2026年10月19日月曜日

浪江町津島の原発事故訴訟 仙台高裁「東電のみに賠償命令」

 浪江町津島の住民が、国と東京電力を相手に原発事故に伴う損害賠償などを求めた控訴審判決で、仙台高裁は、東京電力のみに支払いを命じる判決を言い渡しました。
 また原状回復請求についても「地区全域の放射線量を一定の値まで低下させる手段や技術が特定されていない」として却下しました。
 原発事故への国の責任を巡っては、22年に最高裁が国に賠償責任はないとする初の統一判断を示して以降、各地の裁判で同様の判決が続いています。
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浪江町津島の原発事故訴訟 仙台高裁「東電のみに賠償命令」一審判決を変更
                      FCT福島中央テレビ 2026/10/17
浪江町津島の住民が、国と東京電力を相手に原発事故に伴う損害賠償などを求めた控訴審判決で、仙台高裁は、東京電力のみに支払いを命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、浪江町津島の住民約600人が、国と東京電力に対し原発事故に伴う損害賠償 約155億円などを求めたものです。

一審の福島地裁郡山支部は、国と東京電力の責任を認め、約10億4000万円の支払いを命じていましたが、控訴審判決で仙台高裁は、一審判決を変更し、東京電力のみに賠償を命じる判決を言い渡しました。


福島・津島地区の原発避難者訴訟、仙台高裁は国の責任認めず、地裁判決から一転し東電のみに賠償命令
                           読売新聞 2026/10/17
 東京電力福島第一原発事故で帰還困難区域となった福島県浪江町津島地区の住民約600人が国と東電に、古里で再び暮らすための土地の原状回復と損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が16日、仙台高裁であった。石垣陽介裁判長は、国と東電の責任を認めた1審・福島地裁郡山支部判決を変更し、東電のみに損害賠償を命じた。国の責任は認めなかった。
 原発事故への国の責任を巡っては、2022年に最高裁が国に賠償責任はないとする初の統一判断を示した。以降、各地の裁判で同様の判決が続いている。
 控訴審で原告側は、国が原発の設置許可を取り消す規制権限を行使しなかった違法性などを主張したが、石垣裁判長は「違法性はない」として退けた。原状回復請求についても「地区全域の放射線量を一定の値まで低下させる手段や技術が特定されていない」として却下した。


原発事故の「津島訴訟」、高裁は国の責任否定 東電のみに賠償命令
                           福島民友 2026/10/17
 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となった浪江町津島地区の住民631人(控訴提起時点)が、国と東電に原状回復や計約155億円の損害賠償を求めた訴訟(津島訴訟)の控訴審判決で、仙台高裁の石垣陽介裁判長は16日、2021年7月の一審地裁郡山支部判決が認めた国の責任を否定し、東電のみに賠償を命じた。原状回復については退けた。原告側は上告についての方針を示していない。
 同種訴訟を巡っては、国の賠償責任を認めない22年6月の最高裁判決以降、東電だけに賠償を命じる判決が続き、今回の仙台高裁も同様の判断を示した。
 石垣裁判長は判決理由で、原告側の国が米国原子力規制委員会が策定した全電源喪失などに備えた過酷事故対策「B.5.b」を講じていれば福島の事故を防げたとする主張について「事故を回避できた高度の蓋然性があるとは言えず、対策を講じなかったからといって直ちに違法とはならない」とした。国が公表した地震予測「長期評価」による津波の予見可能性があったとは言いがたく、事故を回避できる可能性を認めがたいとして、国に賠償責任はないと結論づけた。
 一審判決は国の責任を認め、国と東電に対し、634人に計約10億4000万円の賠償を命じていた。高裁判決の賠償額では基準となる慰謝料として、一審判決と同水準の1人当たり計1600万円が相当とし、賠償済みの額を差し引いた150万円の支払いを命じた。
 石垣裁判長は判決言い渡し後、「国および浪江町は、津島住民の思いを丁寧にくみ取り、津島の除染と復興に取り組むように切に望む」などと付言した。
 判決を受け、原告団と弁護団は記者会見を開き、付言について「基本解決要求の実現に資する判決だ」とするコメントを発表した。弁護団の白井剣弁護士は付言に対して一定の評価を示しつつ、「国の責任、原状回復、損害賠償に関して形式的に切り捨てている印象」と述べ、一審から大きく後退した判決だと批判した。
 今野秀則原告団長は「残念の極み。判決をてことして原状回復に向けて努力していく」とした。

 原告関係者ら落胆
 仙台高裁判決を受け、原告側の関係者が仙台高裁前で「国の責任を認めず」などと書かれた旗を掲げると、原告らからは「ふざけるな」といった怒号や落胆の声が上がった。
 原告の一人、男性(65)は「想定はしていたが残念。今回の判決で終わりではなく、今後の復興について考えなければと思う」と前を向く。現在は福島市在住で、孫もいる男性。今後の国の対応について「子どもたちが事故前と同じように津島で生活できるよう、一緒に考えてほしい」と期待を述べた。
 11年間活動を続ける原告団役員(66)は判決内容について「国の責任を認めないのは、あまりにもひどい。今後、同様の事故が起きたときに誰が責任を持つのだろうか」と危機感を示した。

 東電「真摯に対応」
 東電は「事故により今もなお県および、社会の皆さまに負担をおかけしていることに深くおわび申し上げる。判決に対し精査し、真摯(しんし)に対応していく」とコメントした。

 教訓基づき規制行う
 原子力規制委員会は「引き続き、原発事故の反省と教訓に基づいて策定された新規制基準の適正水準を厳格に進めていくことにより、適切な規制を行っていきたい」とコメントした。