2013年10月7日月曜日

原発・放射能ニュース 2013.10.06~10

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10.10

原発の港湾外の海水でセシウム 福島第1沖1キロ (東京新聞)
 東京電力は10日、福島第1原発の港湾外の海水で、放射性セシウム137が1リットル当たり1・4ベクレル検出されたと発表した。陸側から漏れた汚染水の影響の可能性がある。東電は国に通報した。
 セシウムが検出された場所は「港湾口東側」と呼ばれる調査地点で、第1原発の沖合約1キロ。8日採取の海水から検出された。この場所を含め港湾外の3地点で今年8月から海水の調査を始めたが、これまでセシウムは検出されていなかった。
 安倍晋三首相は東京五輪招致を決めた国際オリンピック委員会総会で「汚染水の影響は港湾内0・3平方キロの範囲内で完全にブロックされている」と説明していた。(共同)

本県沖のアカガレイ出荷制限解除 試験操業の追い風に (福島民友ニュース)
 政府は9日、本県沖のアカガレイの出荷制限解除を県に伝えた。県によると、本県沖水産物の出荷制限解除は2012(平成24)年6月のコウナゴ以来。原発事故前は本県漁業の主要魚種の一つだったため、漁協などが漁再開を判断すれば、本県沖で始まった試験操業の追い風になる可能性もある。
  アカガレイの出荷制限解除により、本県で政府から出荷制限を指示されている魚種は41種となった。
  県は12年6月から今年8月までの間に、本県沖のアカガレイ計152検体の放射性物質検査を実施。検出された放射性セシウムは最大で1キロ当たり83ベクレルで、全検体が基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回った。検体の平均値も1キロ当たり11ベクレルと低い数値だった。

基準値超廃棄物275トン 一関の会社、仮置き場に保管  (岩手日報)
 一関市千厩町の上山製紙(菅原寿基社長)は9日、東京電力福島第1原発事故の影響で、国の指定廃棄物となる1キログラム当たり8千ベクレルを超える放射性物質の焼却灰が275・8トン発生していると発表した。ボイラー燃料の木の皮(バーク)の焼却灰で、国の処理見通しが立たないため、仮置き場などに安全策を講じて保管を続ける。
 指定廃棄物は2011年3月から13年2月までに発生したもの。既に環境省には報告済みで、同省が8月31日現在で公表した県内の総量468・9トンには含まれている。
 同社は9日、住民説明会を開催。住民からは「住民に迅速に周知すべき」「国の責任で処理するべきもので国が前面に出て説明を」などの意見が出た。
 
福島原発:放射性セシウム「牛の精巣や精子に影響なし」 (毎日新聞
 東京電力福島第1原発から半径20キロ圏内に取り残された牛の調査を進めている東北大の福本学教授(病理学)らのグループは、原発事故で放出された放射性セシウムが牛の精巣や精子の形成能力に与える影響はなかったとする研究結果をまとめ、8日付の英科学誌電子版に発表した。
 グループは、福島県川内村で2011年9月に捕獲した生後11カ月の雄牛と、妊娠8カ月の雄の胎児、12年1月に同県楢葉町で捕獲した生後12カ月以上の雄牛の計3頭を分析。
 解剖して精巣の放射性セシウム濃度を調べたところ、川内村の牛で1キロ当たり408ベクレル、胎児で387ベクレル、楢葉町の牛で1304ベクレルを検出した。精巣は放射線の影響を受けやすいとされるが、いずれも異常はなく、精子も通常の数だった。細胞分裂して精子ができる過程も調べたが、被ばくしていない検体と比べて異常は見られなかったという。

