20日地元に伝達
静岡新聞 2016年7月20日
中部電力浜岡原発4号機(御前崎市佐倉)で進められている安全対策工事について、中電は2016年9月末をめどとしていた完了時期の延期を検討していることが、19日までに分かった。原子力規制委員会の適合性審査が依然継続しているためで、20日に開かれる市議会全員協議会で報告する。安全対策工事の工期に関し、中電が地元に方針を伝えるのは初めて。
中電によると、原子力規制委の適合性審査が今年9月末ごろに終わるとの見通しで安全対策工事を進めてきたが、審査は想定よりも時間がかかり、終了時期も見通せない。場合によっては追加工事も必要になるという。
浜岡原発4号機は事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)。南海トラフ巨大地震を想定し、耐震設計の基準になる基準地震動(最大の揺れ)を1200ガル(一部2千ガル)と設定し、事故時の放射性物質の拡散を大幅に抑える装置「フィルター付きベント(排気)」などの工事を進めている。海抜22メートルの防潮堤は今年3月完成した。
中電は4号機について2014年2月、新規制基準を満たしているかを確認する原子力規制委の適合性審査に申請した。今月15日現在、原子炉格納容器の破損防止など設備に関する審査は54回を数える一方、地震・津波に関しては14回にとどまる。基準地震動が定まっていない。
中電は13年7月、4号機の工期について15年9月と公表したが、1年延長し16年9月末とした経緯がある。