、最も長い原発で通常の2・0倍、10%低下すると、同じく通常の3・6倍かかることが分かりました。
 因みに柏崎刈羽原発では、通常時20時間50分、5%低下時32時間20分(1・6倍)、10%低下時64時間40分(3・1倍)です。
 また川内原発では、通常時22時間20分、5%低下時35時間40分(1・6倍)、10%低下時81時間10分(3・6倍)です。
 下記の記事では計算結果の一覧表の添付を省略しましたので、URLでアクセスしてご覧になってください。
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道路機能低下時の車移動 全国15原発で複合災害想定
東京新聞 2016年7月17日
 全国十五原発で過酷事故と地震などによる複合災害が発生した想定で、原発三十キロ圏内の全住民が圏外に車で一斉に避難した場合の所要時間を、交通権学会の上岡直見会長(法政大非常勤講師)が試算した。土砂崩れや地割れなどで通行機能が10%低下すると、移動完了までの所要時間は、最も長い原発で通常の三・六倍かかることが分かった。
 
 三十キロ圏は、自治体に避難計画の策定が義務づけられた範囲。試算によると、所要時間が最長だったのは国内で唯一稼働中の九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)で、道路機能に低下がない通常時が二十二時間二十分、10%低下時が三・六倍の八十一時間十分だった。
 
 試算は東京電力福島第一、第二原発を除いた全国十五原発を対象に行った。関係自治体が出している避難時間の試算をベースに、周辺道路の車線数や延長距離、三十キロ圏内の人口などから、道路機能の低下割合(ゼロ、5%、10%)に応じて三十キロ圏外に移動を終えるのにかかる時間を計算した。