セシウム濃度13倍に上昇=港湾内、土壌固め影響か-福島第1 (時事通信)
 東京電力は10日未明、福島第1原発の港湾内で9日に採取した海水から最大で1リットル当たり1200ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。採取場所は2号機取水口の前で、湾内の水の移動を抑制する水中カーテン「シルトフェンス」の内側。前日採取分(同90ベクレル)から約13倍に急上昇した。
 2号機取水口近くの護岸では、汚染された地下水が海に流出するのを防ぐため、薬剤で土壌を固める工事が行われている。東電は「薬剤を注入する際の圧力で、汚染された土の一部が港湾内に出たため」とみている。
 2号機取水口付近では、事故直後の2011年4月に高濃度汚染水が流出しており、土壌が汚染されているという。
 シルトフェンス外側でも、セシウムが同227ベクレルと前日採取分(同106ベクレル)の2倍に上昇した。

10.9

福島第一 処理装置 汚染水漏れ 作業員被ばくか (東京新聞)
 東京電力は九日、福島第一原発で、放射性セシウムを除去した後の処理水から塩分を除去する装置で水漏れが起きたと発表した。下請け作業員が誤って配管を外したのが原因という。漏れた水には高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれており、漏れた水をかぶった作業員がいる可能性が高い。
 ストロンチウムなどが発する放射線は遮蔽(しゃへい)が容易だが、直接触れたり、体内に取り込んだりすると、やけどや長期の内部被ばくにつながる。
 東電によると、午前十時ごろ、作業員が装置近くで配管を外したところ、水漏れが発生。配管をつなぎ直すなどして約五十分後に漏れが止まったが、漏れた量は数十トンとみられる。装置のある建物周辺には、コンクリート製の堰(せき)が設けられており、堰外や海への流出はないという。
 処理水は建屋地下にたまる高濃度汚染水からセシウムを除去した水。塩分を取り除いた後、原子炉の冷却水として再利用している。装置は現在停止しているが、注水用の処理水は十分あり、冷却への影響はないという。

赤城のワカサギ 再び基準値超え (上毛新聞) 
 原発事故の影響で釣った魚の回収を条件にボート釣りが解禁されている赤城大沼のワカサギについて、(群馬)県は8日、放射性セシウム検査で1キログラム当たり110ベクレルを検出し、食品基準値(100ベクレル)を上回ったと発表した。この結果、釣りの全面解禁を認めるかの判断は早くとも3週間後となる。 
 7日に捕まえたワカサギを県農業技術センターで検査して判明した。 
 全面解禁を認める要件として、県蚕糸園芸課は、今後の検査で少なくとも3回連続して基準値を下回ることに加え、「数値が安定して低減していると確認できた場合」と説明している。次回検査を来週行い、原則として毎週実施する。

東電、業者に書面と異なる説明 風評被害賠償打ち切り (下野新聞)
 東京電力福島第1原発事故による風評被害の損害賠償をめぐり、東電側から賠償の打ち切りを書面で通知された日光市内の観光物産業者が8日、下野新聞社の取材に「会社に来た東電社員から『一次被害のホテル側から賠償請求がないのに、(ホテルなどと取引している)二次被害の業者に支払うことはできない』と言われた」などと証言した。

南相馬の玄米2袋から基準値超セシウム検出 (福島民友ニュース)
 県は8日、2013(平成25)年産米の全量全袋検査の結果、3年ぶりに作付けを再開した南相馬市原町区の旧太田村の農家1戸が生産した玄米2袋から、食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える同120ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。13年産米が基準値を上回ったのは初めて。基準値超の玄米は同市が隔離して処分するため、市場には流通しない。
  県によると、3日の検査でこの農家が生産した「ひとめぼれ」の玄米52袋(1袋30キロ入り)のうち、44袋がベルトコンベヤー式検査機器で設定した水準(同65ベクレル)を上回った。44袋の詳細検査を行い、2袋の玄米が基準値を超えた。基準値以下の玄米は出荷できる。

