原発の過酷事故と地震などによる複合災害が発生した場合、原発30キロ圏内の全住民が圏外に車で一斉に避難した場合の所要時間を、交通権学会の上岡直見会長(法政大非常勤講師)が全国の15原発について試算しました。
それによると、土砂崩れや地割れなどで通行機能が5%低下すると移動完了までの所要時間は、最も長い原発で通常の2・0倍、10%低下すると、同じく通常の3・6倍かかることが分かりました。
因みに柏崎刈羽原発では、通常時20時間50分、5%低下時32時間20分(1・6倍)、10%低下時64時間40分(3・1倍)です。
また川内原発では、通常時22時間20分、5%低下時35時間40分(1・6倍)、10%低下時81時間10分(3・6倍)です。
下記の記事では計算結果の一覧表の添付を省略しましたので、URLでアクセスしてご覧になってください。
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道路機能低下時の車移動 全国15原発で複合災害想定
東京新聞 2016年7月17日
全国十五原発で過酷事故と地震などによる複合災害が発生した想定で、原発三十キロ圏内の全住民が圏外に車で一斉に避難した場合の所要時間を、交通権学会の上岡直見会長(法政大非常勤講師)が試算した。土砂崩れや地割れなどで通行機能が10%低下すると、移動完了までの所要時間は、最も長い原発で通常の三・六倍かかることが分かった。
三十キロ圏は、自治体に避難計画の策定が義務づけられた範囲。試算によると、所要時間が最長だったのは国内で唯一稼働中の九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)で、道路機能に低下がない通常時が二十二時間二十分、10%低下時が三・六倍の八十一時間十分だった。
試算は東京電力福島第一、第二原発を除いた全国十五原発を対象に行った。関係自治体が出している避難時間の試算をベースに、周辺道路の車線数や延長距離、三十キロ圏内の人口などから、道路機能の低下割合(ゼロ、5%、10%)に応じて三十キロ圏外に移動を終えるのにかかる時間を計算した。