2019年2月25日月曜日

「デブリ取り出し、道見えた」と 小野明廃炉責任者

 河北新報と福島民友がそれぞれ福島第1原発廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者をインタビューしました。
 小野氏は河北新報に対して「取り出しに向けたアプローチ方法が具体的に見えてきた」と成果を強調しました
 福島民友に対しては、「第1原発所長時代も含め、長く廃炉に関わっているが、原発事故直後のドタバタの状況が改善され、普通の現場に近付いてきたと思う」と語りました。
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<福島第1>「デブリ取り出し、道見えた」
       廃炉推進カンパニー 小野明最高責任者に聞く
 河北新報 2019年2月24日
 東京電力福島第1原発事故から8年になるのを前に、東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者が河北新報社のインタビューに応じた。2号機で実施した溶融核燃料(デブリ)とみられる堆積物の接触調査について「取り出しに向けたアプローチ方法が具体的に見えてきた」と成果を強調した。(聞き手は福島総局・関川洋平)
 
 -接触調査で判明したことは。
 「小石状の堆積物は装置でつまんだり移動させたりできる一方で、粘土状に見えていた堆積物は硬くて動かせないことが分かった」
 
 -今後のデブリの少量採取や本格的な取り出しで、性状の違いにどう対応する。
 「(1979年に事故を起こした)米スリーマイルアイランド原発でも初めは動くデブリから取り出した。一つの装置で全てのデブリを取り出すという考えもあるが、状況に応じて装置を入れ替える柔軟な対応が必要になるのではないか」
 
 -3号機の使用済み核燃料の取り出し開始は、機器の相次ぐトラブル発覚で昨年11月予定が今年3月にずれ込むことになった。
 「(トラブルの原因となった)電圧設定の誤りやケーブルの腐食は、機器の品質管理がきちんとできていれば防げた。内部の管理体制を確認するため、一度立ち止まって時間を取った」
 
 -取り出し機器を今後設置する1、2号機でも同様のトラブルが起きないか。
 「プラントメーカーやゼネコンに全てお任せするのではなく、東電としてエンジニアの力を高め、機器の設計段階から関わっていく」
 「教訓を生かすべきなのは、使用済み核燃料の取り出しに限らない。現在進めている1、2号機共通排気筒の解体装置の開発でも、納得するまで(運用時の)手順などを確認している」
 
 -汚染水を多核種除去設備(ALPS)などで浄化した処理水の保管量は約110万トン。タンク設置の「上限」の容量137万トンに達する時期は。
 「今のペースでたまり続けるとすると、2020年後半で130万トンを切るぐらいだろう。ただし気象条件に大きく左右されるので、一概には言えない」
 
 
東京電力・小野廃炉責任者に聞く「普通の現場に近付いてきた」
 福島民友 2019年2月24日
 東京電力福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は、福島民友新聞社のインタビューで第1原発の状況が原発事故直後に比べて改善したなどと廃炉作業の成果を語った。
 
 ―原発事故から間もなく丸8年。廃炉作業の成果を聞きたい。
 「4号機の使用済み核燃料プールからの燃料取り出し(2014年12月)が大きなトラブルなく完了したことや汚染水発生量の減少が大きい。第1原発所長時代も含め、長く廃炉に関わっているが、原発事故直後のドタバタの状況が改善され、普通の現場に近付いてきたと思う」
 
 ―小早川智明社長が指摘する廃炉作業の「内製化(自社で行っていくこと)」も含め、廃炉作業をどう進めていくか。
 「3号機のトラブルも踏まえ、東電のエンジニアリング能力を高めないといけない。そのための手段として内製化がある。エンジニアリング能力が上がれば東電が直接、業者に発注することも可能になり、県内の企業と直接やりとりできるのではないかと思っている。10~20年先を見据え、廃炉をどう進めていくか。進行の在り方や青写真を見せることも大事で、その作業を進めている」
 
 ―3号機からの使用済み核燃料の搬出開始時期が機器の不具合で昨年11月から今年3月に遅れた。
 「トラブル以降、全体の品質をきちんと確認しようと、安全点検で一度立ち止まって全体を見た。品質の高い状況で作業できるのは間違いなく、燃料を傷つけるようなトラブルは絶対にない。ロードマップ(廃炉工程表)で掲げる20年度中の搬出完了は十分、達成できると思っている」
 
 ―2号機の調査で溶け落ちた核燃料(デブリ)とみられる堆積物に接触した。19年度に決定するデブリを取り出す初号機の基準は。
 「デブリの状況の情報は大事な決定要素だが、デブリ取り出し以外の廃炉作業との兼ね合いや優先順位なども見極めないといけない。全体の計画を立てている最中であり、例えば1号機では19年度上期にデブリの状況を調査する予定だ。その調査結果や技術開発の状況などを踏まえ、最終的に判断する」