2021年10月4日月曜日

地域再建へ意見交換 福島で社会貢献フォーラム

 地域をつなぐ社会貢献について考える「社会貢献フォーラム in 福島」2日、福島市のとうほう・みんなの文化センターで開かれ270人が参加しました。

 第1部は、エッセイストの村松真貴子さんが被災地に残されたウシの物語「フクシマのウシ」を朗読しました。第2部は、福島大の福島大の菊地芳朗センター長、富岡町3・11を語る会の青木淑子代表、県遊技業協同組合連合会の諸田英模理事長らで、震災後の地域コミュニティーの再建をテーマにパネルディスカッションが行われました。
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地域再建へ意見交換 福島で社会貢献フォーラム、震災後の支援紹介
                        福島民友 2021年10月03日
 地域をつなぐ社会貢献について考える「社会貢献フォーラム in 福島」は2日、福島市のとうほう・みんなの文化センターで開かれた。参加者が震災から10年を振り返りながら、地域コミュニティーの再構築について意見を交わした。パチンコ・パチスロ社会貢献機構、福島民友新聞社などの主催。
 約270人が来場した。第1部は、エッセイストの村松真貴子さんが被災地に残されたウシの物語「フクシマのウシ」を朗読した。朗読後、同作品の作者の芥川麻実子さんが登壇し、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被害状況や各地の支援活動について紹介した。
 第2部は、震災後の地域コミュニティーの再建をテーマにパネルディスカッションが行われた。福島大うつくしまふくしま未来支援センターの菊地芳朗センター長、富岡町3・11を語る会の青木淑子代表、県遊技業協同組合連合会の諸田英模理事長、芥川さんがパネリストを務めた。
 菊地センター長は震災から10年が経過し、「震災について『知らなかった』という子どもたちが増えてきている」と述べ、学問として震災を伝えていくことの重要性を強調。震災の教訓を伝える「語り部」の活動を続ける青木さんは「最近は年代が下がり、中学生が震災について聞かせてほしいとやって来ている」と話し、語り部の育成など地域をつなぐために若手世代に語り継いでいくことの大切さを語った。
 福島民友新聞社から菊池克彦常務取締役営業統括本部長・PR担当が出席した。

中電ボーリング調査準備再開断念 上関原発計画

 中国電力は1日、上関原発建設予定海域でボーリング調査の準備作業再開を図りましたが、上関町祝島の島民らが漁船を調査海域に停泊させたため、6月29日に続いて再度断念しました。

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中電ボーリング調査準備再開断念 上関原発計画、反対派漁船停泊で 
                         山口新聞 2021年10月02日
 中国電力は1日、上関町の上関原発建設予定海域でボーリング調査の準備作業再開を図った。建設計画に反対する同町祝島の島民らが漁船を調査海域に停泊させたため、安全な作業ができないと判断し、再度断念した。
 6月29日に準備作業を実施しようとしたが、反対派の島民らの反発で断念。中電は「船を停泊させる行為は和解条項に反する」などとして文書でやめるよう求めた。「和解条項は今回のボーリング調査に適用されない」などと主張する反対派との交渉が進まないため、7月中旬に中断していた。
 同社の考えを文書で反対派に送付し「理解してもらえるように説明した」として、県から受けた占用許可期限の今月6日を前に再開することにした。
 中電上関原子力発電所準備事務所によると、陸から約200メートル離れた海域で掘削地点を示すブイの設置などを予定していた。午前10時の作業開始前から漁船が集結。交渉船に乗った中電の社員が海域から出るよう求めたが、反対派は応じなかった。
 同準備事務所の内冨恭則広報部長(48)は「こちらの考えを聞き入れてもらえず残念だ」と話した。
 陸から反対派と中電のやりとりを見守った同町長島の谷山松子さん(85)は「なぜこの時期に作業を再開したのか不思議に思う。漁師の権利を侵害しているのは中電側だ」と非難した。
 原発の新規制基準に対応するため、中電は2019年から断層のデータを補強するボーリング調査の準備作業を始めようとしたが、反対派の抗議活動などで中断している。(毛利祥子)

04- 葛尾に「ライスセンター」完成

 葛尾村が整備を進めてきたライスセンターが完成し引き渡し式が3日、現地で行われました。作付面積約30ヘクタール分のコメの乾燥調製が可能で、集落の住民でつくる営農組合が運営します。センターは村民の帰還促進や営農再開を後押しする施設として、政府の福島再生加速化交付金などを活用し総事業費約2億500万円で整備されました。

