2013年10月23日水曜日

福島原発4号機の燃料プールは人類生存にかかわる問題 と

 22日夜に行われた「原発をなくす湯沢の会」 学習会(および例会)で、ある会員からハーヴェイ・ワッサーマン氏の「福島第原発4号機の燃料プールは人類生存にかかわる問題」という訴えが紹介されて話題になりました。

 東電が近く開始する福島原発4号機の燃料プールからの燃料棒(ユニット)の取り出しには、「操作を誤ると燃料棒のジルコニウム合金が発火する惧れがあり、万一そうなると核燃料が露出して強烈な放射能を出すために人間が近寄れなくなり、最終的に貯蔵されている膨大な核燃料からの放射能の拡散を抑制できなくなる」という、大変な危険が伴っているというものです。

 ジルコニウム合金が発火することについては、文中に「ジルコニウム合金で被膜されている使用済み燃料棒は、空気に触れると発火する」とあるだけで、詳細なメカニズムは不明ですが、使用済み燃料棒は崩壊熱を発し続けるので、空気中に一定時間放置するとジルコニウムが高熱になってついには発火に至るという意味と推測されます。

 東電はプール内及び周辺のがれきの撤去を終え、核燃料取り出し作業用の完全自動大型クレーン遠隔操作方式)の設置も終わったので11月中旬を目処に燃料棒(集合体 以下では「集合体」は省略)の取り出し作業を開始する予定です。
 取り出し作業は、燃料棒を1個ずつクレーンで引き上げ、プールの余裕水深内で水没させたままプールの1画にある搬出用キャスク(容器)上に移動させて収納し、所定の本数を収容し終わったキャスクは密閉して吊り上げ、建屋外の搬出用車輌に吊り下ろす、という作業を1500本あまりの燃料棒について繰り返すものです。この作業中、燃料棒同士を衝突させることも勿論厳禁です。

 したがって作業手順に従えば燃料棒を空中に晒すことはありませんが、それは建前上のことであって、予想外のトラブルが生じないとは限りません。
 現に、最も危険な装置とされている「高速増殖炉原型炉もんじゅ」では、たった1個しかない原子炉中継装置を保守管理するため吊り上げたときに、誤って原子炉容器内に吊り落とすという事故がありました。(空の状態で吊り上げたので別に爆発はしませんでしたが、その復旧には1年以上の歳月と莫大な費用が掛かりました)

 福島4号機の燃料プール関連でもしも大事故が起きれば、東日本一帯には人が住めなくなるのは勿論、チェルノブイリ事故などとは比較にならないほどの規模で、地球を放射能で汚染し続けることになります。

 ハーヴェイ氏が言うとおり、福島4号機の燃料棒の取り出し人類生存にかかわる問題」です。東電にはあらゆる最悪な事態を想定し、それらに対して万全の対策を取った上で、燃料棒抜き出しの作業に入るべき義務と責任があります。

 以下に、同氏の訴えを紹介します。

 (追記)ハーヴェイ氏は1945年生まれの米国のジャーナリスト、作家で再生可能エネルギーの熱心な提唱者の一人ということです。
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福島第一原発4号機の燃料プールは人類生存にかかわる問題
ハーヴェイ・ワッサーマン グローバルリサーチ 2013年9月20日
人類にとってキューバミサイル危機以来の最も深刻な危機が、これから2か月以内に起こる可能性がある。東京電力が、60日以内に、福島第一原発4号機の燃料プールから1,300本以上の使用済み燃料棒を取り出す作業を開始するからだ。

プールは地上約30メートルの高さに設置されているが、プールもそれが設置されている建屋も損傷が酷く、次に地震が発生すれば容易に崩壊する恐れがある。プール内にある約400トンの燃料から放射線が放出されれば、その量は広島原爆のときの1万5,000倍を超えるかもしれない。

ジルコニウム合金で被膜されている使用済み燃料棒は、空気に触れると発火する。被膜されていない燃料棒から放射線が放出されれば、近くで被爆した者はほぼ即死する。火災が起きれば原発から全員避難せざるを得ず、電子機器の運転ができなくなる。
4号機の燃料プールを空にする作業は技術的にも科学的にも非常に難しいものだが、100%完璧に行う必要がある。もし失敗すれば、燃料棒が空気に触れて発火し、恐ろしい量の放射線が大気中に放出される。プールが落下して崩壊すれば、プール内の燃料棒が核融合や爆発を起こし、さらには放射雲が発生して全人類の健康と安全を脅かすかもしれない。

東京電力にも日本政府にもこれに対応するための科学的・技術的・経済的資源がないことだけは確かだ。喫緊の課題は、4号機の燃料プールからできるだけ早く安全に燃料棒を取り出すことであり、そのためには全世界が協調して最高の科学者や技術者を動員しなくてはならない。
また、東京電力は原子炉への注水を続けており、数千トンもの高濃度放射能汚染水が発生している。汚染水は4号機の燃料プールを支える構造物をはじめ、福島原発に残っている構造物を蝕んでいる一方、太平洋にも流れ込んでいる。

汚染水の大半は現在、原発構内の急拵えの脆弱な巨大タンク約1,000基に保管されているが、すでに汚染水漏れを起こしているタンクも多い。次に地震が発生すれば、全てのタンクが壊れ、半減期の長い放射線物質を含んだ数千トンの水が太平洋に流れ込むだろう。
4号機からわずか50メートルのところにある脆弱な共用プールには、現在、プルトニウムを含む核燃料集合体が6,000本以上保管されている。福島原発には、1万1,000本超の核燃料集合体が散在し、セシウムの量はチェルノブイリの85倍以上になるとも言われる。

チェルノブイリの最初の放射性降下物は、10日以内にカリフォルニアに到達した。2011年の福島の事故の後は1週間もかからなかった。4号機で新たな燃料火災が起きれば、生物を死に至らしめる放射性物質が数世紀にわたって放出され続けるかもしれない。
これは世界中の環境と人類文明の破壊につながる、人類の生存にかかわる問題だ。そして、行動するための時間は2か月もない。
目下、私たちは、燃料棒を安全に取り出すために世界的な科学者・技術者を動員するよう、国連と米国のオバマ大統領に嘆願している。
 (嘆願は以下のサイトからも可能。

もっと良い考えがあればそれでも構わない。とにかく、今、早急に何らかの行動を起こさなくてはならない。

<元記事>