10.8

ALPS処理水 規制委「放出やむなし」 (河北新報)
 福島第1原発の汚染水問題をめぐる参院経済産業委員会の閉会中審査が7日あり、トリチウムが残る多核種除去設備(ALPS)の処理水について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は濃度基準以下の場合は海洋放出を検討する考えをあらためて示した。
 田中氏は「環境への放出をできるだけ少なくするのが大事だが、(貯蔵容量がないなど)やむを得ない場合は基準を下回ることを確認した上で放出を認めざるを得ない」と述べた。
 茂木敏充経産相は「国費で開発を進める高性能の設備でも除去できないが、希釈したトリチウムの海への放出は国内外で例がある」と田中氏の見解に同調。安定的に長期貯蔵する技術も検討する方針も明らかにした。
 トリチウムは水素と組成が似ており、水として存在するため人体にほとんどとどまらず排出されるという。福島第1原発では事故前、年間22兆ベクレルを上限に海に放出していた。田中氏はまた、東京電力が申請した柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の安全審査について「福島の状況に国民が納得できる落ち着きがない中で、審査をどう進めるか慎重に検討する」と述べた。福島第1原発に関する東電の安全管理態勢が審査の進行に影響するとの見方を示した。

トリチウム23万ベクレル検出 漏えいタンク周辺で最高値 (東京新聞)
 東京電力は8日、福島第1原発で高濃度汚染水約300トンが漏れた地上タンク近くの観測用井戸の地下水から、放射性物質トリチウムが1リットル当たり23万ベクレル(法定基準は6万ベクレル)検出されたと発表した。汚染水が漏れた「H4」と呼ばれるタンク群周辺では最高値。
 同じ井戸で9月下旬、トリチウムが1リットル当たり19万ベクレル検出された後、低下傾向だったが、再び上昇した。
 東電は「上昇した原因は不明」としている。
 この井戸は汚染水が漏れたタンクから北に約20メートル離れた場所で、6日に地下水を採取した。 (共同)

指定廃棄物保管量で評価点に差 処分場選定 市町長間で波紋も (下野新聞)
 放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場問題で、環境省が4日の有識者会議で示した候補地を絞り込む際の評価項目の配点が波紋を広げそうだ。項目の一つ「市町の指定廃棄物保管量」では、那須塩原や那須など4市町内の土地は5点満点中5点と評価される一方、那須烏山など3市町内では1点とされ、既に“点差”が生じている。保管量を評価対象とすることには反対意見もあり、今後、本県の市町長間の議論で、評価項目の除外や点数配分の変更などがあるか注目される。

東電、賠償打ち切り 日光市内の観光物産業者 (下野新聞)
 東京電力福島第1原発事故による風評被害の損害賠償をめぐり、日光市内の観光物産業者に東電側が「売り上げの減少と事故の因果関係は認められない」などとして賠償を打ち切る内容の書面を通知していたことが7日までに分かった。同様の書面は茨城県内の複数の業者にも郵送されていたことが明らかになっている。同市の業者は「一方的で理不尽だ」として同業者らと不服申し立てなどを検討している。

相馬で発生の除染廃棄物 がれき焼却炉で処分へ (河北新報)
 福島県相馬市が市内で出た福島第1原発事故の除染廃棄物を、同市光陽の中核工業団地にある国の震災がれき仮設焼却炉で焼却処分する方向で検討していることが分かった。9日に試験焼却する。がれき焼却炉で除染廃棄物を焼却するのは初めて。
 市によると、処分対象は山間部の住宅、農地の除染で出た枝木や牧草など約7500トン。約100トンを試験焼却して放射性セシウムの排出の有無を調べ、本格処分に踏み切るかどうかを決める。環境省は「技術的には可能」とみている。
 焼却炉は3炉で1日570トンの処理能力がある。同市の隣の福島県新地町の震災がれきの焼却施設として国が代行整備し、2月に稼働を始めた。
 市生活環境課は「試験結果を踏まえて判断したい」と話している。
 市は除染廃棄物の専用焼却炉を市の山間部に建設する計画を立てたが、住民の反対で設置場所の選定が難航し、計画が行き詰まっていた。