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葛尾に「ライスセンター」完成 村民帰還促進や営農再開後押し
                        福島民友 2021年10月04日
 葛尾村が整備を進めてきたライスセンターの完成・引き渡し式が3日、同村葛尾字北平の現地で行われた。同センターは、作付面積約30ヘクタール分のコメの乾燥調製が可能で、集落の住民でつくる営農組合が運営する。本年産米の収穫に合わせた施設完成に、関係者が営農振興を誓い合った。
 同村は、東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされたため、事故前に約130ヘクタールあったコメの作付面積は、本年度で約50ヘクタールにとどまっている。センターは村民の帰還促進や営農再開を後押しする施設として、政府の福島再生加速化交付金などを活用し総事業費約2億500万円で整備されてきた。
 引き渡し式では、篠木弘村長が「農業振興の一助になれば。大いに活用してほしい」と述べた。施設には、農家が共同使用することができるトラクターやコンバインなどの農業機械も備えており、式終了後には各種機器を扱う説明会も開かれた。

2021年10月3日日曜日

大熊住民有志、新たな交流の輪「おおがわら会」始動

 大熊町大川原地区を拠点とする親睦団体「おおがわら会」2日、創立総会を開き30人が参加しました。大川原地区には自治会のような組織がなく、住民同士が交流する機会がなかったため住民有志が昨夏から団体設立に向け準備を進めてきました。会のメンバーは帰還した町民や移住者、町内で第1原発の廃炉作業に携わる東電社員ら約40です。
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大熊住民有志、新たな「交流の輪」 「おおがわら会」始動
                        福島民友 2021年10月03日
 大熊町大川原地区を拠点とする住民有志のコミュニティー団体「おおがわら会」は2日、創立総会を開き、活動をスタートした。東京電力福島第1原発事故後、町内を拠点とする住民らの親睦団体ができるのは初めて。これまでに帰還した町民や移住者、町内で第1原発の廃炉作業に携わる東電社員ら約40人が入会しており、復興の最前線で新たな「交流の輪」を広げていく。
 大川原地区は、原発事故からの町再生の足掛かりの場として、町役場や公営住宅などが集中的に整備されてきた。かつては町内の別々の場所に住んでいた町民らが帰還のため集まったほか移住も進み、町によると9月1日現在の町内居住者数は、大川原地区を中心に推計で934人となった。
 ただ、大川原地区には自治会のような組織がなく、住民同士が交流する機会がなかった。そこで住民有志が昨夏から、ご近所同士が気兼ねなく語り合えるようなまちにしようと団体設立に向け準備を進めてきた。
 創立総会には約30人が参加し、初代会長に約2年前に町に移住してきた千葉県出身の市村英雄さん(43)を選んだ。市村さんは「町の復興が進む中で、大川原に集まる者同士の交流促進、情報共有、助け合いの体制づくりを進めていきたい」と話した。
 会には東電社員3人も入会した。日中は福島第1原発で働く浪江町の梶原健司さん(48)は「大川原には東電社員寮があり約600人が暮らしている。会の発足は、町民の輪に入りたい社員が地域住民とコミュニケーションを取るきっかけとなる」と語った。
 総会後にはお茶会も開き、参加者が自己紹介したり、町内でやりたいことを話し合ったりして親睦を深めた。同会は、大川原地区に集まることができる町民や町出身者、在勤者ら広く会員を募っている。問い合わせは一般社団法人おおくままちづくり公社(電話0240・23・7101)へ。

東大と福島高専の学生が福島原発視察 被災地の現状学習 

 東京大と福島高専の学生が1日、双葉郡でフィールド学習を行い、福島第1原発1~4号機の外観などを見て回りました。
 大学などの「復興知」を活用した福島イノベーション・コースト構想推進機構の人材育成事業の一環で、学生20人が参加しました
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東大と福島高専の学生が被災地の現状学習 第1原発など視察
                        福島民友 2021年10月03日
 東京大と福島高専は1日、双葉郡でフィールド学習を行い、学生たちが東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年半が過ぎた被災地の現状と課題を見つめた
 大学などの「復興知」を活用した福島イノベーション・コースト構想推進機構の人材育成事業の一環で、学生20人が参加。復興の将来や学生それぞれの社会的な役割を考えるきっかけにしようと初めて開催し、今後5年間の事業として継続する方針。
 学生は福島第1原発を視察し、1~4号機の外観などを見て回った。富岡町の東電廃炉資料館も訪問し、原発事故直後の混乱や国、東電の対応などについて理解を深めた。

