2016年7月20日水曜日

大飯原発基準地震動 「再々計算しない」と規制委 

 19日、島崎邦彦東大名誉教授(前規制委委員長代理)と面談した規制委の田中委員長は、島崎氏が求めた再々計算を拒否しました。
 規制委は大飯原発基準地震動について、先に島崎氏の要求に基づいて武村式を用いて再計算して、以前に設定した基準地震動が過小評価でないことを確認したと、13日に公表しました。
 それに対して島崎氏は、再計算の際に、武村式の計算で予測の不確かな部分を加味していないことを問題視し、再々計算を求めたのですが、田中氏は「再計算に使った武村式は信頼性が低く、やってはいけない計算をやった」と述べたということです。
 要するに当初用いた「入倉・三宅式」が一番信頼できると言いたいようなのですが、島崎氏が熊本地震に同式を適用して検証した結果、過小の地震動を与えることが明らかになったために、問題提起をしたというのが経過です。
 
 「入倉・三宅式」は一つの仮説にすぎないので、それが正しくないことが証明されれば棄却(または修正)されるべきであって、それを現行のまま使用し続けるというのは暴論です。毎日新聞の記事の書きぶりから、どうも例の火山条項に関する記者会見の際のようなヒステリックな発言が、またあったように思われます。
 島崎氏は、断層面が(水平方向でなく)垂直乃至斜めの場合には、入倉・三宅式は地震源の規模(長さ)を過小に評価する結果、得られる地震動も過小になると具体的に指摘しているのですから、それについて規制委は再検討すべきです。
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大飯原発 規制委「再々計算しない」 基準地震動
毎日新聞 2016年7月19日
 関西電力大飯原発(福井県)で想定する地震の揺れ(基準地震動)は過小評価だとして、原子力規制委員会の島崎邦彦・前委員長代理が規制委に再計算を求めた問題で、島崎氏と会った規制委の田中俊一委員長は19日、再計算の考えはないことを示した。さらに、一度別の方法で再計算し、過小評価でない根拠として公表した値についても信頼性が低いとの認識を今になって示す異例の展開。20日の規制委定例会で対応を検討する。 
 
 島崎氏は6月、規制委が採用している「入倉・三宅式」による計算は、実際に起こりうる揺れより小さい値になる恐れを指摘。規制委は別の「武村式」で再計算し、やはり同原発の耐震性は余裕があるとの認識を示した。それでも島崎氏が納得せず、田中委員長がこの日、直接考えを聞く場を設けた。 
 島崎氏は、武村式の計算で予測の不確かな部分を加味していないことを問題視した。これに対し、原子力規制庁の担当者は、武村式は原発の揺れを計算する手法としては確立されていないとして、「再計算に無理が生じ、これまでの評価と同レベルに扱えない」と、信頼性が低いことを説明した。 
 武村式の計算結果は13日の規制委定例会で了承されており、田中委員長は「やってはいけない計算をやった」と説明した。その上で「新しい手法を使うには(科学的)ベースが必要。今のところ(入倉・三宅式を)やめる手立てはない」と述べた。【柳楽未来】