2013年10月14日月曜日

長岡市では屋内退避訓練

 (新潟県)長岡市では、13日、柏崎刈羽原発の事故を想定し、原発から約10キロ離れた同市大積町などで、住民約6300人が参加する屋内退避の訓練を実施しました。
 屋内にいれば放射性物質の吸い込みを防ぐ効果があることや、慌てて車で避難すると渋滞中に放射線量が高まり、却って被ばくのリスクが強まる恐れあることから、屋内退避には意義があるということで、屋内退避を重点にした避難訓練は全国的に珍しいということです。

 以下に産経新聞の記事を紹介します。
 12~13日の九州電力川内原発の避難訓練の教訓などを報じた記事も併せて紹介します。
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異例の屋内退避を重点に 東電柏崎原発事故を想定し訓練 長岡市
産経新聞 2013年10月13日
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の事故を想定し、同県長岡市は13日、原発から約10キロ離れた同市大積町などで、住民約6300人が参加する屋内退避の訓練を実施した。長岡市によると、屋内退避を重点にした避難訓練は全国的に珍しい。

 広報車やラジオなどで屋内退避の指示が伝えられると、同町の公民館で市職員がドアや窓を閉めたり、換気扇やエアコンを止めたりして外気が入るのを防ぎ、テレビで情報を収集した。

 東電福島第1原発事故を教訓にした国の原子力災害対策指針は、原発から半径5~30キロ圏は、大量の放射性物質が放出されていない段階でまず屋内退避し、危険性が高まれば、あらためて遠方へ避難するよう定めている。

 長岡市によると「事故時は早く遠くに避難したい」という住民が多いため、屋内退避の必要性を説明した資料を事前に配布。屋内にいれば放射性物質の吸い込みを防ぐ効果があることや、慌てて車で避難すると渋滞中に放射線量が高まり、被ばくのリスクが強まる恐れがあることを記載した。

渋滞・ヨウ素剤…不安多く 地元の防災体制追いつかず
産経新聞 2013年10月13日
 地元住民も含めて政府や行政機関など130機関約3300人が参加した大規模な原発事故の防災訓練は、次に何が起こるかシナリオが渡されないまま、臨場感と緊張感を保ちながら展開した。しかし、現場では連絡不足で避難用車両が遅れて到着しなかったなど、問題点も浮上。川内原発は再稼働に向けた安全審査が先行しているが、地元自治体の防災体制がそこまで追いついていない現状が浮かび上がった。

 「原子炉のパラメーター(数値)が出てこないのはおかしい」。本番並みの模擬の記者会見が計3回開かれ、矢継ぎ早に飛び交う記者からの質問で、政府の広報担当を務めた原子力規制庁の大村哲臣審議官が戸惑う場面があった。

 官邸では防災服姿の安倍晋三首相が神妙な面持ちで国民に落ち着いて行動するよう呼びかける場面も設定。訓練後、規制庁の防災担当者は「課題は見られたが、想定通りに進んだ」と自信を深めた。

 その一方、現場で実際に避難訓練を経験した住民からは心配の声が聞かれた。

 安倍首相が緊急事態宣言を出した12日午前11時半ごろ、原発から半径5キロ圏(PAZ)に入る薩摩川内市の住民ら約150人が続々と避難の準備に入っていた。地区ごとに大型バスや乗用車に分乗して、直線距離で40キロほど離れた県立蒲生(かもう)高校(姶良(あいら)市)へ。同校の体育館では、白い防護服姿の県職員らが、住民らの着衣や体に付着した放射性物質の量を測定する作業に当たっていた。

 避難は約2時間かかった。実際の事故時には、PAZ内の住民約5千人が一斉に避難を始める。東京電力福島第1原発の事故では周辺住民ら約1万人が避難したが、道路の陥没や建物の倒壊から大渋滞が発生。訓練でも想定通りにいかないことを思い知らされた。訓練に参加した民宿経営、愛甲武正(あいこう・たけまさ)さん(75)は「避難経路は片側1車線が続く道で、本番では2時間でたどり着くことはまず無理だろう」と不安を口にした。

 PAZ内では甲状腺被曝(ひばく)を避けるため、安定ヨウ素剤の配布も事前にしておかなければならないが、医師を伴った住民説明会が開かれておらず、服用の理解もまだ十分に周知されていない。実際の災害時に効率的な避難を実現できるか-。今回行った訓練の検証が重要となってくる。(原子力取材班)