原発事故時の避難先 ガイドマップで周知 日立市、全世帯に配布
東京新聞 2020年8月24日
東海村の日本原子力発電東海第二原発から三十キロ圏に入る日立市は、原発事故時の避難先や避難経路を周知するためのガイドマップ八万四千部を作製し、市内の全世帯に配布した。市は避難計画を策定中だが、避難先が分からない市民が多くいるとみられることから、「ガイドマップで課題を解消したい」としている。
日立市の広域避難計画の素案では、地区ごとに福島県の十七市町村に避難することになっている。
昨年十一月に、東海第二原発での事故を想定した避難訓練を実施した際、参加者にアンケートをした。回答した約百人のうち半数近くが、避難計画素案について「聞いたことがない」と答えた。
市は、避難計画素案について、周知する必要があると判断。ガイドマップには、避難経路としている高速道路などの幹線道路や避難時に最初に向かう「避難中継所」を記載した。避難先のエリアごとに四種類があり、各世帯には該当するエリアのマップを配布した。
市原子力安全対策室は「事故時に逃げる先を住民に知ってほしい」と話している。また、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、避難所での感染症対策も検討するとしている。(松村真一郎)