10.7

第1原発、操作手順書なく誤操作 冷却ポンプ停止の原因 (東京新聞)
 福島第1原発1号機の原子炉を冷却する注水ポンプが停止した問題で、東京電力は7日、操作手順書がなかったため、巡回中の作業員が配電盤への電源供給を止めるボタンを誤って押したのが原因だったと明らかにした。
 東電によると、作業員2人一組で配電盤の電圧や電流を測定中で、誤操作した作業員は今回初めて担当したという。
 測定の際は配電盤の中の「計測」と記されたボタンを押して数値を表示させるが、作業員は誤って別のボタンを押した後、「切」と記されたボタンを続けて押した。(共同)

注水ポンプ停止は配電盤の誤操作 1号機冷却継続 (東京新聞)
 東京電力は7日、福島第1原発1号機の原子炉に注水するポンプが同日午前9時45分ごろ、停止したと発表した。配電盤から電源が供給されなくなったためで、直後に自動的に別系統のポンプを使った注水に切り替わっており、冷却は続いている。
 東電や原子力規制庁によると、配電盤を点検していた作業員が誤って操作パネルの停止ボタンを押したことが原因とみられる。東電などが詳しく調べている。
 東電によると、ポンプの停止により、1号機の原子炉への注水量が一時的に必要量を下回ったが、すぐに回復した。(共同)

汚染灰「人の住めない福島に」 桜田・文科副大臣が発言 (朝日新聞)
 福島第一原発事故で放射能に汚染されたごみを焼いて出た焼却灰の処理をめぐって、桜田義孝・文部科学副大臣が千葉県北西部の市長や国会議員らとの懇談会の席上、「(焼却灰は)原発事故で人の住めなくなった福島に置けばいい」と発言していたことがわかった。 
 桜田氏は朝日新聞の取材に対して、発言を認めたうえで、「灰を一時保管している地元は困っている。そういう(=福島に置けばいいという)考えがあるのでは、という思いから、出席者に質問するつもりで発言した。私個人がそういった主張をしているわけではない」と説明した。 

原発事故賠償 備え不足 政府 法律見直し放置 (東京新聞)
 東京電力福島第一原発事故を受け、二〇一一年八月に国会で原子力損害賠償法(原賠法)を「一年をめどに見直す」と決議したのに、期限を一年以上過ぎても、ほとんど検討が進んでいないことが分かった。重大事故が起きれば賠償額は兆円単位。これに対して、備えはわずか千二百億円の保険のみ。電力各社からは再稼働申請が相次いでいるが、住民への賠償面で大穴があいたままだ。 (岸本拓也)
 現行の原賠法では、事故の責任は基本的には電力会社にあるが、巨大な天災などが原因の場合はあいまいになっている。福島の事故では、賠償や除染の事業費で少なくとも五兆円はかかることが確実だが、電力会社が備えているのは一原発当たり上限千二百億円の保険だけだ。
 
10.6

福島第1原発で4カ月 札幌の55歳男性が労災申請 がん 「被ばくが原因」 北海道新聞
  (10月7日「福島原発がれき撤去作業でがん発症 労災申請」本文記事参照)

東芝、英で原発会社買収へ 欧州・アジアでの建設強化 (朝日新聞)
【内山修】東芝は、英国で原発の新設を進めるフランス、スペインの合弁会社を買収する方向で最終調整に入った。子会社の米原発メーカー大手のウェスチングハウス(WH)によるもので、買収額は少なくとも100億円を上回る見通し。原発事故を受けて国内の新設は難しいことから、欧州やアジアなど海外での原発事業を強化する。 
 関係者によると、年内の合意を目指している。東芝が海外で原発の事業運営会社を買収するのは初めて。建設後の原発運営は電力会社などに委託する方針だ。 
 買収をめざすのは、フランスとスペインの大手電力会社が折半で出資する「ニュージェン」。両社から50%超の株式を取得する方向だ。合弁会社は英国に拠点があり、英中部で計360万キロワット分の原発をつくる予定。大型原発で2~3基分にあたり、2023年までに稼働するという。