2019年2月23日土曜日

「巨大噴火」や「破局的噴火」規制委が研究へ

 新規制基準の「火山影響評価ガイド」では、原発の周囲160キロ圏内の火山の影響を評価することを義務づけ、火砕流の到達が否定できない場合は原発を立地できない(再稼働できない)としていますが、実際には「火砕流が到達しない」ことの明確な根拠を示せなくても、川内原発などは再稼働しているという現実があります。
 
 そもそも当初「火山影響評価ガイド」を定めるとき、火山学会は「巨大噴火は予知できない」と主張したのですが、規制委はそれを取り入れませんでした。
 しかしいつまでも「巨大噴火判断基準」が具体化できなくては世の批判に堪えられなくなるので、この4月から、北日本や九州の六つのカルデラで専門家に委託して噴火予兆の把握などの研究を始めることにしました。
 
 研究の成果の見通しはなく、当然研究の期限も設けられていないようですが、どういう結果になるのか注目されます。いずれにしても「後からの恰好づけ」の批判は免れません。
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「巨大噴火」や「破局的噴火」 規制委が研究へ 原発の安全規制に利用
毎日新聞 2019年2月21日
 甚大な被害となる「巨大噴火」や「破局的噴火」の発生メカニズムを探り、原発の安全規制に生かすため、原子力規制委員会は4月から、北日本や九州の六つのカルデラで専門家に委託して噴火予兆の把握などの研究を始める。研究の蓄積がほとんどないこともあり、現在は「リスク評価があいまいだ」との声も強く、規制委は可能な限りの知見を集めたい考えだ。
 
 調査対象は、過去の巨大噴火が確認されている屈斜路(くっしゃろ)(北海道)▽洞爺(とうや)(同)▽十和田(とわだ)(青森県、秋田県)▽阿蘇(あそ)(熊本県)▽姶良(あいら)(鹿児島県)▽鬼界(きかい)(同)——の各カルデラ。5年間かけて岩石や地下水の性質などを調べ、噴火の時期や規模の把握などを探る方針だ。
 姶良では2021年度をめどに、海底カルデラでは国内初の常時観測を目指す。カルデラ中心部の海底に直接、地震計や水圧計などを設置し、人工衛星も活用してマグマの動きを追い、噴火予兆を捉えることも試みる。
 
 規制委は「火山影響評価ガイド」で、原発から160キロ圏内の火山で火砕流などの影響評価を義務付ける。巨大噴火の確率が「十分小さい」なら原発を稼働できるとする一方、火山の状態に変化があれば規制委は運転停止などを命じることができる。
 しかし噴火や予兆の予測が困難なことを理由に、停止命令などの具体的な判断基準は示しておらず、「なぜ発生可能性が低いと判断できるのか」などと批判されている。
 
 破局的噴火をめぐっては広島高裁が17年12月、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)から約130キロ離れた阿蘇カルデラからの影響を重視し、運転差し止めを命じる仮処分決定を出した(異議審で取り消し)。こうした経緯もあり、規制委が新たに調査に乗り出すことになった。
 規制委の更田豊志委員長は「難しいから手をこまねいているのではなく、規制に有益な研究に力を注いでいきたい」と話している。【岩間理紀】
 
◇巨大噴火と破局的噴火
 地下のマグマが一気に噴き出し、大規模な火砕流などで広域に深刻な被害をもたらす噴火。原子力規制委員会は、噴出物の量が数十立方キロを超えると巨大噴火と規定。破局的噴火は一般的に、噴出物の量が100立方キロを超える「超巨大噴火」を指す