 フィールド学習は3日まで行われ、同日は飯舘村で稲刈り体験や農家と交流する予定。 

03- 玄海原発5~30キロ圏内に安定ヨウ素剤事前配布

玄海原発5~30キロ圏内に安定ヨウ素剤事前配布 17日から玄海町などで

                         佐賀新聞 2021年10月2日
 佐賀県は、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の半径5~30キロ圏内(UPZ)の住民を対象にした安定ヨウ素剤の事前配布の日程と場所を発表した。10月17日から玄海町で始まり、唐津市と伊万里市でも順次配布する
 UPZ内の安定ヨウ素剤の事前配布は、緊急時に受け取ることができない住民を対象に県が2017年度から実施。今回は40歳未満で妊娠や障害、病気などの理由で緊急時に速やかに受け取ることができない人が対象になる。40歳以上でも、同様の理由で希望する場合は受けることができる。希望者は、市町が配布する申請書に必要事項を記入して提出し、それぞれの市町の配布会場で受け取る。
 県医務課によると、20年10月12日時点で、UPZ内の玄海、唐津、伊万里の3市町で418世帯1132人に配布している。(中村健人)

2021年10月2日土曜日

松山訴訟控訴審でも国が敗訴 東電旧経営陣に責任はないのか

 福島の原発事故で愛媛に避難した人々が起こした裁判で、29日、高松高裁が1審に続いて国と東京電力の責任を認め「政府の機関が公表した地震の長期評価は、専門家の審議によるもので信頼できる。国は、これに基づいて津波の危険性を予測できたはずだ」と指摘しました。
 東京新聞は社説で、高裁に上がった4件のうち3件で国の責任を明確認めたのは大きいとして、以前に東電旧経営陣3人の刑事裁判の1で、国の「長期評価」を「信頼性に疑いが残る」として無罪判決を下した件で、11月に始まる控訴審が注目されると述べました。
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<社説>原発避難者訴訟 積み重なる「国の責任」
                          東京新聞 2021年10月1日
 福島の原発事故で愛媛に避難した人々が起こした裁判で、高松高裁が国と東京電力の責任を認めた。地震予測の「長期評価」の信頼性を認めた意味は重い。高裁で積み重なった国の責任もまた重い。
 東電福島第一原発の事故から避難した人々をめぐる損害賠償訴訟では、すべて東電の責任は認められている。だが、国の責任も同時に認めたものは、地裁レベルでは十七件の判決のうち九件で、判断は真っ二つに割れていた。
 高裁レベルでは一件を除き、仙台、東京、高松の三つの高裁が国の責任を明確に示したことになる。最高裁への太い流れができたと、高く評価したい。
 判断の分かれ道は、国の地震調査研究推進本部が二〇〇二年に公表した地震活動に関する「長期評価」に対する信頼性だ。三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りで、マグニチュード(M)8クラスの津波地震が起こりうる予想だった。三十年以内の発生確率は20%としていた。
 高松高裁は「科学的信頼性がある」として、「長期評価」を重視した。それゆえ経済産業相は予想を基に津波のシミュレーションを行い、福島第一原発に及ぼす影響を検討すべきであった。
 当然、敷地高を大幅に上回る津波襲来を認識でき、防潮堤の建設やタービン建屋などへの対策も可能となる。
 実際には調査や検討は行われず、国は規制権限を行使しなかった。だから高松高裁は「限度を逸脱して著しく合理性を欠く」と述べ、国の責任を認めた。長期間の避難生活をせざるをえなかった原告に一人当たり百万円の「故郷喪失慰謝料」なども認めた
 確かに「長期評価」を真摯(しんし)に受け止めていたら、遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れたであろう。
 今後の同種裁判のみならず、最高裁の判断にも影響を与えよう。強い権限を持つ国は、危うい予兆を示す重要情報があれば、その権限を振るうのは当然だからだ。
 しかし、国の「長期評価」を「信頼性に疑いが残る」と指摘した裁判がある。業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の刑事裁判である。一審は三人とも「無罪」で、十一月にも控訴審が始まる。本当に「長期評価」は信頼できないのか、再度、焦点が当たることになろう